間違いいっぱいの自動車選び。試乗車はホンダのスペシャリティ・クーペ プレリュード。グレードはタイプS。
比較と辛口評価の試乗レポート
5代目プレリュードタイプSの試乗レポート。
5代目プレリュードは、インテリア、エクステリア共にノーブルなデザインに戻され、全幅も若干狭くなり、全高も高くなり、運転のしやすい普通のクーペになりました。
このBB8型プレリュードは面白みのない地味が特徴というほど、わざわざクーペを選ぶ必要性がクエスチョンのクルマ。
どっちかっていえば2ドアセダンといった方がいいほど、スペシャリティな感覚のないスペシャリティカーというイメージが強いです。
内容は魅力十分。変わらず魅力的なエンジンに、新しいスポーティシステムも登場しています。
グレードラインナップ中「タイプS」に装備されるスペシャルイクイップメントが「ATTS」。これはコーナーで普通の自動車ではありえない動きを実現してくれるとのこと。
ATTSはデフの一部として機能し、ステアリングを切った状態で加速をすると、外側のタイヤにより多くの動力がかかり、旋回を手助けする画期的な装備。
プレリュードは歴代、新しい装備を付けてデビューする実験車?wといわるので、5代目プレリュードはこのATTSを目玉にデビューしたということですね。
こうしたATTSがあるからこそ、平凡なクルマがスペシャリティカーというイメージになっていると思います。話題性はやっぱり重要。
そして上級グレードには「H22A」型というこれまた特別なエンジンが搭載され、タイプSを選択しない限りプレリュードの価値なし!とまで言い切れちゃいます
プレリュードのエクステリアデザインはこの時代のホンダを象徴するかのような、思い切りの良くないデザイン。悪い訳じゃないけど欲しくもない。そんな消極的イメージが強すぎます。
わくわくするような不安定さとか新しさ、好き嫌いが分かれる個性の強さも何もありません。しかもレトロというか古っぽいというか。地味すぎてクーペの意味・存在価値を考えちゃう。
内装。プレリュードのインテリアは、あるべきところにあるべきモノがあるという、わかりやすさが特徴。つまりこちらも全然普通。これを「大人っぽくていい」と評価するか、普通ぽくて嫌だと評価するかは、まさに人それぞれ。例えば輸入車のように考えると、伝統的なレイアウトは好ましいとなるでしょう。
フロントシートは、カプロンを使用したコンビシートは触り心地も高級感も良く品質感は文句なし。ですがやっぱり、もっとスペシャリティな感覚が欲しいです。造形的なデザインでもスイッチでも、照明でも演出が欲しいです。
先代の4代目プレリュードは外装デザインも内装デザインも印象的でした。特に内装は最高の未来感覚と上質感でクラストップの印象が強かっただけに、この5代目は残念に思います。
相変わらずH22Aは最高の4気筒エンジンですね。気持ちいいし、低回転からトルクあるし、上で弾ける。さらにはスムーズで軽く回り、微少なアクセルワークにも反応イイ!最高です。
ついでに燃費も良好。低回転〜高回転トータルでパワーも2500ccエンジン並み。掛け値ナシで感じたままに書いてます。踏んでも踏まなくても最高の4気筒エンジンていっていいじゃないですか。
このエンジンはホンダご自慢のDOHC-VTEC。4500回転くらいにカム切り替えの段差がありますが、シビックRやインテグラRのような大きな段差ではありません。
ただし聞こえてくる音はググッっと変わります。パワー、出力特性、音、レスポンス、すべてが4気筒エンジンとして最高峰と評価できるエンジンです。
確かにVTECらしい段付きの魅力は薄いですが、その代わり低回転でもトルク十分、高回転でもトルク十分。全域余裕たっぷり。サーキット行けば想像よりストレートが伸びる。筆者はF20BよりこのH22Aが好き。
魅力は続きます。まるで6気筒のような整ったエンジン音。そして低振動。全域で鋭すぎるほどのレスポンス、かつジワッとペダルを踏み込めばそれに応えてくれるジェントルレスポンス。高回転でもアクセルワークにきちんと応えてくれる滑らかなハイレスポンス。空ぶかしも軽やか。
これだけのエンジンですから、ぜひともマニュアルミッションで味わいたい。高回転を保って、アクセルを踏み直したときの快感といったらそれはもう...たまりません。試乗前にはエチケットゴム装着が必須!暴発にご注意下さい。
マニュアルミッション(MT)で乗る場合、低回転でのレスポンスが良すぎて運転しにくい場合、具体的には空ぶかし時のレスポンスですが、こんな時には抜けのいい社外マフラーに交換してしまうのも一つの手。低回転時のレスポンスがちょうどよく落ちてくれます。街乗りだったら多少は反応ダルめの方がラクだったりします。
シフトアップする時、シフトダウンする時、「俺はいつでも回転数が合わないと嫌なのじゃ」という方は、グッとやりやすくなると思います。
シフトチェンジ操作の構造は駆動方式によって異なる部分があります。
FF(前輪駆動車)マニュアルミッションは、ワイヤーを介してシフトレバーに繋がります。FR(後輪駆動車)の直結とは異なり、ダイレクトなタッチより快適なタッチの場合が多いです。
プレリュードはFF車ですから、マイルドなワイヤー連結タイプ。
これが意外と、良い仕事してます。
良いと感じるのは適度な立派さと適度な剛性感。質感良好と感じられます。ショートシフトショートストロークで適度な節度感あって、ライバルFR車のような振動がなく、ブルブルしません。
さらに多少入りが悪いため、回転数がしっかりあっていないと入りません。これが逆に、回転があっているのがわかりやすい。
※いくらいいといっても特別いいわけではないです。例えば、FR+アイシン精機の6MTとなるアルテッツァや、ゲトラグ製6MTのスープラ、ランエボ、コルトラリーアートなんかとは別物です。せっかくマニュアルを選ぶならここで快感は変わってきます。できれば実車でテストしてみて下さい。
サスペンションは4代目(先代)プレリュードより柔らかくなった気もしますが、それより、圧倒的にボディ剛性が上がっています。段差があってもがちゃがちゃいいません。
しなやかでいい足回りか?と聞かれれば、まだまだ不満はあります。他社の少し古いクーペと同レベルといった感じです。しかし固いだけできちんとサスがストロークしなかった4代目とは大違い。かなりの進歩と評価させて頂きます。
※高級セダンなんかと比較すれば、最低限満足できるレベルの剛性です。ホンダのオデッセイなども剛性が上がったと言っても、実際試乗すると、「えっ?」って感じ。これは実際の剛性あるなしでなくて、わかりやすさ、表現のうまさの差かもしれません。だって、「剛性」は「剛性感」ていうでしょ?
4代目プレリュードより強化された部分、剛性アップ箇所について雑誌に記載されていました。
雑誌プレリュードのすべてより。
コーナーでATTSの効果は自然ですが、何とも不思議な感覚です。
最終的にはFFらしいコーナーリングなんで、コーナー侵入でリアが不安定になっても、アクセルオンで安定。
ただその一歩手前、タイヤに余裕あるけど曲がる姿勢が作れず、コーナーリング失敗。こんな時でも少しずつ踏んでいけば、ヨーが出て曲がりやすい方向に安定する、出口では自然に全開にできます。
または、急コーナーで減速しすぎてしまった場合、ハンドル切ったらすぐに全開にしたいわけですが、タイヤがキーキーいってもホイルスピンせず狙ったラインをキープできるような感覚です。キュルキュル鳴ってもアクセル緩めなくていいって感じかな。
ということで失敗しても失敗じゃないないコーナーリングに持っていけるアイテム。これがATTSです。初めて運転するときは、長いコーナーなんかで実感しやすいと思います。
システム的に、そこまでハッキリと介入してくる感じではなく、自然な感じを重視しているみたいですが、それでもいつもガンガン踏んでいく方ならFFだけどFFじゃないような、そんな楽しさを感じる場面もあると思います。
プレリュードの価格は250万円あたりがメイン。これを高いとみるか安いとみるか?
筆者的には、ワンランク下のインテグラタイプR、シビックタイプRなどと比べれば、かなりお買い得と思えます。無駄に高額化しないのは、シャシー&エンジンがキャリーオーバーのブラッシュアップモデルだからかもしれませんね。
細部のアラが減って価格は値上げしない。悪く言われるキャリーオーバーですが、悪い事だけじゃなさそうです。
プレリュードは生産終了後の中古車市場でもお得な価格設定が目立ちます。グレードでは「タイプS」を外して「Sスペック」というグレードがお得。内容だって十分。できればMTで高回転のレスポンスと加速、快感を味わって下さい。
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プレリュード
BB5 - F22B 2200cc 1997年〜
80D23L
※BB7も同一
プレリュード
BB8 - H22A 2200cc 1997年〜
80D26L
※BB6も同一
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国産車バッテリー
エンジン質感 | |
駆動系質感 | |
足回りの質感 | |
内装の質感 | |
外装の質感 | |
快適性 | |
お買い得度 |
カタログイメージ
オートサロンで。ミューディメンションのイースコーポレーションのデモカー。
4代目プレリュードの「H22A」。ヘッドカバーを開けて他ペット調整した際の写真。
強化されたボディ。先代比で50%ものボディ剛性強化とのこと。
4代目からの強化グラフ
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。