「間違いいっぱいの自動車選び」。試乗車はアルト(2015年式)。
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スズキ・アルト(型式HA36S)CVTモデルの試乗レポートです。多くの話題を持って登場した「地味だけど地味じゃない」1台。
アルトのスポーティグレードがアルトワークス。ターボエンジンを搭載し、ミッションがMTになり、レカロシートが付いて約150万円という車両価格。
今回、走行1500kmというまだ新車のアルトワークスに試乗できる機会があったので、その際に感じたことを記します。
コーナーが走りやすいね!というのが第一印象。日常走行からちょっとハイペースな走行時、ハンドルを回す操作とクルマの動く感触が気持ちいい。
これは素のアルトからしてそうだから当然かな。必要以上の味付け(個性の演出とか印象づけ)がされていないのが嬉しいところです。
サスペンションは固いです。ショックアブソーバーの減衰力も高く動かない足回り。ドライバーはロールを気にせず舵を切りやすいタイプ。また運転に不慣れな方でもスポーティを感じやすいタイプとも言えます。
ペースを上げボディへの入力が強くなると、頼りない部分も出てきます。タイトコーナーなど舵角が大きく、またブレーキと組み合わせるような場面では、タイヤがヨレるような感触が比較的早くから出ます。
軽自動車に普通車レベルを望めないといえば簡単ですが、こうしたクルマの挙動を感じられるのは楽しさ直結!
レベル高いクルマでは強引な操作をしなければ感じられないような感触を、軽自動車なら味わいやすいです。欠点ではなく長所としてご紹介させて下さい。
道幅に対して全幅が狭い軽自動車ですから、走行ラインは広く取れます。
大型クーペが道なりに走るしかないコーナーで、アルトワークスならライン取りを考え、ブレーキを踏む位置、ハンドルを切り始める位置、切り込むスピードetc. より滑らかな走行を目指し、頭を使って走ることが可能です。
考えて走る。これが楽しいのはゲームと一緒。たくさんの情報を処理しながら最適解を考えて走行、これはRPGやアクションとだって一緒。しかもクルマならHUDのみならず、情報は体に直接入ってきます。ゲーム楽しいなら運転もきっと楽しい。軽自動車全般の長所です。
アルトワークスでもっとも好印象だったのは、シフトチェンジのフィーリング。
絶対的に考えると、本格的なタイプではありません。でもポイントはそこじゃないんです。コンパクトクラスのMTより剛性感高い感触で、なんと兄貴分のスイフトスポーツより節度感高いシフトフィール。
スイスポの方が軽くフニャフニャ、実用的で初心者向けというのは大きなトピックス。コクッと抜いてコクッと入れる感触はアルトワークスの方が上です。
残念なのは軽自動車らしくレスポンスの悪いエンジン。回転数合わすのに神経使い、時間もかかるのが残念です。
アルトワークスのステアリングは、細いと感じてしまうほどに普通の太さをしています。
ステアリングの握りは太ければ単純にスポーティテイストを与える部分ですが、繊細な操作なら細いほうが有利。クルマからの情報も感じやすいです。
軽薄に太くしていないコレが魅力です。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
一部画像はクリックで拡大します(横長画像など)。
加速もハンドリング同様に、余計な神経を使わなくて良いのが魅力。昔のアルトワークス(その他軽ターボ)は、速いけど扱いにくかった。このアルトワークスでは逆。回転数によるアクセルレスポンスの変化は少ないですが速さは感じにくい。
もちろんNAエンジンほど扱いやすいわけじゃないけど、ターボらしさも考えれば良いバランスだと思います。
5MTモデルでは、軽自動車らしいピョコピョコした挙動が逆に、神経を使わなくて良い運転に繋がります。
シフトチェンジが完璧でなくても嫌な挙動が気になりにくく、クラッチ操作がラフだって同乗者には気づかれにくいです。
これは長所であって短所でもあり、短所で表すとシフトチェンジに快感はありません。クラッチ切っている間のレスポンスが悪く質感の低さがハッキリ伝わってきます。
またうまく走れている時だけ感じられる喜びも少ないです。実用的=神経質でない=乗れている時の気持ちよさが小さいです。
加速力的には1速の出だしが速く、2速から普通です。タイヤのグリップ&5MTを活かし、回転上げてバンとクラッチ繋げば、20km/hはあっという間。2速にシフトアップしてからは普通にターボ付き軽自動車という感じです。
2速の守備範囲が狭いため、日常での中間加速では3速以上を使うと思います。そうした点からも加速力は普通と感じる場面が多いです。
もしかしたらスポーティ軽自動車で最大の弱点かもしれないのがブレーキングフィール。極端にフロントヘビーな軽自動車だから、ボディの軽さとか、ブレーキングでクルマとの一体感は感じにくいです。
軽自動車は軽いから有利と言われますが、バランスの悪さはサスペンションセッティングでなんとかなる範囲を超えているのでしょう。アルトワークスと言えど気持ち良いブレーキングは味わえません。ペダルタッチやコントロール性も普通です。
減速を楽しみたいユーザーには元から走行性能を重視して作られたモデルをオススメします。比較的安価な前輪駆動車でいうと、ホンダCR-Zのブレーキングフィールが気持ち良いと思います。あとは後輪駆動車ですね。
敢えて安っぽさを丸出しにしていうような内装は、アルトワークスでも変わりません。
一応、各部の装飾で素のアルトよりは立派ですが、それでも昔の軽自動車レベルの質感なのは一目瞭然です。特に安っぽさを感じるのはドアトリムと、センタークラスターの目隠し小物入れ。ATでシフトセレクターがある部分は、究極的な安直さで小物入れにされています。
走る事のみ重視されたアルト、そんなアルトの上級グレードはやっぱり走ることのみに重点が置かれているようです。
グレード「ワークス」と「ターボRS」の大きな違いは、レカロブランドのフロントシートでしょう。これで20万円の価格差と考えてもぴったりです。
このレカロシートは、スズキの純正レカロシートというより、アフターパーツの本物レカロシートに近い感触。品番でいうとSR-7みたいな感触です(真相不明)。長所はホールド性ではありません。クルマの挙動がわかりやすく、運転しやすさに繋がります。
弱点は着座位置の高さ。シートポジションは素のアルトより高いです。シートリフターもありません。雰囲気という面でも、また実用性という面でも、不満が残ります。高身長ユーザーも厳しいです。
スポーティ車ではシート高いと問題もあります。なぜシートポジションが高いと問題か?
シフトチェンジやコーナーの度にメインメーターを見るわけで、その際に視点移動が大きくなります。
最近ゲームではHUDなどという言葉が流行っていますが、視点移動を少なく情報をまとめて認識するようにレイアウトするわけです。
MT車ではこれが特に重要で、道もメーターも同時に見られるのが理想です。筆者は愛車でシートポジションを上下して確認し、こうした結論に至っています。
乗り心地は固いです。バン的に跳ねる素のアルトからさらに減衰力が上がったショックアブソーバー。ちょっと旧世代的ですが、固い=スポーティという感覚はどなたでもわかりやすいセッティングです。
アルトワークスに乗り心地を求めるユーザーは少数でしょうから、欠点というわけじゃありません。むしろフラット感が強いセッティングともいえます。
リアシートの乗り心地は特に固いです。質どうこうじゃありません。単純に固く棒のよう。
またフロントのレカロシートがでかい!背が高くて圧迫感強く、前方視界も悪いです。
これもリアシートの快適性に大きく影響。バンモデルのリアシートよりは快適と思いたいところですが、アルトワークスのリアシートもほんとの非常用です。
それとこのレカロシートで特徴的なのは、シートバック裏側にもロゴが入っている点。車外から見るとインパクト強いものの、リアシートに座ると目障りで疲れます。
評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」
難易度高い個性を持つアルトのボディデザインも、アルトワークスだと違和感が薄く感じます。
アルトワークスではフロントグリスやボディサイドに装飾がされ、コテコテ感がアップ。着目点が分散した効果もあるでしょう。レトロで味気ない印象だった素のアルトより、普通に見えます。
カッコいいって言うとまた意味が異なるんだけど、どっちが魅力的かと考えるとアルトワークス。適度なコテコテによってアルトワークスの方が魅力高いと思います。
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違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。