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2001年記事 三菱 FTO

三菱・FTO試乗インプレ

間違いいっぱいの自動車比較、刺激的なエンジンが魅力の三菱FTOの試乗記。型式DE3A、2000ccMIVECエンジン搭載のグレードです。

比較と辛口評価の試乗レポート

「三菱・FTO-GPX(DE3A型)」

三菱自動車
  • グレード:“GPX”
  • 型式:DE3A
  • 車両価格:230万円
  • デビュー年:
FTOの内装イメージ。インパネセンターに電圧計等付き。

曲線を多用したボディデザインは欧州車のよう。

近年でもアルファロメオの有力者が「ウチのクルマには単純な直線はどこにもない」なんて仰っていますが、FTOだって共通する部分が!

三菱といえば直線基調なイメージですがFTOはちょっと異なるボディデザインが魅力です。

三菱FTO、伝統的な車名

ミツビシ

FTOは、三菱の伝統的な車名であるFTOを名乗り、現代のコンパクトクーペとして復活しました。

デビューしたのは平成6年。ボディデザインやエンジン、ミッションまで高い話題性を引っさげてのデビューです。

ボディデザインは曲面構成。エンジンは上級クラス。エンジンやミッションといったコンポーネンツにも特徴があります。特にエンジンは「2000ccでV6、MIVEC(マイベック)機構搭載エンジン」と車格を超えたスペックといっても良いタイプを搭載。

ATはAI制御とスポーツモードが付いた新タイプ「インベックス2」の制御を搭載。価格もお得感を感じる設定。ここまで完璧。デビュー時のインパクトはかなりのものだった記憶が残ります。

そして自動車雑誌や自動車評論家からも注目されていたようで、雑誌に登場する事も多く、記憶が正しければカーオブザイヤーも取ったような...。そんな感じで話題性が高いクルマでした。

小さめクーペに大きめエンジン

FTOはボディデザインが特徴的で個性的。基本は日本車らしいコンパクトクーペで、「小さなボディに大きなエンジン」的なデザインのクルマ。クルマ好きの話を聞いても、マニア向けと評価される方が多いです。

平成初期は高出力ターボエンジン搭載車や大排気量クーペが揃い、価格も安価な時代でした。

プラットフォームはミラージュらしい

FTOのベースはコンパクトハッチバックのミラージュといわれます。ライバルのプレリュードやシルビア、セリカと比較すると、下のクラスのプラットフォームを利用して作られたクーペと想像できます。
価格やエンジンはミドルクラス、一方でシャシーなど車体は前輪駆動コンパクトクラス。クーペ=高級というイメージで見るとちょっと残念な感じもしてしまいます。

小さめのクーペというと、免許取り立てのユーザーにぴったり。雑誌ではそんな紹介もされていました。安価でぶつけにくいというイメージでしょうか。

ミドルクラスセダンに負ける加速力

平成になり2500cc〜3000ccエンジンを搭載する車種が増えました。高回転にパワーを集めたスポーティエンジンに対し、全域でパワフルな大排気量エンジン。これが250万〜300万円ちょっとのセダンに搭載されているわけです。

するとコンパクトスポーティは、親父セダンとか言われるセダンに涼しい顔して抜かれちゃうんですよ。FTOを試乗中にもありましたが、こちらはアクセル全開で忙しくうるさく、一生懸命な加速。

小さいスポーティモデルを購入するなら、車内の狭さだけではなく、絶対的なパフォーマンス的な立ち位置も認識してからの購入が良いと思います。「俺の愛車が遅いわけはない」と思ってるとショックを受けてしまうかもしれませんからね。

ミツビシはこの時期、エクリプスやGTOといったクーペを同時に発売。今となっては驚異的な事です。ターボが付いたエクリプス、NAでも排気量大きなGTO、中古車なら選択肢も豊富です。

室内や走行性、作りなど

子供だまし的デザインと車格的な妥協が気になるFTOの内装。

目立つ追加メーター風センタークラスター

FTOの室内に乗り込んでみると、ボディデザインから想像するほどのスペシャリティな雰囲気はなし。ぱっと見では、インパネ中央部には追加メーターのようなデザインもされています。でも中身は時計と電圧計。完全に見た目だけのデザイン。バキュームメーターとかアクセル開度メーターなんかが欲しかった。

こうした子供だまし的な演出は、クルマ全体をチープに思わせてしまいますから残念です。それでも後付メーターがすっぽり収まるサイズなら嬉しいんだけど、どうだろう。

長距離ドライブには厳しいフロントシート

フロントシート、シートサイズが小さいのは仕方ありません。低価格コンパクトクーペの宿命といいますか、他車をみてもこの価格帯で満足できるシートが採用されているモデルは思い出せません。長期間ドライブも考慮すればレカロやブリッドなどアフターパーツに交換という手もあります。車室内のイメージも一気に変わり、またシートレールの構造から、微妙なドライビングポジションの調整も可能になります。

またリアシート、一応ついてはいますが、期待してはいけません。マツダRX-7(FD)と同程度にタイトかそれ以上にタイト。フロントシートでまともな運転姿勢を取ると、リアシートにスペースは残りません

リアシートは乗員用でなくても、荷物置きにはいいです。それにリアシートを外して運転してみるとわかりますが、シートの吸音効果はかなりのもの。静粛性のために価値があります。吸音効果のある荷物を詰め込めばより静粛性が向上する可能性も。

FTOに試乗

2000ccMIVECエンジンを搭載したFTOに試乗。エンジンについてなど。

質感と印象

走り出すと、エンジンは低回転も利用でき、高回転でパワフル。エンジン音はV型らしいワイルドさで高回転まで図太い印象
同様の切り替え機構を持つホンダのDOHC-VTEC(ブイテック)と比較すると、VTECほどスルスルとは回っている感覚はありません。エンジン音に起因する質感の違いも大きいんでしょうが、VTECの方が滑らかにメカニカルな高音域主体のサウンドが響き渡ります。

FTOのエンジンはさすが6気筒!と言いたいところですが、良くできた4気筒エンジンと比較すると、振動が気になる部分があります。高回転のレスポンスなども立派な4気筒エンジンと比較すれば特筆すべき面はありません
一方で、普通の4気筒エンジンと比較すれば、アイドリング〜低回転巡航で滑らかさを感じる部分はあります。

V6エンジンを搭載した上級車と比較すると4気筒以上6気筒未満といいましょうか、車内の遮音/振動対策など含め、トヨタや日産の高級感を重視した「V6」とはちょっと異なります。

ドライバーが感じる加速感

MIVECという機構を採用しているためか、通常の2000ccエンジンと比較して「低回転弱くなく、高回転でパワフル」。一般的にNAエンジンといえば、パワーは排気量なり、そのパワーを高回転に集めれば低回転は無くなるわけですが、MIVECならそうした問題なし。アクセルペダルに対する反応はありますし、混雑する市街地レベルなら問題ないトルクを感じさせてくれます。

試乗運転では、ATでも踏めばきちんと加速することが実感出来ます。MTならきっと、高回転域でのアクセルワークで繊細なレスポンスを楽しむこともできるのでしょう。高回転を利用できる間=ギヤと速度が合っている間はパワフルで刺激的。
4000回転くらいの中回転まで落ちてしまうと、パワー感は普通。6気筒らしさというかボヘボヘいってる排気音も気になり、ひとつシフトダウンするべきか迷います。

郊外路を試乗し、頭の中で他の2000ccクラスと比較しながら加速減速を繰り返してみます。やはりMIVEC機構により、高回転のパワー感は十分。さらに低〜中回転がそんなに犠牲になっていない関係から、高回転まで待つ時間が短いわけです。ギヤ比のワイドなATでも活きる部分ですね。

このボディサイズで6気筒とは貴重!

このボディサイズで6気筒エンジン搭載はすごい!インパクト十分、期待も十分。フロントヘビーなんて言葉もありますが、質感を重視するなら相当に評価できる点。車体の重量バランスなんて、サーキットレベルでなければ小さなデメリットと考えます。日常で感じるメリットはやはり、6気筒というエンジン。

6気筒に惹かれるなら、何もMIVEC機構付きでなくても十分魅力。「GR」というグレードではMIVECなしV6・2000ccエンジン。6気筒のクーペといえば普通はもっと高級な価格帯のクルマ。それを200万円で味わえるなんてホント貴重な選択肢です。

足回りの印象

サスペンションは固い。固めじゃなくて固いです。どれくらいかと表現すればホンダタイプRシリーズと同じくらい。ワイドでローなクーペにこんな固いサスペンション要らなそうだけど、きっとハイグリップタイヤへの対応なんでしょう。それか重量バランスとかハイパワーへの対応かな。

通常走行ではロールを感じにくく(ピッチングは感じる)、ペースを上げてようやくロールを感じるくらいのバランス。インフォメーション的にも曲がっている感覚がドライバーに伝わる量が希薄で、速度感を掴みにくければ丁寧な操作も遅れがち。

サスペンションはリバンプ側、伸びる方は伸びる。これによって乗り心地の質感的には厳しい。しかも固い分、とんでもなくボディが柔らかく感じ、フロアやらシャシーやらからがちゃがちゃと音や振動がでます。まるでボディもサスペンションの一部のように突き上げ、実際以上に乗り心地の質感悪く感じてしまいます。

その代わりというか、平らな路面ならタイヤのグリップは強烈で、V6エンジンの影響で重いフロントの鈍さを忘れさせる「コーナー出口」の感覚を覚えています。(入り口はよくない)。
FTOデビュー当時では、新車時からこんなグリップ感のクルマは他になかった気がします。

強いブレーキングではフロントがググッと沈み、インパネの先を見て沈み込む量で減速量を把握することができます。一方で良くできたクーペとか後輪駆動車のように、4輪が沈み込むような安心して強力なブレーキを味わうことはできません。

追記:フロントが重い感じ

ワインディングを走るとフロントが重い感じです。フロントの重さを忘れさせると前述してますが、それは急減速からの立ち上がり時。コーナー入り口では手前から丁寧にジワリと入っていく感じになります。タイヤのグリップ力を活かしてスッと曲がり始めるんじゃなくて、ミニバンのように丁寧に丁寧に。

クネクネとした道で、特にタイトコーナーではヒラリヒラリとした軽快感はありません

フロントが重い感じは、サーキットで前輪駆動車と後輪駆動車と乗り比べてみればよくわかります。車重とドライバーが感じる軽さというのもまた別です。直近で筆者は同じミツビシのコルトラリーアートと、トヨタのアルテッツァをサーキットで交互に走行しました(コルトはFF、アルテッツァはFR)

アルテッツァは雑誌の評価では面白くないやら何やら言われ放題でしたが、確かにパワー不足。でもボディはガッチリ。ハンドル切ればスッとノーズが反応する。フロントグリップ最大に発揮して上手く走ればオーバーステアも出ます。またターボのS15シルビアでは入り口スッスッ&出口パワフル。

同じ基準で比較すれば、FTOは形はクーペで中身はタクシー。いやタイヤのグリップだけ高いタクシーといった方がいいでしょうか。ガンガン走れば刺激的なのは普通の一般車だって一緒。走行性能までクーペ感覚を味わいたければ役不足かもしれません。

タイヤが良ければブレーキの減速力はアップ事故の危険が減ると思います。寝ぼけてるときでも疲れてる時でも安心感あるのもうれしいメリット

3種類のエンジンバリエーション

FTOのラインナップには3種類のエンジンが用意されます。さすが三菱、1車種に豊富なグレードをラインナップさせる三菱らしさは、販売される台数が少なかっただろうFTOでも変わらず。

これはクルマ好きにはうれしいです。廉価ベースグレードでもFTOはFTOですからね、ボディデザインは一緒。予算が厳しくて購入しやすいというワケです。

メーカーにとってありがたいお客様でなくても、ユーザーにそんなの関係ないですw

FTOのエンジンバリエーション

  • グレード「GS」・・・1800cc 直列4気筒
  • グレード「GR」・・・2000cc V型6気筒
  • グレード「GP」・・・2000cc V型6気筒MIVEC付き
  • グレード「GPX」・・・2000cc V型6気筒MIVEC付き

中古で狙うならGPXがオススメ。できればMTで。ダイレクトでレスポンス良く、ギヤ比も詰まる(ショートになる)為に刺激を味わえます。シフトダウンをするときの空ぶかしでは、軽いスロットルレスポンスも味わえます。

楽しみ尽くすならMT。だけど高回転を回すことなんてあまりないよ、というのならGRで6気筒を味わうのもいいんじゃないでしょうか。低価格で乗れる6気筒クーペなんてFTOくらいですものね。

興味を惹かれたAT、インベックス

FTOの長所のひとつに、5速AT(オートマティック・トランスミッション)があります。制御方式にインベックス2と名付けられた、学習機能付き制御システムです。

この制御方式は、同様のホンダ・プロスマティックなどより優秀に感じます、シフトプログラムは状況に応じて変化。ステアリングさばきにも反応していた感がありました。派手にスラロームなんてしていると、勝手に高回転を使うような制御に変わった様子。それも数日単位での学習じゃありません。勘違いでなければ数分で反応しました。

実はトランスミッション自体は設計もよくなさそうで変速時には相応のショックもあり、トルコンスリップも感じますが、インベックス2の制御は面白かったですね。 これぞ三菱、そして日本の得意技といった感覚が味わえます。

ミツビシ FTO

ミツビシ

FTO (エフティーオー)

  • 試乗グレード:“GPX”
  • 型式:DE3A
  • 新車時価格:230万円

概要

  • 排気量:2000cc
  • 車重:1210kg

車両型式

  • DE3A・・・2000cc
  • DE2A・・・1800cc

その他

  • 発売開始・・・平成6年

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評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。

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