自動車のエンジン関係用語

エンジンの名称や型式と特徴

複雑な機構を持つエンジンには多くの部品で構成される。また動力を生み出すという目的は一つでも、構造に種類がある。そのため性能に違いが出て、乗員が感じる官能的な性能にも差が出てくる。

そしてこれらによって、エンジンに関連する用語も多く存在する。

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駆動系の名前・用語と特徴

自動車関連用語と機能について、下記にまとめています。随時、追記・修正・コンテンツ増強中です。

エンジンレイアウト(多数派)

直列3気筒

3つのシリンダーがまっすぐ順に並ぶレイアウト

全長が短くコストも低く抑えることが出来るため、ほぼ全ての軽自動車や一部コンパクトカーで採用される。
一般的な排気量は〜1500ccまで。

メリットは低価格、部品点数が少なく故障の可能性も減る。また同じ排気量の4気筒エンジンよりもロスが少なく燃費が良い。

デメリットは4気筒エンジンと比較して振動大きく音もガサツ。つまり質感が低くなりがち。

エンジンによってはアイドリング時のバランサーシャフトが付いており、振動は低減されている。この場合、特にアイドリング時など4気筒エンジンとたいした違いがないと感じる事も。

基本的に3気筒エンジンは実用性最重視のクルマに積まれることが普通だから、アイドリングストップと組み合わせられることも多く、これによって停車中の振動という欠点を感じさせない。

そうなると、エンジンを始動する時の音や振動、エンジン回転を上げた時の音や振動といったあたりが気になるポイント。つまり実用上の問題はあまりないといってもいい。

直列4気筒

直列4気筒、4つのシリンダーがまっすぐ一列に並ぶレイアウト

直4が採用されるのが現在メインストリームとなる排気量であったり、長年の定番といったところから、もっとも幅広く採用されているエンジンレイアウト。
直列4気筒の一般的な排気量は1000cc〜2500ccまで。

前輪駆動FF車は、基本的にエンジンを横置きにするため、基本としてはコンパクトかつ直3よりは質の良いとされる直4エンジンが組み合わせられる。

エンジン単体の特徴は、軽量コンパクト。これにより車体フロントの重量が軽くなり、運動性能を上げやすいといわれる。また多気筒エンジンと比較して同じ排気量なら、トルク感を出しやすく、極低回転時の巡航しやすさなども高いはず(理論上)。近年重要視される経済性については、同排気量・多気筒エンジンよりもロスが少なく燃費が良い。

総合した質感は、3気筒エンジンと比較すればアイドリング時の振動は少ない。だいたいにおいて音も耳障りではない。

6気筒エンジンと比較すれば、低回転から高回転まで振動がある。特に高回転が弱点で、ガサツな回り方や嫌な音を出す。レスポンスも悪い。

スムーズさという点でいうと多気筒エンジンに一歩劣ることが多く、比較すればなめらかな質感はない。しかしバランスシャフト付きのエンジンだと高回転時の振動はかなり少なくなる。ホンダの一部のエンジン、スポーティタイプのVTECエンジンなどは、低振動だけでなく音も素晴らしい。6気筒と高級感という点でもいい勝負できるものもある。
音をイメージすると、「ボォー」+「ビューン」。基本的にコモリ音強い。

直列6気筒

直接6気筒、まっすぐ一列に6つのシリンダーが並ぶエンジンレイアウト

排気量に対して全長が長めになるため、縦置きにして後輪駆動のクルマと組み合わせれることが多い。
一般的な排気量は2000cc〜3000cc程度まで。

日本ではミドルクラスのクルマにも採用され、最も人気があったユニット。等間隔爆発になるため、スムーズに吹きあがる。

また同排気量なら4気筒と比べて、パーツが小さくなるために高回転に有利に作りやすい。エンジン音もすばらしく良く、二次振動が消されていればとにかくスムーズで長時間車を運転していても疲れない。また高級感もある。

デメリットは、ロングノーズ、フロントヘビーになってしまいやすいこと。フロント足下が狭くなるなど。

エンジン縦置きで中級以上のFR車に使われていたが、衝突安全の問題などのために(クラッシャブルゾーンを作りにくい)V6に取って代わられている。
音をイメージすると、「ブォー」+「シュワーン」基本的に軽やかな音質。

V型6気筒

V型6気筒、正面から見て各シリンダーをV型に配置したエンジンレイアウト

V型6気筒エンジンでは3気筒ずつV型に並ぶ。そのため直列6気筒エンジンと比較して前後長が短い。
排気量は2000cc〜4000cc弱まで。

6気筒エンジンを搭載したいが、直列ではスペース的に無理な車やFF車に搭載される。また衝突安全対策の為のスペースを確保するために直6レイアウトからV型レイアウトに置き換わっていった。

ネガティブな要因で主流になったV型レイアウトだが、もちろんメリットもある。

全長が長い直6ほど剛性を確保する必要がない。またクルマ全体のパッケージング(車室内空間や重量配分)を考えれば有利になる。直6ではエンジンルームすかすか、V6ではびっちりというのを見てもそう感じる。

デメリットとしては、直6に比べると複雑な機構になり、重量、振動などは不利になる。

また、メンテナンス性でも劣ることがある。質感という面では直6と比べると好ましくないという意見が多い。
これはマイルドな音や滑らかな回転上昇という面を評価してだろう。確かにV6はジェントルというよりは迫力重視系の音のエンジンが多い。

しかし、トヨタのGR型は静粛性、エンジン特性でも従来のJZ型を上回ったと評価されたりもする。V6では一番を争うジェントルさを持つと思うが、実際回せばやかましいのはやはりV6。
音をイメージすると、ギュビーン!基本的に少しコモリ音がある。

V型8気筒

V型8気筒、各シリンダーを正面から見てV型に配置したエンジンレイアウト

V8レイアウトでは4気筒ずつV型に並ぶ。
多くの場合で排気量は4000cc超で採用される。

一般的な自動車(国産車)の中では、最高級のユニット。片バンク4気筒づつ並んでいる。

多気筒であるために爆発間隔が狭く、1気筒辺りの排気量も減るためにとてもスムーズなエンジンを作りやすい。エンジン単体の大きさ的には4気筒と同じような全長になりそうだが、実際には大排気量になるので、全長も長ければ全幅も広い。

エンジンというのは車全体で見ても高級感を表現しやすく誰にでもわかりやすい部位のため、V8というだけで高級車をイメージされる時代もあった。国産車ではトヨタと日産のエンジンが有名。

中でもトヨタのセルシオに積まれていたV8は、特にジェントル的な面を重視したキャラクターで質感の高さを感じた。

普段はどこか遠くにエンジンがあるような静かさ。回せばいい音。全域で十分なパワー感。質感だけでなく、環境性能を含め、トータルで評価が高い。燃費だってそこまで悪くない。

もちろんトヨタだけでなくシーマなどのV8もとっても良いモノ。
レクサスではモーターと組み合わせハイブリッドにもなっている。

V8のデメリットとして考えられるのがコスト。部品点数多く、搭載車種が限られるためエンジン1機当たりの価格は高くなっていると思われる。
また省燃費性能という面でも、現状はまだ、多気筒エンジンはロスが多く不利と言われる。

音をイメージすると、シュビーン!基本ジェントルだけど回転数上げるとレーシーな音といった印象。

エンジンレイアウト(少数派)

直列2気筒

イタリアのフィアット500を始め、そのOEM車などいくつかの車種が採用しているエンジンレイアウト

強い振動とビートがある。とても褒められたものではないが、味があると好まれる場合が多い個性派。

フィアット500に関して言えば、音は確かに2気筒。ドコドコドコという。しかしよく調教されており、アクセルワークは自然で走りやすい。ギクシャクしやすいのはむしろシングルクラッチのミッションと言ったところか。

振動は?音はたしかに振動を感じる音がする。しかしステアリングには余計な振動が伝わってこない。このあたり、適当に作っている国産4気筒エンジンのクルマよりよほど質感がある。

直列5気筒

ホンダやスウェーデンのボルボ、ドイツのアウディ、VWで採用されたのが有名なエンジンレイアウト

エンジンルームに横置きに配置される。直6より全長短く剛性も必要ない。それでいて直4よりは圧倒的に質感高く、V6よりは質感高いといわれる。

デメリットはコスト面。質では直6には及ばないのに少数派のため搭載車両は安くない。そして整備性の悪さ。

実際に運転すると、ボルボの直5はまあ普通。特別な印象を持つこともない。エンジンはレイアウトだけではないと改めて思わされる。ホンダの直5は一般的なV6よりスムーズな音質。アイドリング時の振動は多かった。

特にホンダの5気筒エンジンの場合、苦労して苦労してクルマに積んだらしく、メンテナンスの様子を実際に見ると、メカニックに整備を頼むのも気が引けてしまうほど。お金払って申し訳なくなって、”こんなクルマいらないや”にならないでください。

V型10気筒

V8レイアウトを10気筒にしたレイアウト。BMWやレクサスの一部が採用している。

旧型のBMW・M5はV10エンジンを積んで人気だったが、一般的な価格の市販車にはあまりない型式のため、残念ながら筆者は試乗をしたこともなければ助手席で味わったことがない。

外で聞こえる音ですが、音をイメージすると、ビィーン!

V型12気筒

V8レイアウトを6気筒x2にし、12気筒にしたレイアウト。メルセデスベンツのV12は振動は全くドライバーに伝わってこない。

さすがの質感。また排気量が大きいので2000回転以下から強い加速をすることも可能。この際なめらかに強烈に加速ができる。

上質なガソリンエンジンが低回転のみで加速できれば、それはミッションなど関係無しに上質な質感を感じる。しかし高回転まで回すと一転、レーシーといった方がいいような、とても刺激的な音がする。

音をイメージすると、ヴァーン!複雑な響きが感動的。

水平対向4気筒

V型エンジンのバンクを水平にまで倒したレイアウト。180度V型とは爆発の順番が違う。

スバルの水平対向はエキマニの取り回しの問題から独特なエンジン音を出し人気を集めたが、最近は進化しスムーズになってきている。

特徴はシリンダー同士が振動をうち消すこと、エンジン高が低いこと。また縦置きにすれば左右均等な重量配分がえられる。

デメリットは車両搭載状態ではクランクシャフトの位置が高く、いうほど低重心ではないという点。音が雑っぽいで振動が少なくても振動しているような気がする。

エンジン単体でみればブローバイガスがでやすく、環境性能も苦手。整備性も悪い。同じ水平対向でもポルシェのエンジンはもっとスマートで、スポーティにプラスしてある程度の高級感さえ感じる。

音をイメージすると、ボゥボゥボゥボ!

水平対向6気筒

片側に3気筒ずつ並ぶ水平対応エンジン

水平対向6気筒は理論上完全バランスエンジンといわれる。スバルとポルシェ、シボレーが採用しているレイアウト。

エンジン単体でみればブローバイガスがでやすく、環境性能も苦手。整備性も悪い。スバルの水平対向6気筒は振動少ないのは感動的だが、音がスムーズではないので、損をしている感がある。同じ水平対向でもポルシェのエンジンはもっとスマートで、スポーティにプラスしてある程度の高級感さえ感じる。

燃焼種類、仕組み

レシプロエンジン

ピストンが往復運動することで出力を取り出す。ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも大きく分ければレシプロエンジンである。ロータリーエンジンはまた違う方式となる。

ロータリーエンジン

ガソリンエンジンもディーゼルエンジンもレシプロエンジン。ピストンが上下するいわゆる普通のエンジン。

ロータリーエンジンはレシプロエンジンとは全く仕組みが違う個性的な方法でパワーを取り出します。

ローターハウジングの中のローターが回転し、ローターの中央にあるエキセントリックシャフトから出力される。ローターが1回転する間に3回爆発する。その後に2分の1に減速されるため、同排気量のレシプロエンジンと比べると、1.5倍の爆発と考えることができる。

そのため、レシプロエンジンと比較すると、排気量の割にパワーは大きく、燃費は悪い。

税金は通常の1.5倍の排気量の税区分で徴収される。

基本的な特性は低圧縮、低効率で燃費性能悪く、排ガスもクリーンには作りにくいが、独特の音と、高回転の回り方はすばらしい。軽量コンパクトで、車体側から見れば理想的であり、また今後は、水素エンジンとしての実用化が期待されている。

ガソリンエンジン

文字通りガソリンを燃やしてパワーを取り出すエンジン。ガソリンと空気の混合気を圧縮し、点火プラグで点火して爆発させる。

ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジンは、ガソリンより爆発力の弱い軽油を燃料とする。構造はガソリンエンジンと同じレシプロ。基本的に構造は似ている。

特徴的なのは、スパークプラグがなく、混合機を強く圧縮させて点火する点。ディーゼルというと黒煙がイメージされるが、最近はクリーンな軽油、コモンレール方式などにより、そういったイメージは完全に一世代前のものとなった。

どちらかといえば低燃費で排出CO2が少ないと言われる点からのクリーンなイメージ、動力性能的には適切な排気量さえあれば豊富な低速トルク。このあたりがディーゼルエンジンの魅力。日本でも今後また人気を呼ぶかもしれない。

用語・エンジン構造関連

4ストローク

4サイクルエンジン、簡単にいうと2回転で1爆発を行うのが特徴。エンジンはピストンが上がって下がっての2行程(2ストローク)で1回転。4ストロークはピストンが上がって下がって上がって下がっての4ストロークで1爆発をする。

この方式の特徴は、吸入から排気までの作業が規則正しく行われることにある。管理体制がしっかりできるという意味。このため、2ストロークエンジンより排出ガスがクリーンに出来るのが魅力。

自動車用レシプロエンジンは通常4ストロークで、熱効率が重視されたミラーサイクルやアトキンソンサイクルと呼ばれる構造を持つエンジンなども4サイクル。現在圧倒的に多数派であるために普通に自動車用エンジンというとこの形式である。

2ストローク

別名2サイクルエンジン。簡単にいうと1回転で1爆発するのが特徴。エンジンはピストンが上がって下がっての2行程(2ストローク)で1回転。

物心ついてエンジンの仕組みをを想像した時、頭に浮かぶのはこの2ストロークの感じではないだろうか。

分かりやすい構造をしている。4ストロークと同排気量なら軽量コンパクトでハイパワーとなりやすい。乗り物用エンジンとしては環境の問題や燃費の問題から、少数派になっている。

3バルブ

吸気バルブ2、排気バルブ1の計3バルブ。膨張エネルギーを持つ排気ガスに比べ、シリンダー内に吸入されにくい混合気をスムーズに入れる。

吸気バルブ1個あたりのサイズは排気バルブより小さくなるが、2個合わせると大きな廃棄バルブと同じ効果が得られる。

4バルブ

吸気2、排気2の計4バルブ。バルブを駆動する機構は2バルブ方式の倍の数が必要になるが、様々なメリットにより給排気効率は大幅に向上する。

バルブ及びバルブ駆動のためのパーツが小型軽量化され、高回転に強くなるのも、この方式のメリット。

5バルブ

吸気3、排気2の計5バルブ。4バルブのさらに上をねらったもので、量産エンジンとしてはほぼ限界といえる方式といわれている。国産車ではトヨタ、三菱の一部のエンジンに採用された。

OHC

エンジンの一番上にカムシャフトが横たわって回転する構造。カムシャフトの力はロッカーアームを介してバルブに伝達される。

カムシャフトを回転させる力は、クランクシャフトからタイミングベルとあるいはチェーンで伝わる。

この方式のメリットは、往復運動部分が少なく、構造的にシンプルにでき、DOHCよりも低回点のトルクを出しやすい。

OHCで1万回転回すのは、DOHCで2万回転回すのと同じくらい難しいという。

DOHC

別名ツインカム。カムシャフトは、吸入、排気それぞれのバルブ上にセットされる。

この方式のメリットは、4バルブ化が簡単にでき、プラグを燃焼室中央の理想的な位置に配置できること。また、高回転まで正確なバルブ開閉が可能となる。

番外編(おまけ)

エンジンマウント

エンジンマウントはエンジンとシャシーを繋ぎ、エンジンを支える部品。一般的にゴムで振動を軽減する。柔らかいと振動を抑える反面、揺れが大きくなる。

ドライバビリティが悪化し、乗り心地も悪化。逆に固いとエンジンの振動がダイレクトに伝わってくる。

エンジンの重さやトランスミッションの種類、好みにより最適な固さは異なるはずだが、一部の車用しかアフターパーツは用意されていない。

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