評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。デミオ(2代目)「スポルト」の試乗レポート。
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特徴は立派な作りを感じさせる乗り味。2005年式デミオの試乗記をお届けします。
乗り心地の良さ、これこそDYデミオの真骨頂。乗り心地が良いというと日本車風のフワフワなサスペンションを想像しがちだから言葉を換えてみる。DYデミオの良さは気持ちの良いハネ方ハズミ方。
決してフワフワなわけじゃない。寧ろそれなりの減衰力はある。しかしショックアブソーバーの抵抗感が少なく、ギスギス感が少ない。
さらに日本車のショックアブソーバーに慣れた方にも不快感を感じさせない絶妙なセッティングで、動くサスと動かないサスの中間といった味付け。
ご存じの通り日本車は、動かないサスペンションが定番。故に良質といわれるサスペンションを試せば、上下の揺すられ感が不快だったりする。特に小さいクルマだとそう。
DYデミオはショックアブソーバーの質感高く、一般的ドライバーでも馴染みやすい味付け。またこの傾向はリアサスペンションも同様。ここに置いては後継のDEデミオを始め、もっと新しい世代のコンパクトカーでも到達できず。マツダもこの後はカヤバやトキコにサプライヤーが変わっている。
DYデミオの快適性評価において、惜しいのは日本的に評価されるポイントがおろそかにされている所です。静粛性が低くてボディはしなやかさが不足しているように感じる。このデミオ、ちょうど室内の優しさが不足しているのと同じように、日本車で最も重要視される静粛性に関して後回しにされているのは非常に残念。
デミオはマツダの救世主、だとすれば日本仕様くらいもっと静粛性を考慮してくださいとお願いしたくなります。
よく言われるボディ「剛性感」、これはボディの「変形の小ささ」を表す言葉。
「強度」と言えば割れにくさなど「壊れにくさ」を表す。
ボディ剛性感が高いと感じるクルマは評価される。だけどしなやかさだって同じように重要なポイント。固くてシナヤカなんて矛盾するハナシだけど、メーカーのボディ設計者が重視する点らしい。要所を固めて別の要所はしならせる、とか。
で、DYデミオ。ボディ剛性感はCセグメントレベル。サスペンションの動き方も高級な感じがする。
しかし走行中、特定の状況下でのフロア微振動は目立ち、フロントシート足下だけじゃなくリアシート足下まで振動する。
ざらついた路面やエンジンの振動で、ブルブルじゃなくて細かなバイブレーション。とても気になります。
ガツンとくるような段差では悪くないだけに残念。
凹凸を超えた時でもDY型デミオは衝撃がススッと収まり、DE型デミオではリヤサスペンションの弾みの納まりが遅い。
コンパクトカーとしては大きいサイズですが想像よりも小回りが利きます。
またコーナリングでもきちんとサスペンションが動いて安定しているので運転に自信のない女性でも安心してドライブできます。
2代目デミオが登場する前には、コンパクトカー界の質感を一気に高めた初代ヴィッツが発売され、「ガマンして買う」から「欲しいから買う」といえるほどの魅力を持つジャンルになりました。
またトヨタのbB(ビービー)、ホンダのフィット、日産キューブなど車内スペースをウリにしたBセグ・コンパクトも出そろいます。これらライバルはどれも人気モデルと言えるだけの強豪ぞろい。
魅力的なジャンル=ライバル多数。Bセグというジャンルが成長し、ハイト系コンパクトが増えれば増えるほど、デミオの立場は厳しく。メーカーのブランドイメージが圧倒的に弱いマツダですから、ニッチ市場でなければ結果は見えています。
そんな中で2代目デミオ、キレがなければコクもない。凡庸と言うより手抜きと評価したいエクステリアは、チープ&チープ。しかも中途半端に古ぼかしいボディデザインでぱっと見の魅力は全くなし。
デミオは相対的に「普通のコンパクトカー」から「通好みのコンパクトカー」にポジションが変わりました。
当時の競合車種の中でもずば抜けてサスペンションが良く走行安定性も良い。しかし短時間の試乗だけでは魅力は分かりづらく全体的に地味。乗員に対する気配りだって大きく不足。長所も短所もわかりにくい、至って普通のクルマと評価されやすいわけです。
DYデミオは2005年のマイナーチェンジでコンポーネンツの一部をチェンジ。カタログ燃費が向上すると思われる、パワステやアクセルのシステムを変更しています。
具体的には、パワーステアリングを油圧式から電動式に変更。ワイヤーによる機械式スロットルもフライバイワイヤーの電子制御スロットルに変更されました。
どちらもライバル他車では一般になっていた方式に変更しています。
システム的には過渡期。電子制御だからって良いワケじゃありません。電動パワステ、電子制御スロットル、よく言えば賛否両論。悪く言えばオタンコ。制御プログラムの進化が待たれます。
※当サイトは辛口の試乗評価が特徴です。評論家様がお伝えしにそうな点も記載しています。
初代デミオは「倒産寸前のマツダを救ったクルマ」として有名。
初代デミオはDW型。コンパクトカーは人も荷物も載せられないという概念を覆したとのこと。キャッチコピーは「小さく見えて、大きく乗れる」や「SMALL & BIG」。こんな部分からもスペース効率や実用性の高さをウリにしていたのが伺えます。
今では珍しくもないハイト系コンパクトカー。初代デミオはコンパクトカーのハイト系パッケージングで元祖といわれています。販売的にも成功を収め、倒産寸前だったマツダの救世主だったみたいです。
当時のテレビCMではバスケットボール界のスーパースター、身長が2m以上あるNBA選手「ピッペン」がハッチから登場するCMが印象的。筆者は現役世代じゃありませんがネット上でCMを確認することもできます。
2代目となるこのDY型デミオも、初代のコンセプトを継続。若干ボディを大きくし、更に広くなった室内空間がウリのひとつ。
自動車好きには、コンパクトカーのクラスを超えた乗り心地と、横幅からすれば背の高いクルマなのに落ち着いたコーナリング感覚を持っています。
動くけど動きすぎないショックアブソーバーによる心地良い弾み方。運転している感が強いステアフィール。そこからくる走りの楽しさ。今現在でも十分通用する質感を持ったサスペンションが好印象。
3代目デミオ(通称DEデミオ)は この2代目DYデミオからガラッとキャラクター一新。
デミオのネーミング由来は「でっかくミニマムおクルマ」みたいな感じだろうか、コンセプトからそう想像できる。それがDEデミオではガラッと変わり、これもうデミオじゃない!といえるほどの大変身。
別の車名を与えた方が良いんじゃないかと言えるほどの変身で、ユーザーの代換え需要などはどうなった?新しい生活を望む人だけじゃなく、現在の生活を続けたいという考え方も多いと思う。
そんな心配はモノともしない大変身により、DEデミオはボディデザインだけじゃなく、コンセプトも利便性も乗り味も、全く逆方法に変わる。
そんなDEデミオはコンパクト業界において特出したハンドリング感覚が素晴らしいクルマ。
高性能とかハイパフォーマンスというわけじゃない。自然に感じられ気持ち良くハンドルが切れる。気持ちの良い姿勢で立ち上がれる。ステアインフォメーションなどドライバーに伝わる情報も多くわかりやすい。
つまりDEデミオは、ハンドルを切った際の良さは同世代ライバルから引き離している。
そんなDEデミオは、内装など特別安っぽい。また乗り心地もチープで不快。この点では逆立ちしてもDYデミオには追いつけず。リアシートの広さやラゲッジスペースの使いやすさについてもDYデミオに完敗。
DE以降はマツダ車含め、強いハイキャスターのコンパクトカーが増えている。これは低速度域でのコンパクトカーらしい良さを感じにくくなる。
ということで、DYデミオの魅力も積極的に選択できるし、DEデミオの魅力も積極的に選択できる。キャラクター違いの豪華一点主義。必ずしも新型が優れているわけでもないのが中古車選びの楽しさ。
DYデミオの長所短所はよくわかった!評価も比較も問題なし!欲しい!となれば気になるのはモデルの古さ。
DYデミオの販売時期は2002年〜2006年だから希望するほど長く乗れそうな中古車があるのかないのか。
基本的に同じクルマとなるベリーサ。DYデミオの販売が終了した後も継続して販売されています。ベリーサの販売はなんと!2014年8月まで。最終モデルの新車時価格はおよそ160万円程度。
楽しい中古車カーライフを楽しむ為には、軽微なトラブルは気にしないのが1番。
安心を求めれば割高な中古車になってしまうし、それが完璧という保証はなし。そもそも仕入れ価格はわからないし、10年落ちクラスになれば価格はあってないようなもの。
そんな買い方はちょっと...。そんな場合の味方にベリーサをぜひ。ベリーサなら日本専売モデルという安心もついてきます。
ベリーサもマイナーチェンジでパワステの機構とスロットルバルブの機構が変わっています。
気にされる場合、登録年月だけで判断するのは少々危険なので、画像を参考に確認されればベストです。
左の画像が電動式パワステ。右の画像が油圧パワステ。
2代目DYデミオは、とにかく気持ちの良い乗り味の持ち主。
動くけど動きすぎない絶妙なセッティング。段差が楽しくなる不思議なクルマです。低価格をウリにした国産コンパクトカーしてはまさに異質な存在。
続く世代のコンパクトカーと比較してもこの点は劣ってません。寧ろ立派! また、車重が重くても実燃費が悪いワケじゃないのもお伝えしたい点。
荒れた路面での乗り心地は良質。しかし快適性すべてが優れているかと言えばそうじゃない。
静粛性は低いし、微振動は多い。また乗員への気配りも不足。各部操作性も良くない。
DYデミオの豪華一点主義かつオーバークオリティな部分に惹かれれば、それは10年落ちでも十分魅力。当記事執筆は2015年初頭。まだまだ魅力を感じさせてくれます。
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写真はベリーサのボンネット内。電動パワステと油圧パワステの各タイプ。
鍵はカードタイプのスマートキー。ただしプッシュスタートではない。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。