「ATREZZO ZS+」タイヤ比較と評価

タイヤ使ってみました!
アジアンタイヤ!

コンフォート性能として乗り心地をメインに、タイヤによってはサーキット走行でのレビューも。

SAILUN「ATREZZO ZS+」の使用感

SAILUN=サイレン。中国のタイヤメーカー。
SAILUNから発売される輸入タイヤ、「ATREZZO ZS+」の使用レポート。

輸入と国産の輸出向けタイヤ、筆者はここで購入

タイヤの位置づけや価格イメージ

タイヤイメージ01とにかく価格重視のスタンダードタイヤがATREZZO ZS+。ネーミングから想像できるように、SAILUNの中では上級グレードですが、実際には19インチサイズで4000円ほどと、とにかく特別な低価格が魅力。

評価や履き替え前のタイヤとの比較など使用感をまとめます。

SAILUN ATREZZO ZS+ の参考価格

  • 205/45R16 ・・・ 約2000〜3000円
  • 205/40R17 ・・・ 約2000〜3000円
  • 225/40R18 ・・・ 約3000円
  • 245/35R19 ・・・ 約3000〜4000円

タイヤ通販サイトで価格チェック(一覧ページ)

 

価格と取り扱いの有無は変動しています。

タイヤを使用した車

SAILUN ATREZZO ZS+をマツダ・デミオ(1500cc)で使用しました。

タイヤサイズは「195/45R16」

試乗レポ:デミオ・スポルト(DE5)

デミオの新車時装着タイヤ「TOYO・プロクセスR31」 の履き替えということで、一部比較も含みます。

タイヤを見て、使って、思うこと

タイヤは特に評価基準、判断が難しく、テスターの体調次第で比較評価が変わってしまうほど繊細です。主観を多く含む評価になってしまう点をご了承下さい。

※記事中のタイヤ空気圧、圧力単位は 「kgf/cm2」。
※XL規格=ヨーロッパのETRTO(エトルト) XL規格。

タイヤのキャラクター

超低価格 + スタンダード系 (XL規格)

ATREZZO ZS+ タイヤの概要

タイヤイメージ06

SAILUNの上位グレードにも関わらず、非常に低価格な輸入タイヤ。特に19インチや20インチの大口径タイヤはとにかく安い

メーカーアナウンスでは、左右非対称トレッドパターン、高い快適性能や耐久性、十分な品質、なんてなっていますが、実際に使用してみれば価格なりな印象。

とにかく安いという昔ながらのアジアンタイヤといったイメージ。

そうはいっても意外に良い特徴もありました。どんなタイヤかは下記に続きます。比較となる部分は新車時装着タイヤ。銘柄名はプロクセスと立派でも、実際はたいしたタイヤではなく、普通のOEMタイヤです。

「ATREZZO ZS+」で走行した印象

使用レポート1:快適性能

乗り心地が元々よくないデミオとの組み合わせ。このATREZZO ZS+は、乗り心地は悪い、空気圧を高めた状態での印象だけど、小さなボコボコを拾いやすく、段差ではタイヤがバネを役割をしていないような印象。

タイヤイメージ02

タイヤ空気圧高ければ、段差でかなりの衝撃が伝わってくる。パンパンと跳ねるというレベルじゃない。

空気圧が低めだと、路面が荒れている程度でドタバタ凄く、残念ながら単純に空気圧下げれば乗り心地が良いとはならなかった。

他の低価格輸入タイヤと比較すれば、思ったより柔らかめのタイヤなんだけど、ちょっと空気圧変化が大きいのかな?普通に走行して0.2キロくらい上がっているような感じ。

柔らかいと感じたり乗り心地悪いと感じたり、タイヤ内圧が上がりやすい事が原因かもしれない。

静粛性について、こちらは乗り心地と比較すればマトモ。コンパクトカーとの組み合わせではうるさいことには変わりがないが、超低価格タイヤとして常識的な範囲内。アジアン系スポーティタイヤよりは静か。

乗り心地に関して、試乗車デミオのサスペンションスプリングを交換する機会があったのだけど、ダウンサスでも固く、純正バネでも固く、少しのバネレート違いくらいは吹っ飛ばすくらいの乗り心地。
タイヤ以外では、ショックが動きやすいダウンサスの方が当たりが柔らかい場面が多かった。

使用レポート2:パフォーマンス

タイヤイメージ03

ステアリングを握ると、とにかく手応えがないのが目立つ。ゆっくり直線を走るだけですぐにわかる。

中立からステアした後まで、手応えがなく、いつでもトレッドゴムがヨレているみたい。最初からハンドルが軽いクルマとはちょっと違う印象ね。

デミオはもともと真っ直ぐ走りやすいクルマだからまだ良いももの、手応えのなさから不安を感じる時もある。

どのくらい手応えないかといえば、ドライ路面も考えられたという、”高級スタッドレスタイヤと同程度”

関連ページ:スタッドレスタイヤでドライ路面を走る印象
ダンロップWINTER MAXX &ジオ(スタッドレス)

グリップ力。ドライもウェットもかなりグリップ力低い。コーナー立ち上がりでちょっと駆動力をかけただけでステアリングの手応えがさらに無くなる。最初は、ヨレまくりなのか滑り気味なのか、判断に迷うこともしばしば。「えっ、これで?」みたいな。常にそれなりのスリップアングルが付きながら曲がって加速するような印象。
コーナーが続く道のウェット路面では制限速度厳守。雨の日の首都高、走りたくありません。

もちろん、ブレーキングですぐロックというわけじゃないから、ローグリップなタイヤをお探しの方にはいいかもしれない。人間がとっても余裕な段階でズルズルを経験できます。

面白いのは、グリップ力はかなり低く、トレッドのヨレも大きいのに、タイヤからのインフォメーションを感じやすいという特徴。デミオとの組み合わせでは、ヨレとかグリップ感とかがわかりやすい。

だから恐怖感も感じるかもしれない反面、ちょっとした楽しさがある。例えば、膨らむからハンドルを切り増しするんじゃなくて、別の対処方が取れるし、減速時に滑りやすい路面に乗った際も一緒。次元は低いけど学習には向いているかもしれない。

使用レポート3:白く凍った路面などでは?

タイヤイメージ04

1月1日の早朝、路面が真っ白に凍ったクネクネ道を走行してみた。

結果、ハンドルの効きがものすごく悪くなる状況で、以外にも他のタイヤと同じような感じで走行できた。遅れてヨーが立ち上がってもリアが不安定になることはなかった。

こういった路面、ノーマルタイヤだと差がない?

別の日、雪が降った日の深夜、所々、路面が凍っている日に走行してみた。結果、意外にも走りやすい。目で見て判断するより、クルマから伝わってくる情報で路面の様子を感じ取れた。

ハンドル、ブレーキ、アクセル、滑り出したら停まらないなら滑らないように走ればいいじゃないって感じ。こういった部分はもしかしたらクルマの特徴かな。

使用レポート4:タイヤ空気圧の調整

このタイヤ、ATREZZO ZS+はXL規格。同サイズでより荷重に耐える規格らしいけど、通常より高めに空気圧を入れる必要がある。そしてXL規格のタイヤは一般的に、少し高めの空気圧でも乗り心地が悪化しない傾向がある。

アジアン系輸入タイヤで多いこのXL規格のタイヤでは、空気圧2.5キロあたりが基準になることが多いように感じられる。

いろいろと輸入タイヤを試してきて、2.5キロと2.7キロで乗り心地に差が感じられないタイヤもあった。一応、乗り心地のスイートスポットとしてはどれも2.5キロより下になるというのはある。

このATREZZO ZS+の場合、冷間時で空気圧2.3キロより低いと、平らに見える路面でもドタバタする。大きなうねりや段差では多少は柔らかいももの、とても乗れたモノじゃない。2.4キロあたりでかなり落ち着く。極端すぎて不思議。スイートスポットが狭いと感じた。

新車時装着タイヤでは2.4キロほどが指定される事も珍しくなくなった国産ブランドのタイヤだけど、乗り心地に関しては指定地とはまた違う。

1.8キロとか2.0キロあたりの乗り心地が良い事が多いので、輸入タイヤのレンジは一つ上。調整時には、いつもの感覚より高めの空気圧からスタートするのをオススメ

燃費について

タイヤの転がり抵抗について、発進時には体感出来るほどの悪さは感じない。けど、アクセルOFF時にはちょっと減速が早い。

アクセルOFF時の速度低下時間をストップウォッチで計測すれば、やっぱりそんな感じが伺える。
実際の燃費については現在のところ、計測していません。

約5000km走行後の耐久性とか

5000km走行後

写真はATREZZO ZS+を装着してから約5000km走行後のフロントタイヤ

減ってきているのが目で見て確認出来る。耐久性を考えるとちょっと減りが早いか。

普通の国産タイヤでは2〜4万kmを走って交換している乗り方です。

2万km走行後の耐久性とか

20000km走行後

3年2万km使用した時の写真(フロントタイヤ)

スリップサインまではあと1〜2mm。何らかの理由で初期の頃より減りづらくなった。固くなったのかな、ライフは予想より延びた。

この写真は交換直前。残りミゾはまだまだ問題ないんだろうけど、少しだけバイブレーションが出てきた。時速20km以下といった極低速時にほんの少し気になる。ポンポンポンポンという感じかな。

原因は、タイヤの変形が大きくなったとか真円が崩れたとかそんなところだろう。タイヤ構造に柔らかい部分があると予想。この音とか振動は誰もが気付くレベルじゃなく、ほんの少しなんだけど、交換してしまった。もしサイドウォールが痛んでたら大変だからね。

この次のタイヤはまた輸入タイヤで、ミネルバというブランドをチョイス。

「ATREZZO ZS+」評価総合

タイヤイメージ05

試乗すれば快適性能も走行性能も最低レベルという残念な結果となってしまったSAILUNタイヤ。

比較対象が古くなった新車時装着タイヤにも関わらず、多くの場面で乗り心地悪く、グリップ力はかなり低く、手応えないハンドリング

多少評価出来るのはスポーティ系タイヤよりマシな静粛性と、路面インフォメーションのわかりやすさ。

全く良いところがない訳じゃないけれど、価格なり。現実的なタイヤです。とにかく安い。これぞアジアンタイヤ。
さすがにこのタイヤは安すぎということですね。

価格は比較して19インチサイズ以上がかなりオトクで、大口径サイズは妥協して選択する価値あり。逆に16〜17インチサイズは厳しい。わずかな差額でもう少しマトモに走るタイヤが購入出来るから、よほどのことがない限りオススメできません。

こんなクルマ、こんなドライバーにぴったり

  • 大口径サイズがとにかく安い!普通は価格の高い19インチサイズなどを安く買いたい方。
  • 直線のみ、近所のみ、晴天のみ、走行。そして車両保険完備な方。

騒音・ノイズなどのチェック

騒音計での計測

SAILUN ATREZZO ZS+、市販の騒音計を利用し、ノイズを計測してみました。単位はdB。
騒音計ということで音圧に補正が掛かっていますが、人間が感じる不快さとは違います。耳障りな音とか、そういった感覚は含まれていません。

  • タイヤサイズと空気圧・・・195/45R16 / タイヤ空気圧 F2.5・R2.5(kgf/cm2)XL規格
  • タイヤの使用状況・・・購入後、走行2000〜3000km使用。
  • 車両・・・2008年式・マツダ・デミオ(スポルト1500cc)
計測1 : 周囲の騒音
環境ノイズ / 52.9dB前後
停止時の車内騒音
エンジン回転数・・・600rpm / Fシート・・・46.5dB Rシート・・・47.2dB
エンジン停止時 / 未計測
巡航時の車内騒音・荒れた路面、細かなデコボコが多い道路
時速50キロ走行時 / Fシート・・・71.4dB Rシート・・・71.8dB
計測2 : 周囲の騒音
環境ノイズ / 52.0dB前後
巡航時の車内騒音・綺麗な路面、比較的新しい舗装の道路
時速50km走行時 / Fシート・・・65.3dB Rシート・・・65.2dB
時速80km走行時 / Fシート・・・67.5dB Rシート・・・67.58dB
 

タイヤ空気圧が高いと、騒音(ノイズ)は大きめになる傾向があります。計測時はXL規格のタイヤとして一応適正値。
時速80km以上では、エンジンノイズによりFシート側がよりうるさくなりました。

すべてアマチュアレベルの計測なので、厳密な正確性については期待しないで下さい。

アクセルオフ時の転がり抵抗

アクセルオフ時に惰性で走る距離
時速80kmから50kmまでの減速タイム・・・17秒04 (3本計測の中間値)

タイヤメーカーや販売店がアピールしている点

  1. 高度な技術力、高い品質。日本の学術機関と協力。
  2. 左右非対称トレッドパターン、快適性能や耐久性を重視。
  3. SAILUNタイヤのホームページ http://sailuntire.jp/ 日本語です。

似たようなキャラクターを持つタイヤ銘柄

安いタイヤの場合は組み付け工賃がネック。だからアルミホールセットがとてもオトク。送料が無料になったりも含め、差額は最小限です。

このデミオで別のタイヤもテスト&評価

他のタイヤ、他の車種でもテストを行い、データを集めています。

フロントタイヤ

あのコンチネンタルタイヤの1ブランドというミネルバを使用しました。

輸入タイヤだって最低限の安心感は欲しいという方にもピッタリだと思います。

比較参照:デミオでミネルバブランドのタイヤを使用
ミネルバemi_zero_hpの使用感と比較評価
タイヤに関する基本ページはこちらです
輸入タイヤや空気圧についてなどタイヤ基本ページ

輸入&国産の輸出用、筆者ヒラリーが購入してるお店

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