ホンダきっての軽スポーツといえば、やっぱりビートでしょう。
かなり古い車で、2004年現在あまり見かけることもない車ですけど、中古車を発見すれば完全にプレミア価格です。ビートってすでに10年落ちですものね。後継車が出てこないから希少価値の高いくるまです。
そんな、ホンダの軽スポーツとして一部のマニアから相当な人気のあったビートですが、軽自動車としては高めの価格設定で、カプチーノやAZ-1といった強烈なライバルもいたために、一般的には人気がなかったと覚えています。
そう、マニア向け軽自動車の中でもさらに上を行くマニア専門のクルマ、それがビート。ライバルはターボで武装。ビートは高回転型NAにこだわったという違いから、パフォーマンスからして割高に感じます。
ビートの新車価格は145万円。このビートは軽自動車の中でも旧規格の時代に発売されたクルマ(現在の軽より2回り小さい)。その時代の軽自動車は60万円くらいで基本的なグレードが買えました。
そんな中での145万円。なかなかの高級軽自動車であった事がおわかり頂けると思います。
自分はビートで峠道を含め、500キロくらいを走ったので、そのときの強烈な印象を書きます。ビートはホンダのブランド力があってこその車で、乗ると、実は遅いだけ、特徴的なインパネを含む開放感で、バイクのような感覚を楽しむ自動車です。
ホンダのイメージってすさまじく、ホンダというだけで速いようなイメージをもってしまいますが、ホントに遅いんです。広い道だとタクシーに負けちゃいます。エンジンはかなりうるさく、耕耘機のような音で、しかもこのスタイル。で、遅いと街中では恥ずかしくなってしまいます。
エンジンは軽自動車ならではで、MTミッションのフィーリングは悪く、ホンダらしいようなホンダらしくないような、おもちゃの車って感じですが、峠道に行くと、リアはかなりクイックに滑ります。もっさりとしたハンドリングから一転して急にリアが出ます。
ハンドリングもダイレクト感溢れるモノで、パワーステアリングはないかもしれない。そんなステアリングを回しての修正舵はなかなかシビアで、けっこう怖いです。私レベルでは下りの峠でフルブレーキはしたくありません。
元F1ドライバーのJ.ハーバードが、とんでもなく遅いけど運転して楽しいとおっしゃっていました。きっとビートは運転のうまい人だったら最高に面白いかもしれません。
ビートはNA660ccの64馬力。試乗して感じるパワー感は低く、レッドゾーンまで回そうが、特にパワーが付いてくるわけではなく、数値の意味にクエスチョン。音もガサツです。
ホンダが気合いを入れて開発したエンジンというだけに期待いっぱいでしたが、初めて試乗した後は落ち込みました。残念ショックです。本当に高回転域で加速をしているのか?カタログスペックはあてにならないって本当に思います。
ただし、AZ-1やカプチーノのドッカンターボよりは断然扱いやすい!これはビートの利点です。例えばカプチーノ、低回転では加速をしないのでアクセルをいっぱい踏まなければなりません。
そしてブーストがかかる回転数になると、一気に加速を始めます。加速を感じたらアクセルを戻さないと前に飛び出してしまいます。こんな感じで絶えずアクセルの調整が必要なんです。
NAエンジンのビートなら、そんなことはありません。
ちなみに乗り心地は、この手の軽自動車スポーツとしてはライバルと比べればそんなに悪くないです。
しかし悪いのは悪く、剛性感低くサスストロークもないので、軽くてピョンピョン跳ねます。同世代のスターレットGTターボみたいの感覚です。ちなみにハーシュネスはひどく体に伝わってきます。ギャーギャー、がしゃん、がしゃんと。
ビートが生きる道を探してあれこれしましたが、パワーがなさ過ぎてちょうどよく楽しめる道が見つかりませんでした。
思いっきりブレーキしてコーナーに進入するだけの加速ができない。加速しながらコーナーを抜けようとするとプッシングパワー関係なしで加速できる「下り」はリヤがリバースすると不安ですし(ちょっと怖い)。
楽しいといわれるビートで楽しみを味わいたかったのですが、私には非常に難しい一台でした。ちなみにこんな私でも、ライバルのカプチーノやAZ-1なら、楽しいです。
運転はシビアでまるでレーシングカーのよう、雰囲気で楽しめるのはAZ-1。ドッカンターボでも走っていればいつでも楽しいカプチーノ。
この3台はよ〜く運転しましたが、こんな感じでした。
結局のところ、ビートは開放感で乗る車ですね。カート感覚のスポーティ差も欠けているし、上質なわけでもない。ライバルのAZ-1が本格軽スポーツだとすると、ビートとAZ-1との中間にカプチーノって感じでしょう。
その中ではビートが一番気楽に乗れて、室内も広く、おもちゃ感覚で開放感もあり、買い物もいけない事もないです。
ビートとは、ホンダのブランド力だからこそできた、あまりに商品価値と計画性のない、技術者の一人よがりと思わざるをえないビートでした。好きな人は誰になんと言われようとも、いつまでも乗っていられる、これがビートのすばらしいメリットです。
ビートの加速力だと楽しむにはちょっと辛い。ある程度のエンジンパワーは楽しさを得るために絶対必要だと考えます。特に思い入れがなければ、このサイズとこの価格ではまともに走れるクルマはないと割り切って、他のクルマをオススメします。
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評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。