辛口比較・評価評論。試乗車は平成初期デビューのスターレット(EP82)ターボ付きのGT、5MTモデル。
比較と辛口評価の試乗レポート
車重はなんと830kg!軽自動車に1300ccターボを搭載したようなコンパクト。
速くはないけど、1速全開なんて刺激充分!軽量ボディと出来の悪さで、高出力マシンと同じような刺激。
当記事は記憶で書いています。スターレットが販売してる年代は、筆者はまだ免許を取れる年齢ではなく、中古で購入、売却後にレポートを書いてます。
スターレットは、ヴィッツがデビューする前のトヨタのBセグメント・コンパクト。普通のボディデザイン&内装デザインは人畜無害系と言われてもおかしくない、安いが特徴の実用車です。
メイングレードで搭載されるエンジンは、1331ccの4気筒で「4E」型。ラインナップ中、グレード「GT」はターボ付き。1300ccの低圧縮エンジンにターボが組み合わされ、車重は830kgと超軽量。(後期型は860kg)。
そんなスターレットにパワフルなターボ付きエンジンを搭載したのが、GTというグレード。車重は変わらないまま、中回転から高回転の出力が大幅にアップしています。
NAエンジンを搭載するスターレットと比較し、エンジン以外では大した違いがありません。
ターボが付いてパワーアップした分、シャシーが強化されたかといえばそんなことはなく、サスペンションを固めてピッチングおよびロール剛性の強化だけ、という感じです。低レベルでピーキーなシャシーが目立ちます。LSD?そんなもの知りませんw
お約束通り内装はね、ちょっとイメージが変わります。
タイヤは標準でブリジストンのポテンザRE050という銘柄。アフターリプレイス用タイヤ(交換用タイヤ)と中身は違うことが予想できる。
タイヤ頼みの性能といえば聞こえは悪いけど、なかなかリッチでグリップ指向のタイヤでした。アドバンやファルケンGRベータなどと交換しながら楽しんだものです。
このスターレットの新車販売時期は、平成2年〜7年。筆者はまだ小学生くらいだったかな。自動車の安全性がいわれる前のクルマだから、超軽量が自慢。その代わりハイペース試乗は命がけ...。
免許取得したら購入。若かった自分に恐怖心なんてものはありません。
どこでもタイヤを滑らし、サイドブレーキを引くし、前回で追い抜き。実家に帰るのが楽しみで仕方なかったという。試乗というより購入して練習に使っていました。
車重が軽ければ、加速も良く、燃費も良く、運動性能も良いetc、、、ハズなのですが、それは最低レベルを確保できてる場合のハナシ。ボディ/シャシー性能が良い場合だけだよ。ただ軽いだけだと、単純に安定性のないクルマでしかありません。
軽量ならブレーキも有利そうな?いえいえFF車のリアなんてみんな軽量。実際にはほとんどブレーキ掛かっていない。やっぱりね、元のシステムとコンポーネンツ、テスターによる味付けが重要だと、このスターレットGTに乗ると実感できる。
そんなスターレットのブレーキ、もちろん効かないわけではないけど、軽くて不安定なリアは、すぐに浮かび上がってあらぬ方向を向いてしまいます。挙動も早くコントロールは一苦労。下りではなかなかグリップは戻らない。もちろんABSなんてありません。
フロントではなくリアが出ちゃう。国道で真横を向いた時もある。ちょうど目の前はラブホの入り口。勢いでそのままラブホに入った。ウソのようなホントのハナシ。当時の彼女と一緒にね、めちゃ笑ったよ。
軽ければコントローラブルなんてことは全然ない。滑ってる間のタイヤの接地感が重要なんですね。ハイ。
ただただ、加速力だけなら軽量なのが良い方に体感出来る。1速60kmまでの加速なら、それこそ倍の排気量のクルマより速いんです。
スターレットGTのエンジンは、カタログスペック135馬力と特別高出力なわけでは無いんです。凄いのはトルクカーブ。トルクは2000回転以上のほぼ全域で、16kg付近トルクを発揮。フラットで広いパワーバンド。現代的な特性ですね。
スターレットが発売されていた時期ののターボエンジンとしては珍しく、小型のタービンが使われていました。試乗してもターボラグはそんなに大きくありません。
もちろんターボなので低圧縮、2000回転以下のレスポンスは極端に悪く、ブーストが上がるまでに時間が掛かります。
回転が上がってしまえば、アクセルレスポンスはアップ。キャラクターは大きく変わります。
クルマに慣れれば、この段差を先読みして一定の加速力をキープできます。街乗りではアクセル開けて緩めて加速力をキープ。逆に高回転をキープするその領域では、微量なアクセルコントロールにもしっかりトルクが付いてきます。
スターレット時代のワイヤー式アクセルは、ドライバビリティに優れます。微小な操作に反応してくれてレスポンス良好。最近の電子制御スロットルと比較すれば、細かいアクセル調整ができちゃう。
踏み込んだ瞬間は、カミソリのようにレスポンスがいいわけではなく、ジワッグワッと加速し始める感じ。ちょっとジェントルな立ち上がりが、トヨタ車らしいね。2速以上なら不快感はありません。
なお、ターボ車全般の厳しい部分。この回転数によってアクセルレスポンスが変わるのが、ターボ車のデメリット。同じコーナーでも回転数によってアクセルを踏み始めるタイミングを考えなければなりません。
スターレットを運転すれば、強いトルクステアで1速は訳がわからぬまま加速。加速力は十分!そして刺激がたっぷり!実際以上に速く感じちゃう。ハンドルはさ、右に左に振られっぱなしだよ。
で、ちょっとラフにクラッチをつないでアクセル全開にすれば、50mだってホイールスピンしながら進む。タイヤはしっかりアフターマーケットのポテンザですよ。
軽自動車と同程度の軽量ボディに、倍以上の出力を持つエンジンを搭載してるわけですから、ある意味納得。じゃじゃ馬と呼ばれた理由は直線でもアクセル全開にすればすぐにわかります。
コーナーではタイヤが普通にグリップしている限りでは、当然普通。しかしいっかい滑り出せば、なかなかグリップは戻らず、神経を使います。同世代のセルシオの方が動きがマイルドだ!車重1700kgくらいの20系セルシオ。
グリップナカナカ戻らず、これはフロントのホイールスピンでも、リアが滑った時でも一緒で、キキッとタイヤが鳴って済むことなんかまずありません。
滑り出したらタイヤのグリップが戻るまで、他のクルマ比較で3倍の時間が掛かります。下りのブレーキングなんて、フルブレーキは相当自信がないとできないですよ。速度が高ければ普通にリアからロック。荷重オーバーでフロントがゴメンナサイになるまえに、リアが伸び切っちゃう。リアにウェイトを乗せた方が安心だ。
しかしこの刺激がスターレットの特徴。できが悪い分だけ面白い。だって、レースをしている訳じゃありませんから。
自分が乗っていたスターレットには「TEMS」という減衰力をスイッチで換えられるショックアブソーバーが付いていましたので、普通とはちょっと違った動きかもしれません。ブレーキ踏むとショック減衰力が高まります。
ボディ/シャシー性能に対して大きすぎるエンジントルクとのバランスを取るためか、当時のコンパクトカーとしてはギヤ比はロングで高速型になっています。
具体的には、1速で60km/h、2速で110km/h、3速で150km/hがカバー範囲。(おおざっぱな数値)。シルビアなど2000ccエンジン搭載車と変わらぬようなギヤ比ですが、これでも加速力に問題無く、寧ろ2速まで加速は刺激はたっぷり。
開いたギヤ比と広いパワーバンド。ということで、同じく各ギヤのカバー範囲が広い高回転型のNAエンジン車と比較すると、多少なりともギヤチェンジの回数が少なくなり、ミスの回数が減る。楽しさという点では、高回転化による、角ギヤ守備範囲の広さだけどね。
ギヤ比でいうと、ホンダのスポーツVTECを搭載したモデルと比較すると特徴がわかります。
エンジンが高回転まで利用できると、加速重視のショートなギヤ比が利用できます。8000rpmあたりまで使えるホンダのエンジンですと、より加速型ギヤ比で、ギヤそれぞれで同じ速度までカバーできるというわけです。
ミッションの楽しさであり、パワーだけで単純に比較できない面白さです。
スタートレットにはブースト圧を切り替えるスイッチが付いています。これにより通常はローモードで走る方も多いらしいです。
そんな場合でも、低回転から加速をする必要があれば、ハイモードに切り替えてください(ローモード切り替えスイッチをオフに)。でないとほとんど加速しません。助手席の彼女との連携が大事、ですねw
トルクステアとはFF車の欠点として良くいわれます。これがあるから高級車は後輪駆動という話もあるくらい。
では、トルクステアとはなにか??
ちょっとパワーのあるFF車で、「1速に入れてハンドルから手を離してみて下さい」。ハンドルが勝手に切れる場合がありませんか?
または、「ハンドル切ってゆっくり旋回中、ハンドルを持つ手からチカラを抜いて、グッとアクセルを踏み込んでみて下さい」。ハンドルに余計なチカラが伝わってきませんか?
そうです。これがトルクステアなんです。
スターレットGTで1速フル加速すると、ハンドルは右に左に揺すられる。筆者レベルでは意識して修正している余裕はないので、無意識に修正しながら適当に加速することに。
タイヤがポテンザやアドバンクラスなら、一旦グリップして加速し始めれば、回転が上がったからといって急にグリップを失うことはありません。つまりグリップしてからのホイールスピンは起こらないので、しっかり前とタコメータを見て、加速が落ちたところでシフトチェンジを行って下さい。
※低価格なスタンダードタイヤだと、クラッチが滑ったように、速度上がらず回転数だけ上がってしまいます。これはホイルスピンしてる証拠。
加速は2速までなら速く、刺激があって実際より速く感じることができます。
実際の加速力的にも、2速までなら2000ccターボクラスと同じように加速できます。しかし、そこから3速に入れると、排気量の大きいクルマにはかないません。「軽くて速いのは出だしだけ」というのがよくわかります。
といっても、それ以上だって当時の平均的な2000cc車(NA)と同様に加速できます。その気になればメーター読み180km/hまでは実用的に加速します。
ちょっとした直線があればこの速度を体感できますが、ブレーキはシビアですのでご注意下さい。ブレーキ踏みすぎればフロントロック、エンジンは止まります。ブレーキ離してエンジン始動しますが、ブレーキだけは余裕を持ってぜひ。
筆者ヒラリーがこのクルマに乗ったとき、比較対象がバイクだったこともあり、クルマはタイヤが滑っても怖くないと思っていました。
しかし、しかしです。その後にコントロール性のいいロードスターや、リヤが安定したビッグセダン、地面に吸い付くベンツやBMW、様々なクルマを運転するにつれ、スターレットはピーキーだって事に気付きました。
低い速度でタイヤが滑り、ホイルスピンしてしまうフロント。下り坂でグリップを失うとなかなか回復しないリア。
スターレットは良くできたクルマではありません、しかし刺激は十分、練習用にもちょうどいい。スターレットGTは、他のクルマと比較・評価できるようなレベルのクルマではありません。
しかしよく考えたら、1台だけ同じようなクルマがありました。それは「ホンダ・CR-X」。生い立ちの軽薄なスターレットと異なり、ホンダが一生懸命に開発された専用モデル。軽量化されリアシートのスペースなど最小限。コンパクトカーというよりコンパクトスポーツと呼びたいほどです。
(ハイブリッドのCR-Zと比較しても、志は高かったと思います)
そんなコンパクトスポーツがなぜスターレットの比較対象かといえば、それはやっぱりコンパクトカーの挙動だから。
CR-X、運転の上手な方には問題ないかもしれません。でも筆者ヒラリーレベルでは、コーナーでリアがピーキー。ライン外せば修正がピーキー。下りのフルブレーキはやりたくないレベル。
こちらCR-Xも様々な動きを教えてくれました。超ハイパワー車より安全に、どこでも全開。運転レベルがメキメキ上達します。
スターレットの後の世代のクルマ、ヴィッツの時代になっても基本的な構造は一緒で、軽量で安価が重視されるコンパクトカー。
つまり、質の高い走りには向いていないのが実用コンパクトカーの特徴です。これはヴィッツターボでもコルトターボでも、VWゴルフGTIでも、さらにはVWシロッコRだって一緒です。残念ながら、実用性最重視で作られた車にちょいちょいと手を加えたクルマというわけです。
楽しいかどうかは別の話。でも、最初から走ることに注力し、一生懸命作った車の方が質が高いのは事実。そんなこんなでコンパクトカーは、リヤを重くするとバランスがいいことがあります。
などなど。自分はスターレットを所有していた時、トランク部分にお米30kgを乗せて走っていました。多いときでは外したリアシート部分にプラス30キロの計60キロ。
ウェイト60kg乗せると、ブレーキ時の安心感が一気に向上。また違いがわかるようになってくると、タイヤの空気圧0.1キロの差も感じられるようになってくるので、コンパクトカーが楽しいおもちゃになってくると思います。
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エンジン質感 | |
質感は良くはないけど、当時のコンパクトカーはトルクが付いてくるだけで高評価。 |
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足回りの質感 | |
サスって何ですか? |
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内装の質感 | |
至って普通。シートは丸。 |
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外装の質感 | |
至って地味。 |
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快適性 | |
静粛性は最悪レベル。シート外せばトラックと変わらない。 |
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お買い得度 | |
ターボ付いても意外と安い。直線の速さと価格で比較すればコストパフォーマンス最高。 |
スポーティグレードということでとりあえず黒いけど、全体的に至って普通。内装を見てもワクワクするような演出なし。あえて言えばシート表皮その他の絵柄だろうか。
平成初期ころの社外マフラーはとっても静か。見た目だけ。多少ブーストは上がるかと思ったがそれもない。
次の方のスターレットターボ。1速はローモードに固定されてしまう。車重も100キロ増量。だから刺激がない。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。