スバルBRZ(ZC6)グレード「S」。6ATモデルと6MTモデルに試乗したので、印象をまとめています。
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試乗内容は限定的。第一印象重視です。
BRZはCセグメントサイズのクーペで、エンジンは2000ccの水平対向4気筒。
ミッションには3ペダルMTとステップ式6ATが用意されます。価格はメイングレードでおよそ250〜300万円。
注目はボディサイズと駆動方式。ボディ全長は4240mmとコンパクトサイズで、FRレイアウト。後輪駆動です。
このサイズ以下で後輪駆動車といえば、国産だとロードスターとかラッシュ/ビーゴとか数えるほどしかありません。貴重です。
「BRZ」は「トヨタ86」と兄弟車。しかも全チャンネル販売ということで、スバルディーラー&トヨタディーラー全チャンネルで購入可能。試乗車は大型店舗で用意されているとのことです。
なお、スバルBRZとトヨタ86は、同様のグレードで同様の価格が設定されていますが、微妙に装備が異なるので注意が必要です。
例えば左画像のような内装をしたベースグレード。エアコンレスなんですが、スバルBRZならオプションで装着可能。
エアコンのオプション価格は10万円くらい。
試乗したのは上級グレード「S」のATと、MTのドライバーズシートとリアシートに試乗。試乗内容は限定的で、タイヤ性能を使い切ってとか、意図的に滑らせてみたいな走行は試していません。
価格を見ればミドル〜アッパーミドルクラスながら、実質はインプレッサクラスのクーペ。でも、クラスやポジンションで判断するクルマじゃありません。
300万円のクルマをイメージすれば、内装の質感なども相応に立派。ですがBRZは160万円のインプレッサといい勝負です。
特殊なクルマなので、「高価だから立派」を期待すると割高です(メーカーから見れば割安っていうけど)。
ボディデザインは昔ながらのノッチバッククーペ。洗練というよりレトロなイメージが強く、伝統的な後輪駆動車っぽいデザインと感じます。
内装質感は上級軽自動車レベル。割り切りというか、コンセプトがハッキリしています。
クーペ=上級というイメージなら、BRZは違います。その場合は憧れちゃうクラスのクーペを選ばなければなりません。
BRZは運転が好きで楽しめる人に向けたクルマ。そんなアナウンスが目立ちます。上品なラグジュアリークーペみたいなCMはされていません。踏めるときは全開。強いブレーキで快感を感じ、クルマでエクスタシー。そうした走り方が可能なら、長所を最大限に発揮できそうです。
BRZ/86はミニサーキットでもよく見かけます。
思い切ってると感じる部分があります。
例えば低いシートポジション。今まではクーペでも、市販車だから仕方ない...なんてメーカー技術者が言ってました。
BRZのシートポジションは低いです。後付のレカロシートに変えたらポジション上がっちゃいそうなくらいです。
その他にもフェンダーのなんちゃってダクト、ノイズが響き渡る室内、乗り心地も考えられた足回りと柔らかいタイヤ。バルクヘッドにはミッションの大きな穴が見え、バッテリーはギリギリまで後ろに設置etc.
まるでクルマ好きが改造したクルマのよう。ノリがヤンチャに尖ってます!
ドアを開けると窓が自動で少し開きます。そしてドアを閉めたら自動で閉じます。
室内の圧力が抜け、軽くドアが閉まり、密閉性も向上する機能です(代わりにドアヒンジの強度が心配)。
ドライバーズシートに座ると低いシートポジション。スーパーカーまで後少しです。シートのスポンジを抜いたり、ローポジションのバケットを付けたり、ユーザーが努力はしなくても良いです。
運転席からの視界が良いです。包まれ感より視界重視。縁石がある交差点などでも神経を使わず。セダンと同じ内装でシートだけ下げた、そんな軽薄感がありません。
ボンネットが見えミニバン系より見切り良好。前進ならコンパクトカーより運転しやすいと思いました。逆に後退(バック)はイマイチ。うねったボディサイドとトランク付きで、バックモニター頼りになります。
開放的な視界とほぼイコールで、包まれ感の不足が上げられます。BRZでは乗員の包まれ感が足りません。
包まれ感は上級な演出であったり、速度感を感じにくい長距離向けであったり。イメージ的な質感に機能性も持ち合わせます。逆だと実用車。窓が大きく開放的な室内はシート位置も高め。車両価格に関わらずです。
当HPスタッフが所有する、VWシロッコRと日産スカイラインクーペでも同様の窓開閉機構が付いてます。
シロッコではメインディスプレイからOn-Off切替可能。スカイラインクーペはディーラーに頼んでも不可能です。BRZで設定可能かは未確認。
このスカイラインクーペはパワーウインドが壊れて修理に。モーターが原因でした。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
内装はデザイン無骨でレトロ感強い造形、各部質感は上級軽自動車レベル。BRZの車両価格からすると安っぽいのは間違いないですが、コンセプトが明確。
この割り切りが気持ちいい。クルマは走るためと質実剛健。
メーターはタコメーターが中央にくるレイアウト。MTでは走行中、スピードメーターよりタコメーターを見る時間の方が長いと思います。演出としても実用面でも魅力的なレイアウトです。
ちょっとだけ、実用的に気になる点もあります。それは見づらいスピードメーターが最もたる部分。
速度表記のテキストサイズが小さく、視認性が悪いです。グレードによってデジタル表示が付いていますが納得です。逆に無いと速度確認に時間がかかるかもしれません。デジタル表示はトヨタ86の標準グレードでは装備されていませんでした。
細部では、上位グレードだと要所要所にソフトパッドが付きます。体と内装が触れる部分に付きます。試みには好感が持てますが、見た目的にも機能的にも効果はクエスチョン。
クルマのキャラクターを考えるとそれより、センタークラスターからコンソールのパネル剛性が欲しいところ。左膝で体をホールドしようとすると、グニャと歪みます。不快で不安です。
ソフトパッドでお茶を濁さないで下さい。意味がないとはこういうことです。
インパネがもうちょっとラグジュアリーだったら、わたくし筆者ヒラリー、購入してました。
運転ポジションがしっくり来ます。これだけで妥協的な車種でないことを認識できます。
ハンドルは手前まで伸びてくるし、シフトノブの位置も近い。少々寝たリラックス姿勢まで対応。ハンドルは改造すればもっと手前にも出せますが、通常ならこれで満足。余計なアフターパーツが必要ありません。
クーペはやっぱりこうでなくっちゃ!そんなドライビングポジションが最初から可能です。
エンジンは高回転でより「加速」するタイプで、5000回転〜がパワーバンド。
高回転がただ「回る」だけでなく、この回転数を保つのが楽しいスポーティエンジンです。MTでもATでも一緒。回すとクルマが可愛そうなんて言っていたら、良さを味わうことなく寿命を迎えますw
一昔前のスポーティエンジンみたいな高回転はありません。極端に加速力が強まるわけじゃないし、アクセルペダルに対するレスポンスも鋭いとはいえず。エンジンノイズだって振動を感じさせるタイプで不快感があります。
やっぱり現代的なスポーティエンジンで、ぶっ飛んだエンジンではありません。似ているのはアルテッツァの210馬力3S-G型。同じ様な加速感と単純な4気筒高回転型エンジンです。
官能的な面では普通のエンジンに負ける事も。マツダの2500ccエンジンなどメカ的な音が響き渡り、マニアックな喜び十分。
絶対的な加速力を考えれば、やはり2000ccのNAエンジン。体感的な加速力も弱く感じ、回転数も高めにキープしないとトルクが付いてきません。
バイクで表すと125ccのレーサーレプリカ。遠慮なく踏んで走りやすく、くねくね道だと十分なパワー。しかし流れの速い幹線道路だと悔しい思いも。
BRZの特徴となっているのが、室内に入ってくる吸気音。「サウンドクリエーター」とかいう名前が付けられていますが、筆者の主観では子供だまし。BRZ買ったら取ってしまっても?
聞こえてくる音は不快な音で耳障り。ブーストアップしたターボ車にキノコ型エアクリーナーをつけたような音。幸い取り外ししやすい感じなので、外して埋めることができるかもしれません。
世界的なクーペを見ると、外はうるさく室内は静か。BRZは逆。外は静かで中はうるさい。
6MTはアルテッツァやシルビアと同じ系統のアイシン精機製ミッションらしいです。
操作した時の感触は良好で、ショートストロークかつシャキン!と入ります。非常に良質なメカニカル感。
フィーリングは「入れるというより吸い込まれる」。
剛性感は感じられず明確なゲートはありません。その代り高品質で高精度に吸い込まれる感触。多少やわでもローションが付いてスムーズな。こんなフィーリング。「回転数を合わせて丁寧に」そんなシフトチェンジがしっくりきます。
フィットやヴィッツのスポーティグレードにはMTもラインナップされます。しかし質感は実用車的。いつでも軽く入り、感触なんてありません。簡単な反面、MTの良さを感じにくいです。スイフトスポーツも一緒。非常に実用車的なMTです。
BRZこれは高品質なフィールが光ります。ただし感触がソフトすぎて、かっちりした剛性感を求めるには向いていません。ですから、シンクロの感覚などがわかりにくい傾向です。タッチは繊細で神経質です。
もっとガッチリした、ガキンガキンという質感を望むなら、古くは80スープラやランエボ、最近ではコルトのスポーティグレードが最適。強度剛性高そうな逞しさ、そしてシフトチェンジしやすい明確なフィードバック。ゲトラグというブランドのミッションです。
基本が一緒というアルテッツァのMTはこんな感じ。
従来のATよりロックアップ領域が広いということで、運転してみると確かにダイレクト感が強く、印象は全然悪くない。寧ろ普通に運転する分には上出来です。
こんな出来の良いATに乗ってしまったらもう、CVTなんて乗れません。
機能も豊富だけど残念ながら欠点も。シフトダウンの時に空ぶかしをしてくれるんですが、これがフィーリングと合わない。なぜなら回転数がずれる。制御が雑すぎでタイミング的にも今ひとつ。
これなら「ブリッピング機能なんて無くていいよ。自分で煽りますから」ってなっちゃう。
この機能のおかげでシフトチェンジがレスポンス悪く感じてしまいます。ディーラーに行く機会があったら、オフにするボタンがあるか聞いてきます。
趣味性が強いクルマだから、欲しければ買っちゃえ!評価なんて関係なし!下取りだって心配なさそうだ。
日本の基幹産業である自動車業界を応援する意味でも、こういったクルマ文化を絶やさない為にも、BRZ(86)を買う理由は大いにあります。クルマだって生い立ちは悪くないです。
一生懸命企画され、熱意を持って開発されたのはあちこちから伝わります。ケーハクな印象は一切無し。
と、こんなわけですが、それでも結構なお値段がするのも事実。勢いだけで買えないアナタ、筆者が絶対的な価値観を元に試乗レポートをお届けします(今回は”徹底”試乗レポートではありません)。
もちろん、舞い上がってるディーラーの試乗だけだとワケがわからない、そもそも中古車は試乗ができない。当ホームページではそんな場合にも出来る限り有意義な記事となるように心がけています。
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BRZ
zc6 - FA20 2000cc 2012年〜
34B19R
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国産車バッテリー
エンジン質感 | |
駆動系質感 | |
足回りの質感 | |
内装の質感 | |
外装の質感 | |
快適性 | |
お買い得度 |
グレードによってデュアルエアコン。彼女が風邪を引いたときに役立つ。
夏でも助手席だけ暖房全開なんて事が可能。いらないようでいざという時便利なのがデュアルエアコン。
BRZなら全グレードに液晶スピード表示が付く。トヨタ86はグレードにより付かない。
細かいスピードメーターは見にくいのレベルを超えている。スピードの液晶表示がないと速度が把握しにくい。
アイシン精機製マニュアルミッション。シフト操作は柔らかめで繊細な感じのする良いタッチ。軽く押しつけると吸い込まれる。
このデザインだと、フェンダーのインナーライナーは外せないのかな??
エアコンなしグレードの内装らしいが、本当にこの状態で販売されているかわかりません。実際に見ると写真以上にビックリ。
これは6MTの試乗車。ディーラー試乗車にはあまりないみたいだけど、買うならこちらをオススメ。きっと下取りだってATより期待できちゃう。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。