2008年式V36スカイライン・グレード「250GT」を試乗しました。
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先代V35をブラッシュアップし、内外装の質感アップがされたV36スカイライン。このページでは2500ccモデルを取り上げています。
試乗内容は限定的。第一印象重視です。
足回り(サスペンション)は固いです。如何にもスカイラインといったキャラクターですが、従来より固さが強調されています。乗り心地が良いタイプではありませんが、突っ張っているだけでもない欧州車的乗り味が魅力。
従来からのスカイラインとサスペンションの方向性は似ています。固くても動き出す部分は減衰力が抜けていてストローク。伸び側減衰力は弱めで、大きくバンプすると底付きのような反発感あります。
今までと違うのは固くてもストローク長めに動き、大きく動いているように感じられる点。それから沈みきった部分と元にもだった部分がビシ!バシ! 固いスプリングが動いて止まってが凄く早い。
こんな乗り心地は相当にスポーティ。ドライバーには許容範囲内かもしれませんが同乗者はキツイです。もう少しゆっくり戻りしてくれれば同乗者の揺すられ感も減りそうなので、お好みでなければマイナーチェンジに期待して下さい。
ブレーキを掛ける、ハンドル切る、段差を越える。またドアを閉めた時だって、安っぽい音が響かない。こういうところでボディ剛性感なんていうのを感じてしまいます。
演出だとしても実際の剛性とかよりわかりやすい。より上級車に乗っている気分になれます。
走行中コーナー外側に段差があると、クルマの違いが強く出る。ステアリングの感触が変わったり、クルマの挙動に不安感を抱いたり、伝わってくる衝撃から不快な乗り心地を感じたり。
こんな時スカイラインは、固めのサスペンションでも動きが良いのが安定感に繋がっている。リアサスがバタバタしたり、横方法にブルブルするような感覚は少ないです。良く出来た上級車を感じられる場面で、ドライバーにとっては心地良い揺すられ感とも思えるくらい。
乗り心地はここでもボディ剛性感というか、音や振動の減衰が早い。ドガンとかガシャンなんていう安っぽい響きは皆無。嫌な音がしなければそれだけで走りやすいもの。
もっと日常的な部分では、普通に後輪駆動車らしい良さを感じられます。ハンドル中立付近の穏やかな反応から、手応えあってキビキビ感も出てくる大舵角までバランス良好。
このあたりは後述する3500ccモデルより好印象。自然というかクセがないというか、初めてでも走りやすいです。
コーナーでハンドルを切ると、優しくヨーが立ち上がり、いかにも上級セダンらしい感じで曲がり出します。固いけどクイック過ぎない落ち着きから始まるコーナーリング。この落ち着きって高級感あるよね。低レベルなキビキビ感よりよほど好感度高い。
コーナーでのサスペンション質感は上級グレードの「350GT」の方が良く感じます。国産車では珍しい、積極的に動く足。2500ccモデルとは異なる車重の差も効いているのでしょう。
350GTのサスペンションは、ジワッとゆっくりロールして、フラフラせずに元に戻ってくれる。動いてくれるから走りやすく、それがゆっくりだから安定感高い。
動くサスでありつつ、高い減衰力も持ち合わせます。ドライバーの丁寧な動作と、滑らかに走りたいという思いに応えてくれるクルマです。
しかしドライバーが感じる走りやすさはボディやサスだけではありません。
ステアリング特性という要素。スカイライン350GTではここがアグレッシブ。ステアリングと舵角の関係、曲がり始める挙動にクセがあって神経使います。
総合すれば2500ccの走りやすさに軍配と評価。3500ccはコーナーで、意識して体の垂直に保つくらいのペースになって、良さが強まります。
スカイラインの2500ccモデルはFRらしさがわかりやすいんです。これは間違いなく魅力の一つ。ステアフィールの良さというわかりにくい部分がわかりやすい。切り込むと重くなるステアリング、全開加速中も強くなりすぎない直進性など。
スカイラインと比較すれば、クラウンなどは名前の為のFRなんて感じてしまう。電動パワステの味付けでFRらしさをスポイルしちゃってるように感じます。
ボディ剛性感は非常に高い印象。詳しいことはわからないので、あくまで「感」ですが。
乗り心地の悪さはこの剛性が原因かもしれません。ただし硬いボディに固いサス、ちなみにブッシュの容量は増えた印象で、コトコト音はだいぶ減っています。
よくいう「ガチャン」が「ガタン」に変わっており、ついでにいえばあまり不快な音はしません。まとめると、乗り心地がいいわけではないが不快な音はほとんどナシ。
新車から1年も経過すればどうなるか、それはわかりません。乗り方にもよると思います。
2010年1月(平成22年1月) のマイナーチェンジで、ミッションは新世代の7ATに。これで段数上はトヨタにもレクサスにも引けを取らなくなりました。あっちは6ATです。
質感は現時点で不明。3700ccエンジン搭載グレードではかなり質感がアップしていました。もうキックダウンも怖くありません的な感じ。旧来の5ATは本当にオタンコなフィーリングでした。スカイラインの中古車を狙うにしてもがんばって7ATモデルを選びたいところです。
また、このマイナーチェンジで、V36スカイラインにはナビゲーションが標準になりました。
(一つだけ廉価グレードがあり、Aパッケージというグレードを選択すれば、ナビ無し低価格で購入)できます。
ナビゲーションが標準装備となり、当然価格は上昇しています。ナビが標準になっても、中古車を買うなら相場は特別変わりはありません。でも新車購入では懸念材料も一つ。高価なオプションを付けることで値引きを引き出せたものが標準装備となれば、値引きは若干厳しくなる可能性はあります。
2012年、スカイライン誕生55周年記念モデルが発売されました。555台限定ということで、赤い本皮シート(ヒーター付)と専用ボディカラー「ガーネットブラック」が特別装備。
この特別なスカイラインの新車価格は2500ccが400万円、3700ccが450万円となっています。
この価格だけみれば非常に高価ですが(フーガの価格帯です)、ベースモデルがそれぞれ装備充実のグレードとなるため、実質的な価格アップは10万円くらい(ベースはタイプPとタイプSP)。本皮シートに上質な塗装が付いてこの価格アップは非常にお得。記念エンブレムはクエスチョンですが。
実際には値引き分で差が付くはずなので、そのままお得かどうかは微妙ですが、本皮シートの魅力は非常に高い。限定といってもすぐに売り切れるわけではなそうなので、場合によっては魅力的なモデルです。
マイナーチェンジで大幅変化する”ビッグマイナー”を行う可能性。そんな予感を感じます。
ハンドルを回す楽しみがあり、ボディの質感も体感出来るだけの高さがあるだけに、細部の煮詰めの甘さがもったいない。アメリカ人は良いかもしれませんが、日本人は繊細。素人の筆者でも、あーでもないこーでもないと文句を言いたくなります。
一番のライバルとなるマークXと比較すれば、ハンドリングや足回りの上質感でスカイライン優勢。一方でエンジンとミッションの質感でマークX優勢。
どちらも大きな長所に致命的な欠点を抱えてるようなものだから評価に困るし購入に悩む。結局、筆者の結論としては、どっちも保留。こういった場合はリセールバリューで選ぶのもありかと。
試乗レポートはスカイライン3500ccエンジン搭載グレード、「350GT」に続きます。
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評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。