自動車のミッション、用語と特徴

ミッション、ATとMTの選択ポイント

トランスミッションはドライブトレーンの一部。

ドライブトレーンとは動力伝達機構の総称。自動車でいうドライブトレーンといえば、トランスミッションを始めデファレンシャル、ドライブシャフトなどのパーツを指す。

エンジンやモーターの動力源を含み、パワートレーンと呼ばれることも。パワートレーンの役割は、動力源で作り出した動力を、タイヤに伝えるのが役割。

輸入と国産の輸出向けタイヤ、筆者はここで購入

駆動系の名前・用語と特徴

自動車関連用語と機能について、下記にまとめています。随時、追記・修正・コンテンツ増強中です。

トランスミッションの種類

トランスミッションとは日本語でいうと「変速機」。変速ギヤを表し、回転速度とトルクの変換を行う。

役割は、動力源が生み出した回転エネルギーを増幅したり、スピードを増速。

具体的には、動力源(例えばエンジン)からのエネルギーが一定の場合を仮定すると、力は大きいけど速度は遅い〜力は小さいけど速度は速い、これを段階的に変更する。

AT(オートマティックトランスミッション)

広義には自動変速を行ってくれるミッションすべてを指すが、種類を分類する時には、昔ながらのATを指す。
4ATとか5ATと表され、数字が段数を表す。4速ATとか5速ATという意味。

トルクコンバーター付きで段があるのが特徴。ステップATとも言われる。単体での一般的にいわれる長所と短所を表すとこんな感じ。

  • 長所・・・高速時の伝達効率が良い。滑らかな出だし、加速感。人間の感覚に近い。
  • 短所・・・極低速域での伝達効率が悪い。ダイレクト感が希薄。変速レスポンスが悪い。

CVT

CVTは自動変速で広義ではATの仲間。特徴は無段変速と言われるほどの連続可変。200段くらいの段数が連続的に切り替わり変速するため、ドライバーが受ける感覚は無段階のよう。

役割は、

ドライバーが意図的にギヤを選択できない反面、メーカーが効率の良いプログラムを作りやすいといわれる。
擬似的に段を固定するモードを持つタイプや、擬似的にステップATを再現するモードがあるCVTもある。

  • 長所・・・極低速時の伝達効率が良い。メーカーが想定した最高効率で走らせやすい。エンジンの持つ加速力が優れた部分、または燃費が優れた部分を適時選択、キープしてくれる。スムーズな味付けなら変速ショックを感じさせない。
  • 短所・・・高速時の伝達効率が悪い。メーカーが想定した走らせ方に合わせる必要がある。人間が感じる感覚とずれて加減速するため、疲労を感じやすかったりスポーティ走行がしにくい。

3ペダルMT(3ペダル・マニュアルトランスミッション)

MTはマニュアルトランスミッションの略。5MTとか6MTと表され、数字が段数を表す。5速MTとか6速MTという意味。

6MT

役割は、

3ペダルとは、アクセル・ブレーキ・クラッチの3つのペダルを持つ昔ながらのMTを指す。ドライバーがクラッチを操作してシフトチェンジを行う。モノを扱う楽しさ=操作量の多さと考えれば、最高に楽しいトランスミッションと評価出来る。

  • 長所・・・自由にギヤを選択できる。慣れれば何よりも滑らかに走行できる。ダイレクト感が強い。低速から高速まで伝達効率が良い。
  • 短所・・・クルマによっては神経質。面倒な坂道発進。自動運転には最も遠い。

2ペダルMT(2ペダル・マニュアルトランスミッション)

3ペダルMTからクラッチペダルが省かれ、自動化されたタイプのMT。広義でいえばATで、狭義でいえばMT。セミオートマティックトランスミッションとも呼ばれる。

2ペダルMT・ゴルフR

役割は、

単純にクラッチ操作なしでシフトは手動選択のみのタイプと、自動変速のタイプ、両方が切り替えられるタイプがある。

DCTとSCT

構造的にはデュアルクラッチ(DCT)、シングルクラッチ(SCT)が代表的。

写真は6速DCTのシロッコR、7速DCTのゴルフ、5速SCTのFIAT500。

シロッコR

シロッコR・ボディ

6速DCT(湿式DSG)のシロッコR。

シロッコR・シフトセレクター

7型ゴルフ

VWゴルフ・ボディフロント

7速DCT(乾式DSG)のゴルフ。

VWゴルフ・シフトセレクター

FIAT500

 

FIAT500・ボディサイド

5速SCTのFIAT500。

FIAT500・シフトセレクター

構造・デュアルクラッチとシングルクラッチ

デュアルクラッチではVWのDSGが、古くからあって知名度高い。シングルクラッチだとFIATなどコンパクトな欧州車で多く存在し、国産車ではスズキ車に搭載。

  • 長所・・・3ペダルMTに近い伝達効率の良さ。操作が簡単。好きなギヤを選べる。
  • 短所・・・ギクシャクしやすい。自動変速ではドライバーの感覚より効率が重視される。変速ショックが大きい。総合して高級感的なコンフォート性能は低い。

トヨタ・ハイブリッド用遊星歯車式

プリウスを始めとするトヨタのハイブリッド自動車(エンジン+モーター)で採用される方式。遊星歯車を使用し電気的に変速。エンジン、モーター、それぞれの力を総合して変速する。

変速とはいえトランスミッションとは別物として区別される。この場合、例えばプリウスにはトランスミッションがないともいわれる。

ATかMTか?

車種によっては同じ車種でATかMTを選択できる。MTは少数派とはいえ、だいたいどのメーカーでもMTが選択可能なモデルがラインナップされている。

そんな車種をネットで見れば、ATを買うべきかMTを買うべきか?そんなお悩みがいっぱい。でも悩んでる時って、心の中じゃどっちが欲しいか薄々は決まってたり。

ということで、「間違いいっぱいの自動車選び」ならではの切り口からATかMTか?をお届け。

筆者はいままで、3ペダルMTの中古車を数台購入してます。しかしアタリのMTにあたった事はゼロ。周りを見ても極端に運に左右されるのがMTの中古。見た目以外の程度なんてたいして価格に反映されませんし。
ということで、中古ならAT、新車ならMT。こんな選択は如何でしょう。

実際問題、AT買ってもMT買っても良かったと思うこともあれば後悔することもあるはず。迷って迷ってなかなかハンコを押せない方の背中をドカンと押す決定方法です。

AT・MT共通の神経使う部分

まずMTの特徴、筆者の選ぶトップ3+1

  1. クラッチミートの快感。モノを扱う楽しみは複雑な方が楽しい。
  2. 様々なインフォメーションもショックもダイレクト。エンジンやタイヤと会話ができる。
  3. シフトじゃなくてアクセルワーク、クルマが先生。エンジンの揺れさえ考えないとクルマに怒られる。
  4. クルマによっては他のトランスミッションより滑らかに走行できる。乗員の不快感が少ない。

MTは単純にギヤチェンジするだけなら、たいして面倒でないのはご存じの通り。1-3-5の飛ばしシフトだってなんら問題なし。日常で神経を使うのはジャダーだったりスナッチだったりエンジンの揺れだったり、シフトアップ時の加速量調整だったり。そして坂道発進。

慣れれば無意識に行う事ながら、疲れている時にはアラがでる。ということは少なからず神経を使っているわけだ。

ここ、程度の大小こそあれ、良くできたATを除けばATだって一緒。ATだって気にして走るなら最初からMTでいいじゃん、と思う。

ちなみにMTは好きなギヤを選べるのが1番の特徴じゃないのか?というご意見もあると思います。個人的には、MTはミッションが暖まるまでは希望のギヤに入れたくない事も多々あるので微妙かなと。冬場だと場合によっては30分!神経使ってギヤチェンジしているだけで目的地に着いちゃいます。
こんな部分も楽しめるならMTが良いけど、あまりにマニアック??

ミッション、クルマの価値を大きく変える?

こんな話を聞いたことがあります。実用エンジンは皆揃ったように同じような味、乗り心地も燃費もデザインも同じよう・・・。

そしてABSや横滑り防止装置がもう少し進化すれば、限界時の挙動も何もへったくれもない・・・。
なんか家電のような、そう、液晶テレビと一緒。

しかしATとMTの差はサルだってわかる!ミッションはクルマの善し悪し、キャラクターが大きく変わる部分。そりゃモーターとエンジンほどの違いはないけど、これだとブラウン管と液晶といった世代の差になっちゃうから。

筆者は一番好きなのはやっぱり3ペダルのMT。日常でもサーキット行くのでもどれか一つしか持てないとすれば、MTを選択する。しかしステップATもMTと同じくらい好きだから、2台目には良くできた多段AT欲しいと思っている。
気持ちの良いMTと質感高いステップAT、どちらも魅力的。最近クルマといえばミッションから比較しちゃう。

ATかMTか?日常で利用する場合、評価の高い滑らかなステップATなら、決して悪くないと思いますよ。でもATの質感が低ければ必然的にMTしかないなって心の奥で感じるハズ。

良いATならATが良いし、良いMTならMTが良い。クルマの総合的な価値で選べばそうなる。つまり迷う前にまずは両方試乗する。そしたら夢の中でのお告げを待つ
どうしても気が変わったら乗り換えることだって出来るかもしれない。そう考えれば少しは気楽でしょ!?

その他ミッションに関連する用語

ツインクラッチ式2ペダルMT

通称DCT。クラッチペダル操作が自動になるMT。ツインクラッチと呼ばれるのはクラッチが2つあるシステム。出だしはギクシャクするが、丁寧な動作を心がければ自動変速の中では現状もっともスムーズと思える。ちょうど良い妥協点かも。

現在使っているギヤと減速側ギヤにクラッチがあり、非常に素早いシフトダウンが可能。VWのDSG、アウディのSトロニック、日産のFR6、ミツビシのTC-SST、BMWのM-DCTなど。

シングルクラッチ式2ペダルMT

通称SCTやAGS。クラッチペダル操作が自動になるMT。実はかなり昔から存在するタイプで、自動変速はあったりなかったりする。発進加速にはコツを要し、変速ショックも大きめ。加減速時や変速時、エンジンの揺れなども考えてアクセル操作を行う必要があるのは3ペダルMTと一緒。

FIATのデュアロジック、シトロエンのEGS、ルノーのクイックシフト、アルファのセレスピードなどと呼ばれるものがこのタイプ。日本ではトヨタのSMT。

3ペダルMT

クラッチペダルレスのMTが増えた!ということで伝統的なMTは3ペダルMTと呼ばれる。通常マニュアル車といえば、このタイプを指す。3つのペダルは右からアクセル、ブレーキ、クラッチと並ぶ。ブレーキペダルはAT車より大幅に小さいのが常だから、ペダルの踏み間違えに気を付けて。ペダルレイアウトが不自然な欧州車や、欧州車から日本車に乗り換えた場合にご注意。

トルクコンバーター

通称トルコン。トルコンフルードというオイルの入った箱に、動力側、出力側それぞれ羽が付いたものが収まっているような仕組み。
多段ATの特徴はこのトルコンの特性からか、自然滑らかな走行感覚と低速時の効率の悪さが上げられる。

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