トヨタMR2・ターボのGT-S。リアミッドシップにエンジンを搭載した2人乗りスポーティクーペ。手軽に所有できる趣味性の高いMR2。ミッドシップクーペの試乗記です。
比較と辛口評価の試乗レポート
筆者も若かった頃、友人が購入し一緒にいじってたクルマです。
何があっても整備工場やチューニングショップに持っていくようなことはせず、たくさんお勉強させていただきました。
MR2は「10%の理想と90%の妥協をカタチにしたクルマ」とはオーナーの名言。
フェラリールックなボディでリアミッドシップレイアウト、ターボエンジン、後輪駆動、2シーターという本格的スポーツが250万円というトヨタの妥協に妥協を重ねたスポーツクーペ。
基本となるのは当時のコロナ、カローラ系の延長線上と言われています。ほぼ別物なのは容易に察することができますが。それに2000ccの「3S-G」型エンジンがリアミッドに横置きされます。サスペンション型式はストラット。
エンジンバリエーションはNA&ターボの2種類。グレード「GT」系がターボ付きのグレードになります。
MR2の内装はシンプルなデザイン。太くて大きなセンタートンネルが目を引き、ここのボリュームが高級感、特別感といった印象を与えます。それ以外のインパネやメーターは普通で、乗用車的な仕立てです。
センターコンソール(左右仕切り)の大きさは後輪駆動車を超えるくらいのサイズです。
中にプロペラシャフトは通っていないものの、ラジエターの冷却経路などが通っています。助手席との区切りもしっかりで、男性2人でのドライブも快適です。
またシフトノブは横から握れるので、スポーティな雰囲気が高いです。
このセンターコンソールを除けば形状デザイン的には普通ながら、よく観察すれば質感は高く、インパネを触ってみれば軟質ウレタンによるソフトパッドが採用されています。
インパネソフトパッドは200万円台のクルマとして珍しくありませんが、ドアトリムやセンターコンソールなどにも軟質ウレタンが使われており、それなりの厚みもあります。これはもっと上級車種と同じ贅沢設計です。
ちょっとした段差ではギシギシいわない内装パネル。たとえズシンときてもガチャンといいません。
例えば、足の固いコンパクトスポーツだったりすると、1万kmも走れば内装はガチャガチャなんて珍しく有りません。これはMR2の隠れた長所です。余計な事を気にしていると運転が楽しめませんよね!
※復筒式の車高調を付けたときは、段差でノイズがでました。ショックアブソーバー内でエアが移動する音(シュゴッ!)で、正常です。
エンジンはトヨタの悪名高き?3S-G型。長きにわたって生産される、寿命の長いエンジンです。
こんなエンジンも流石に、遠いリアにレイアウトされれば、気になるノイズは少なそうですが、実際にはうるさいです。3S型らしいコモリ音が室内に響きます。
試乗したMR2はターボということで多少、排気音は静かです。でも室内はエンジンノイズが響いてうるさいことには変わりありません。エンジンが「いい音質」を奏でてくれるのなら、ボリューム大きくてもうれしいのですが、残念ながらそうではありません。
加速自体は十分。同じ2000ccターボでも、日産系より多分速い、体感的な加速力ではそんな感じです。その代わり低回転でのターボラグは大きめ。
巡航からの再加速では1段ギヤを下げての加速が必須。低回転を無理に使って加速するクセがあったら、要修正です。
リアタイヤにはフロントより太いタイヤがセットされているのにも関わらず、1速2速なら簡単にホイルスピンにもっていけます。
やはりターボ車。そしてミッドシップならではといえるのは、オーバーを出してもトラクションが掛かります。限度を超えなければ、スキール音発しながらも進もうとするチカラがかかり、LSDを付けたような感じが味わえます。
しかしこれ、低い速度限定です。それから、丁寧な操作限定です。限度を超えると一気にスピンしてしまいます。サーキットでも恐怖を味わえます。
NAエンジンの場合、MR2のボディデザインから感じる速さはありません。ただの2000ccセダンと一緒です。
それでいてガサツなエンジン音が耳障り。ドライビングの基本を学びたいとか、全開でワインディングを走りたいとか、何かしらの目的がなければ、積極的に選ぶようなクルマではないと思います。
(グレードGTかGT-Sがターボ。GTの方が上級)
ステアリングを回す感覚はFRのセダンとも違う感覚ですが、スポーツモデルのような感覚でもない。適度に重く適度にしっとり、上質な感じです。
ダイレクト感が強い感じでもなく、適度にスポーティ、適度に上級車的。好ましいフィーリングだと思います。
試乗すれば、普通に走る分にはなかなかいいなと思わせる味付け。逆にステアリングインフォメーションという面ではもう少し欲しいところ。
コーナーリングを楽しみたいと思えば、アクセル全開にするとすぐに、コーナーを楽しめる速度に達します。コーナーが連続する道では、アクセル全開にしてもすぐブレーキしてターンインして。
加速力が高いとブレーキもコーナーも楽しみを味わいやすいです。不慣れだって、この加速だけで刺激を味わえます。
そしてハンドルを切ると、意外にスムーズ。というかなんと表現したらいいのかな、想像するよりもレスポンスがマイルド。ステアリングギヤ比がクイックで精密なハンドリングを想像していると肩すかしを食らってしまうほどです。
またタイヤの感覚がビシビシと手のひらに伝わってくるわけではなく、インフォーメーションが多いかといわれればそんなこともありません。
これがリヤミッドシップレイアウトの特性といわれれば、納得できる。思えばホンダ・ビートやマツダ・AZ-1でもフッとステアリングが軽くなる事があった。ステアフィールは重くて昔のクルマのようであったが、パワステもないような重さだと、フロントの接地感がわかりやすかった。
※電動パワステの時代になれば、インフォメーションの少ないクルマばかり。それと比較すればMR2はとっても自然です。
そういえば、試乗したMR2はフロントトランクにオーディオのアンプ2枚が入っていたし、車高調で前後の車高を調整していたので、多少キャラクターが変わっていた可能性があります。
2回のマイナーチェンジを経た3型以降、「ターボ系」と「NA系の一部グレード」にはビルシュタインの名が付いたショックアブソーバーが採用されます。
ただしこれ、スポーティにセッティングされた普通のトヨタ(カヤバ)のショックとあまり違いがわかりません。シェルケースの見た目だって一緒です。
結局、他車でもある名前だけビルシュタイン。ただの子供だまし。ビルシュタインならではの初期減衰力とスムーズさを持つショックと同じ構造とはおもえませんですよ。
MR2にはスポーツABSという4輪独立+ヨーも考慮するABSが付いています。つまり、旋回ブレーキも可能ということです。
しかしサーキットに行けば、クルッとスピンするんで過信は禁物。リアが素早くズルッと滑っていく感覚、これこそミッドシップ。スピンモードに入ったら、私レベルではどうしようもありません。タコ踊りしてからスピンすることもありました。
またブレーキでリアが不安定になった時にアクセルといれれば、ズルン。タコ踊りになった時はそうっとアクセルを戻さないとズルン。でも早くアクセルを戻した方がいいことも多々ある。ハンドルは自分が行きたい方向に切ればいいというが、動き出しが早いとついついカウンターを当てすぎてしまう。そしてタコ踊り。
慣れないといろんな挙動変化に楽しめる=苦しめられる。
ブレーキに関して。ワインディングで直線だけ全開、そこから落ちついてフルブレーキを心がけていれば、よく効きます。不安な面もあまりみせません。リアが重いからかブレーキング時のフロントバンプは最小限。丁寧にブレーキして丁寧にハンドル切って、クリッピングポイントからそおっとアクセルを踏む。
運転がうまい人なら振り回せるかもしれません。筆者は山道での試乗の度に、恐る恐る運転していました。直線の加速減速だけでも十分刺激的だったのでMR2は楽しめました。
新車当時はそんなに人気のクルマではなかったのですが、MR2のパーツは意外と揃っています。それにターボならちょっとパーツを買えればブーストが上がって簡単にパワーアップします。
またMR2はミッドシップといってもエンジンの搭載位置は高いので、エンジン周辺をいじるのも割合と簡単です。
またフロントのトランクルームにはオーディオ関係を詰め込めます。2段のラックを作れば、アンプにプロセッサーと収納可能。そしてシート後ろにはソニックデザインの小径ウーファーが詰めますので、スポコンチックにすることも可能。
MR2はフロントにラジエターがあって、リアのエンジンとホースで連結。その中を冷却水が流れています。
冷却水の量は、たしか10リットル弱くらいだったような。
この冷却水、定期的に交換する必要がありますが、難しいのがエア抜き。(エアが入っていると冷却効率が悪い)。
MR2の長い冷却水ホースの中にはたくさんの量のエアが引っかかっています。一人はラジエター上部の水を切らさないように、もう一人はアクセスを煽ってエアを抜きます。
1時間くらいかけてじっくり行う必要があります。中古で購入したらぜひ行って下さい。作業自体は簡単です。チューニングショップを除く一般のお店では、きちんとエア抜きをしてくれません。
MR-Sが生産中止になる時代になっても、MR2の中古相場はとっても割高。いやこれ、プレミア価格でしょう。
安価なミッドシップが欲しければ、MR2しか選択肢はありません。赤いボディカラーが似合うクルマも、MR2しかありません。エビ色になったボディをしっかり磨いてあげて下さい。
しかしちょっと選択肢を広げれば、スープラやS2000なんていうのもあります。
80スープラは3000ccターボでMR2をいじってもなかなか同じに速くはなりません。さらに走っても扱いやすく、6MTは国産随一といえるほど極上なもの。6気筒の音もスポーティ。
その他、パワーがそんなにいらなければ、S2000なんていう選択肢もあります。ペダル、シート、ハンドル、操作全てがダイレクト感溢れます。エンジン音も上質。
その他、年式が新しい方がよければアルテッツァなんていうのも。アンダーパワーですがシャシー性能はバッチリ。ボディデザインは微妙。エンジン質感もちょっと。
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エンジン質感 | |
スポーツエンジンとすればガサツで鈍い。ターボも運転の邪魔をする。 |
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足回りの質感 | |
純正ビルシュタインは即ゴミ箱行き。 |
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内装の質感 | |
軟質パッドが多く使われ、タイト感も演出。 |
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外装の質感 | |
横から見ればノッチバッククーペスタイル、後ろから見るとミッドシップスタイル。 |
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快適性 | |
全体的なミシミシ感は少ない。ショックを変えればよし。 |
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妥協のカタチ | |
10%の夢と90%の妥協を形にしたクルマ。それがMR2。 |
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お買い得度 | |
どこに重点を置くかで大きく変わるのがMR2の価値。 |
フロントトランク内。マルチ用のプロセッサーにアンプ2枚。運転席後にもアンプは入る。
13センチのドアスピーカー。ダイアモンドのヘックスだったかな。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。