評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。トヨタ・プリウス(3代目)。2011年マイチェン後の試乗レポート。
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2011年12月のマイナーチェンジ後の試乗レポートです。2012年式のZVW30。前期モデルとは違った観点からお届けします。
試乗したプリウスのタイヤは「グッドイヤーGT3」。185/65R15サイズ。
新車時装着タイヤで、グッドイヤーの燃費最重視タイヤが装着されていた。「L」グレードでは調べた限りこれ1銘柄みたいです。
タイヤ空気圧は市街地走行の温間時で前後2.4キロ。タイヤ残りミゾは6部山。
クルマに対する違和感を取り除くために、何も考えずにブラブラ。その後、この状態で試乗走行。
ゆっくり走り出しハンドル切って道に出る、
エンジンが止まっているのにもかかわらず、たいした質感も感じない。うーんやっぱりプリウス。
アコードハイブリッドなどでは、ほんの50m走ってハンドル回せば、エンジンが止まっているならではの滑らかさを感じる。
といっても、プリウスが悪いわけではない。走り出せば凝った仕組みでありながらも、普通に走ってくれる。何も考えずに、何もギクシャクせずに加速、巡航できる。
凝ったシステムなのに普通に加速できる。これぞトヨタ式ハイブリッドの素晴らしさ。街中でギクシャクするクルマがどれだけ多いことか。それならプリウスの方が神経を使いません。
アクセルペダルだって燃費を稼ぎたい部分でアクセレーションを制御しやすい特性。早開きかつ唐突な車種とは全然違います。
減速時、アクセルOffとブレーキング時に関しては、アクセルOffはMT車でクラッチを切っている時のようにス〜っと転がっていく。
異次元の低転がり感、エコタイヤレベルじゃありません。エンジンの抵抗が少ないとかどうこうより、エンジンが止まっている(歯車は空回り?)恩恵かな。
ブレーキの操作性は、良くなったとはいえデジタルチックな部分があります。
プリウスのブレーキ、何人かに聞いてみたら、気にならない人は全く気にならないというから、こんなものか。ハイブリッド車ということを知らなければどうしようもないゴミブレーキ、しかし大事なのは回生効率ですね!
ステアリングは軽く、反応弱く、回す感触はタイヤが細いクルマに似ている。
軽自動車やヴィッツクラスよりは好ましいと評価はできるけど、それに近い印象で、価格200万円超のクルマとは思えない。
高級車の軽い回し心地とも異なります。
それなりに落ち着きのある巡航中から、軽いアクセルOffと共にハンドルを切り始めれば、マイルドな挙動を示す。現代のクルマに限って比較すれば、かなりマイルドといってもいい。
どれくらいのレスポンスでクルマが反応してくれるか、好みはいろいろ。
慣れによる要素が大きいから、今までお乗りのクルマによって好みがあると思う。クイックでもマイルドでもそれは好み。
評価としては、クイックでもマイルドでも挙動変化は伝えて欲しい。ココに優劣がある。
曲がり出そうという感覚、曲がっている感覚、そこを伝えてくれると走りやすい。しかもハンドル握るのが楽しい。
どれだけゆっくりした特性のクルマでも、自然に曲がれるクルマはある。様々な部分から情報を伝えてくれて、デジタル的ではなくリニアな特性、ワンテンポ遅れて一気に反応を始めるのはちょっと問題。
プリウスは全然自然じゃない。シャシーがヤワとかそんなことより遙か手前の部分で不自然。普通に乗っているだけでも迷っちゃう。
ハンドル切り始める位置、回す早さ、角度。できるだけ手前から気に始めるためにはどこからアプローチしていけばいいのか。強めのブレーキからブレーキペダルをリリースしつつハンドルを回し始める時なんかは、適当なつじつま合わせ優先で考えた方がいいかも。
少しだけ路面がうねっている道路、けっこうどこにでもあると思う。
今回のプリウスは年式が1年落ちなんだけど、どーも締まりがない。いやほんと、ドライバーが酔っちゃいそう。
特にリアサスペンションが柔らかくなった、ゴムブッシュなんかも特性が変えられたかもしれない。
ショックの微低速域で減衰力が出ていれば柔らかい上に揺れもビシッビシッっと止まりそうなんだけどね。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
プリウスはいつでも区間燃費が計測できる。システムOn-Offの度に燃費がチェックできるから、車載の燃費計で簡単に計測してみました。
試乗3日間のうち2日間が雨。雨の日は燃費落ちます。
平均はいずれ計算する予定。アクアの試乗ページには同様のデータを掲載していますが条件が異なります。車載燃費計の計測・集計についても違いがあるかもしれません。なので単純な比較は騙されちゃった状態になります。
プリウスの長所に、「低速時はエンジン始動してもノイズが気になりにくい」というのがあります。低速走行中なら、周囲の状況次第ではエンジン状態もわかりにくいです。
始動中か、停止中か、こうした走行状態での静粛性は、ライバル車より安心できる部分です。
アイドリングストップが付いた車種では、よりノイズを感じてしまう。静かな直後に騒音を感じれば、うるさく感じるわけです。
人間の耳は自然にイコライザーを掛けるというから、自動で音質調整をしたり、感度を調整しているわけで、こんなことが起こります。
同じトヨタ式ハイブリッドのSAIでは、こうした低速時、注意してもエンジンが掛かっているかわからない事が多いです。
プリウスもSAIも、それからアクアやカムリもどちらも強い加速時にはノイズレベルが高まり気になります。特にカムリは、豹変したようにワイルドに変わります。
クルマが停止していて人間も敏感なアイドリング中は?手元の騒音メーターで計測してみました。
車外の周囲の環境騒音は「59.7dB」。一般的な昼間の屋外です。
エンジン停止中と稼働中、数値で見れば約3dBの差。3dBは音量では倍というが、人間がボソボソ声で話しているのと同じくらいの差に。
また、周囲が静かだとこの差は広がり、夜間ではおよそ10dBくらいの差になる想像ができる。周りがうるさければエンジン音も気になりにくい。
ディーラー試乗時は気にならなかったのに...。なんてこともよくありますよね。
ノイズの音質的には、単純にガラガラという低質感な4気筒エンジンの音。でもね、セルモーターのキュルキュル音が無いのは非常に快適です。
逆にいえば、他のアイドリングストップ付きの車種には閉口です。
写真はプリウスのサービスデータ。アイドリング回転速度が1000rpmなんて記載されてる。一般的な車種より高い回転数です。
充電のため?どんな理由があるのか気になって仕方ありません。そういやSAIのハイブリッドも900rpmと高め。
それから点火プラグ、イリジウムプラグで20万kmごととなっているけど、エンジン稼働時間が少ないからこそなのかな。
プリウスの存在意義といえば、ひとつは最先端のハイブリッドシステムを味わえるクルマでした。
エンジン+モーターという動力源、そしてミッションに変わる遊星歯車を利用した駆動系。
しかし現在では、様々な仕組みの低燃費モデルが発売されています。
もうひとつは、走行距離の多い方に合わせた経済性の高さ。
特別なシステムを除けば割高な車両価格ながら、燃費の良さで、乗れば乗るほど元を取れます。
しかしこれまた現在では多種多様な省燃費車が発売されています。
軽自動車やコンパクトカーの実用燃費が上がったことにより、相対的にプリウスの経済性の高さは落ちたわけです。
渋滞中でも悪化しづらい燃費など、プリウスらしい魅力はありますが、同様の魅力を持つトヨタのハイブリッド車も増えました。
すると、車両価格に見合った質感、プリウスにはミドルクラスの質感が求められます。燃費良ければ全て良しでは商品価値が弱すぎます。
現状の、Bセグメント以上Cセグメント未満では不満がでます。
正当派ミドルセダンやVWゴルフに近いお値段がするわけですし、取得税や自動車税の減税がなくなったらさらに差は縮まります。
そのアタリを考えてもマイナーチェンジで乗り心地がアップしたのは時代にピッタリ。静粛性だって多少なりともアップしています。
燃費も大事だけど軽自動車とかアクアだとではちょっとね、なんていう方に合わせたクルマとして、上級ハイブリッド車に近づきました。
プリウス買って自動車関連費は減る?
プリウスの燃費「23km/L」、ガソリン1リッター「120円」としてシミュレーション。
燃費「13km/L」のクルマの場合。
ガソリン価格が1リットル「150円」の場合。
ガソリンが高いほど差が大きくなります。リッター150円なら10万km走って50万円トクをします。
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リアシートのステップ部分はこんな感じ。
横方向のブルブル感が残念なリアシート。スペース的には頭上がそれなり。身長175センチ位までが快適に座れる目安かな。
バッテリーの冷却に関する通風口。大きな音量でファンが回り出すのは確認出来なかった。
とっても地味なフロントシート。ほとんど無地のグレーだ。シート全体の大きさは評価して良いと思う。
ラゲッジはフロアが高い。
ラゲッジスペースのサイドには12Vバッテリーがレイアウト。システム起動用らしく、こちらが切れると始動できず。室内に設置できる専用品だからお値段高め。
ホイールキャップを外すとアルミホイールが出てくる。
タイヤは根強いファンもいるというグッドイヤーの超燃費重視系エコタイヤ。
プリウスのサービスデータ。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。