間違いいっぱいの自動車選び。試乗車はホンダVAMOS(バモス)型式「HM1」。グレードは“M”。
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内容は辛口評価です。試乗時に確認したいポイントを重視!
バモスは仕事にも趣味にも使える5ナンバー軽自動車ワゴン。イメージ良好でアクティブ層に人気!ホンダ・アクティが商用としてラインナップされます。
バモスのハンドルを握ると、後輪駆動車らしい感触がたっぷり味わえる。同様の他車でもいいんだけど、どんな感じか気になる方は一度所有してみてもいいんじゃない?きっと勉強になるよ。そして次の自動車選びが楽しくなって喜びいっぱい。
そんな後輪駆動車らしさ満点に加えて、超ローキャスターともいえる立ったフロントサスペンションも、この手のクルマしか味わえない。
最近の普通車がアメリカンバイクだとすると、バモスとかはレーサーレプリカみたいなもの。ヨーの立ち上がりが早くてSATはものすごく弱い。フラフラを感じるほどスィと曲りだし、ハンドルの中心への戻りは超が付くほど悪い。
「SAT」って「セルフアライニングトルク」。ハンドルが勝手に中心に戻ろうとするチカラ。バモスのそれは、コーナーリング中にハンドルから手を離しても、切れっぱなし位に弱い。
こんな感じだから、一度舵角を決めてコーナーに侵入してしまえば、ビシィーと安定するクルマとは全然違う。目の前にコーナーが来たから適当にブレーキ踏んでハンドル切って...みないな運転がしっくりくる。クルマ全体の緩さが、ダラーと走る事を許してくれる。
ゆっくりかつ一発で舵角を決めないと不快な上級車なんていっぱいある。適当に走るならバモスみたいなクルマも悪くない。
リアサスペンションはリーフスプリング。言い換えると板バネ。でも、だからといってどうってこともない。大丈夫。気にしない方がいい。
他の部分と同様、ハンドル周りだって上質に仕立てたなんてことがないから、クルマやタイヤの様子を感じやすい。これがステアリングインフォメーション。
バモスでは余計な仕立てがないからなのか、これがわかりやすい。 ステアリングが抜け気味な無反応領域や走行アライメントの変化などなど。これが日常の走行で感じられちゃう。普段の走行に合わせたレベルって、意外と重要かもと考えさせられる。
バモスはステアリングやボディの剛性感が低く、中立から切り込んだ先まで無反応地帯がよく顔を出す。ついでに雑味もいっぱいだけどそれはガマン。
ちなみにエンジン回転数によって、パワステのアシスト量変化は大きいから、これとステアインフォメーションをごちゃ混ぜにしないでねっ!
乗り心地はかなりマイルド。ゆったり柔らかというワケじゃないんだけど、乗員が感じる刺激は少ないし、上下にシェイクされる感じも少ない。一言でいってしまえばボロさと昔風な感じ。質感なんて言葉とは無縁。でもそれがゆっくり走行にあってると思う。
今回の試乗車だと、ショックアブソーバーはややフワフワ感を感じるほどに劣化していた。そしてサスペンション付け根が動いて衝撃を吸収しているような緩さも感じられる。これらが組み合わさり、一般道を制限速度以下でゆっくり走るのに悪くない乗り味になっていた。
挙動を押さえることを重視し、クルマのキャラクターを無視して締め上げる車種が多い中で、多少のリスクを冒してでもゆっくり走るのに適した乗り味。バモスにはそんな優しさを感じる。
バモスと同じように軽トラック系から派生したスズキ・エブリィワゴンや三菱・タウンボックスだともう少し固めな印象。また同じようなフロアを使って乗用に仕立て直した三菱アイと比較すれば、質感は全然比較にならない。ただ、優しい突き上げという面ではバモスに分がある。
リアエンジンリアドライブの軽自動車、三菱のアイ。電気自動車はアイミーブ。
商用車アクティから乗用ワゴンに仕立て直したといっても、静粛性に違いは感じられず。エンジンノイズはダイレクトに車内に響き、フロアやシャシーからのガチャガチャ音も響き渡る。内装のきしみ音?他の音が大きすぎて気にならないよ。って感じで。
静粛性が低い原因のひとつが、巡航中のエンジン回転数の高さ。やはり3ATは厳しい。4000rpmキープで巡航なんて、燃費どうこうじゃなく苦痛だよね。
また雨の中の走行では、雨がルーフを叩く音、普通の軽自動車より気になる。こんな感じだから、1時間以上の連続ドライブはヤダナーとか思ったり。クルマの運転が好きな当サイト編集部でそんな感じだから、やっぱりご近所を短時間に向けたクルマだね。
荷室はベースとなった商用専用のアクティそっくり。一方でリアシートはリクライニング機構が付いたりと改良されてる。
リアシートにはカップホルダー付きアームレストとリクライニング機構が付いている。乗り心地も固くないから、積極的にリアシートに同乗してもイイ。軽自動車のリアシートって固くてイヤって方にもぜひ乗ってみてもらいたい。
静粛性はものすごく悪いから、耳栓だけは用意してね!
バモスのラゲッジスペース。カメラの都合により(ワイドレンズ)奥行きが長く見えるけど、実際はそこまで長くない。
どちらかといえば、サスペンションの張り出しが気にならず、横幅が広く使いやすい。これが商用車ベースの利点で、内装の出っ張りが目立たないのがいいね。
ラゲッジフロアの地上高。寸法測るのはサボっちゃったけど、リアエンジンの割に高くない。形状もフラット。18インチのタイヤを積んでみたけど、乗用軽自動車より積みやすい。重い荷物も大きい荷物もきっと大丈夫。
バモスの最も厳しい点は、ドライビングポジション。筆者ヒラリーほか、スタッフ数人がどうがんばっても、運転しやすいポジションには調整できなかった。
ここからわかることはやはり、荷物積載優先のクルマということ。荷室の為にドライバーがガマンするみたいです。
しかし何もこれ、バモスに限った事じゃないのがせめてもの救い。程度の大小こそあれ、軽トラック系の車種はやっぱりドライバーは後回し。それ以外でもタクシードライバーだって、リアシートのお客様の為に苦しいポジションを取ったりする。
写真は腕を伸ばしてギリギリハンドルに指先が触れる程度に、シートを調整した時の足下。ハンドル操作は何とかできるというレベル。いざという時の緊急回避は不安。
で、写真でご覧頂きたいのは、膝下〜太もも下が浮いてしまっている件。これじゃあドライバーは辛い。本当はもっとシートポジションを後ろに下げたいところ。もしくはもう少し座面が高ければ解決するかも。足が長い??いえいえ短足です。ブレーキペダル踏むのが苦痛。
そしてドリンクホルダーにジュースを置いた時。足にジュースが当たる。パンツが濡れたりハーフパンツだと冷たかったり。細かなことだけどね、不快なのは事実。
アクティと最も異なる点はエクステリアかもしれない。ミニステップワゴンのように感じるバモスのエクステリアはなかなかにアクティブ。
ざっとこんな感じ。フロントとリアを正面に見ると、なかなか都会的な印象。アクティにはない、リップ風フロントバンパーやリアスカート、サイドステップがアクティブなイメージを演出。
上の写真で右下、ルーフサイドの部分なんだけど、雨水を通すようなトイみたいな部分。これはなんだろう。ちょっとレトロチック。
バモスのボディ外寸(ホビオ除く)、全長3395mm×全幅1475mm×全高1775mm。ホイールベースは2420mm。ホイールベースが長いのは前後オーバーハングを見ても予想が付く。
ホビオは全高が高くなったモデルで、全高はだいたいプラス100mm。
バモスに試乗して感じたこと。一番は「最近の乗用軽自動車ってすごい進歩したなぁ」と。乗用軽自動車ってムーブやワゴンRの事ね。10年とか15年でこんなに変わったのねって。
そしてキャラクターの変化。ホンダのN-oneなんて、どうしちゃったのってくらいカチカチな方向に。またN-boxは立派すぎるほど立派。気軽に手軽じゃなくなっちゃったよ。
自動車の用途って幅広い。近距離メイン、通勤用、、運搬専用、ファーストカーだったりセカンドカーだったり。それでいて価格も重要でしょう。緩くてクルマらしいバモスみたいなラインナップも継続して欲しいなって思います。
試乗車は13年落ち&9万キロという、引退させてあげたくなるような車体だったけど、止まっちゃうような不安もない。むしろシステムが単純なことによる安心感さえ。
過剰な質感より信頼性と割安感。セカンドカーなら「3日に1度まずいものを食べる」という感覚も味わえ、日常に彩りを加えてくれる。
バモスは気楽で便利、お買い物に運搬に。どうしても納得できない欠点は、ドライビングポジション。慣れちゃうレベルじゃないから、お仕事で使われる方とか大変だと思います。
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ラゲッジフロアは意外なほどに低い。写真のタイヤは16インチサイズ。
ドラポジ、バモス最大の弱点。
左右のAピラー。やはりフロントガラスが立っている方が、ピラーが気になりにくい。
前後のサスペンション部分。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。