試乗車はイタリアンなデザインが新鮮なS15シルビア。ボディデザイン路線が不評だったS14シルビアから変わって今度はスリム路線。美しさ満点のS15シルビアです。
比較と辛口評価の試乗レポート
※当サイトは辛口の試乗評価が特徴です。
評論家の先生がお伝えしにそうな点も記載しています。
誰でも知っている!くらい知名度高いクルマそれがシルビア。モデルチェンジすれば注目度抜群、雑誌ではヒーロー級の扱いで、それを見たユーザーはコンビニ前でシルビアの感想を立ち話。
それだけ話題性溢れるモデルですが、販売台数的には今一歩らしく、流行はミニバン系ワゴン系コンパクト系に軽自動車。仕方ありません。
そんな中でシルビアをラインナップしてくださる日産様には感謝です。運転好きユーザーとしては非常に嬉しくほんと日産様様です。自分は社長だったら真っ先にカットしちゃいそうですが。
S14からS15の変更は同じ車体とコンポーネンツをブラッシュアップといわれます。ビッグマイナーに近いモデルチェンジのことを、ブラッシュアップとかスキンチェンジなどと呼びます。
15シルビアは先先代S13から続くプラットフォームでボディデザイン変更、エンジンパワーアップ、ボディ強化とリファインが中心のモデルチェンジらしいです。
こうしたモデルチェンジは、ライバルのクーペも同様です。一足さきにモデルチェンジしたホンダBB4からBB8プレリュードもそうで、販売は継続するけど最低限という感じです。
ボディ横幅は5ナンバーサイズになり、一回りコンパクトな印象を受けるS15シルビア。スリムになってシャープな魅力はアップ。現代的でイタリアンなボディデザインはスタイリッシュと評価する声が多いです。
ボディデザインはリア下がりのデザインが採用され、これは日本人向けでないと言われるデザインです。それでもS15シルビアを見てかっこ悪いという声は聞きません。
またワイドでなければクーペらしさが強調できないなんて話も見当違い。これで美しくまとまっていると思います。
方向性はいわいるラテン系。イタリアンデザインと呼ばれる系統。全体的に薄っぺらさを感じさせる分、ボリュームアップの意味でエアロパーツがよく似合います。これは狙ったのか?w
優れたボディデザインクーペの重要項目ですが、室内はフロントシートでも狭く、クーペらしい優雅さは希薄です。クーペ=高級なプライベートカーですが、そうしたイメージはありません。
しかし軽快なインパネは「俊敏にターンするハンドリング」というコンセプトによく合っていて、好感度高いです!
内装質感を評価させて頂ければ、やはりコンセプトがしっかりしているという部分に惹かれます。
一番はセンターがタコメーターのメーターデザインが大きな魅力。筆者はコレが大好きです。マニュアルミッションだとスピードメーターよりタコメーター。回転数とにらめっこする時間が長いですし、視認性高ければオーバーレブ防止にも一役買います。
インパネを中心にした全体のデザインや質感はコンパクトカーの雰囲気。クーペで欲しい優雅な演出、それこそスペシャリティーな感覚が全くないのが残念です。
ここさえ良ければもっと多くのユーザーにアピールでき、街乗り限定ユーザーだって取り込めたかもしれません。
スポーティにも使え、競技でも使え、所有満足度も文句なし。まさにオールマイティな低価格クーペとなりえたかもしれません。この抜け目が日産クオリティ?
シルビアというこのクルマなら、追加メーターをたくさん付けても無骨やオタクな印象は感じません。これはシルビアというブランドイメージ。追加メーターはアクセサリーにもなるしクルマと対話もできるパーツ。丸いエアコン吹き出し口はまさにメーターを付けろといわんばかりのデザインを感じてしまいます。
S15シルビアは最低限のモデルチェンジ内容とは裏腹に、走るとかなりいいです。相変わらずの次元の低いオーバーステアは街中の交差点でもリア滑りまくり。クルクルピッピ!モーグルターンをコンセプトにしたというのもうなずけます。
アクセル踏めば簡単にリアがでるわけですが、その時の挙動はS13、S14シルビアとは異なり、リアが横に滑っても前に進んでいきます。晴れの日なら、わざとでなければ真横を向いちゃったなんてことは無いかもしれません。
こうした走行性能的な質感は上がり、乗り心地の質感からも安っぽさは減りました。なるほどボディ剛性ってこういうことを言うのか、と勉強になります。
足回りでは横方向の剛性が高ければ、高負荷を掛けたときでもアライメント変化は少なく、タイヤの向いている方向、荷重の安定が期待できます。つまり設置感高くタイヤの滑り方がマイルドというわけです。高級セダンなどに近づくような剛性感です。
またFRだから特にリアのサスペンションが必要以上に固くなく、それが質感に繋がっています。それでもフリクションが大きく要交換のショックアブソーバーを交換すれば、もっともっと性能も質感も上がるはず。ブレーキやタイヤも私レベルなら標準状態でいいです。やはりブルブルしないボディはいいですね。段差の度にミシミシガシャガシャいうボディじゃ、気になって気持ちよく走れませんから。
乗り心地は必要以上に固くないといっても、やっぱり固め。ターボエンジン搭載グレード(スペックR)ではけっこう固いです。演出という面ではいいかもしれませんが、固い=スポーティはメーカーの都合に感じられます。
※フロントサスはあまり柔らかいとコーナーでフェンダーとタイヤが接触して音を出します。気持ちよく走れなくなるのでご注意下さい。
S15シルビアのエンジン型式は先代と同じ「SR20DET」型ですが、S14のころとは比べられないほど魅力的に進化しています。
中回転さえ保っていればターボエンジンのわりにレスポンスよく、扱いやすく、意外と高回転も使えるという魅力。トップエンドでは加速が鈍るので高回転は「よく回る」というより「ただ回る」。
でも回しても回さなくてもいいというユーザーの選択肢。それにちょっとのホイールスピンでオーバーレブしてしまうクルマより扱いやすいです。リアを空転させる事を考えたらトップエンドなんて怖くて使えません。
それでもリアが出るとレブリミッターに行ってしまう事があります。練習される方は1段高めのギヤが良いかもしれませんね。
最高出力250馬力は当てになるのか?スカイラインの2500ccターボと比較すればさすがに250馬力もあるような感じはしません。カタログから見る加速力はカタログ馬力と排気量を総合して考える必要があります。
思い出せば先代S14シルビアのターボは過給圧が低いらしく、本当にパワーがなかった。でもS15のターボは積極的なアクセルコントールにも雑な踏み方にも対応してくれるちょうどいい扱いやすさとパワー感。
快適に移動できるのもクーペで望まれる特徴の一つ。GT(グランドツアラー)なんていうのも欧州のクーペではよく聞く言葉で、高速で安心して走り続けることができる性能が重視されます。
そういった思想と、このS15シルビア・ターボはちょっと違います。優雅なクーペを想像すると乗り心地は固いです。リアサスよりフロントサスが固いのは上級車感覚で魅力ですが、フロントの突き上げ感は助手席に座っていても感じます。
ボディ剛性が高いと、実は乗り心地だって固くなります。金属の遊びだけでなく、各部のゴムブッシュ、シートのクッション、カッチリ感あるステアフィールには嫌なダイレクト感だってつきものかもしれません。ちなみにシート座面は薄くて小さめ、固いです。だから、段差で受けるクルマの傷みをドライバーも感じますw
ボディが立派だと「どっごーん」という振動が「どこんっ」という感じで変わります。振動の減衰が早い。そのため、動きのいいショックアブソーバーと直巻きバネの車高調があれば快適性は一気に向上する可能性があります。
デビュー当時は貴重な軽量後輪駆動のFRクーペとしてでなく、外観のデザインの良さでも話題になったシルビアですが、残念ながら販売的にはうまくいかず、生産中止になってしまいました。
S15シルビアの新車時価格は、スペックS(NA)が177万円、スペックR(ターボ)は239万円。
中古車市場で人気のシルビア、特にマニュアルモデルはやっぱり割高。でもマーク2系のツアラーを買うよりは...といったあたり。個人的な感覚だと、おもちゃにしてはちょっと高いような。
FRでマニュアル、これを絶対条件として重視するとあまり比較対象になるクルマがありません。一応ライバルとしてあげられるのは、新しく1クラス上のFRプラットフォームを使うトヨタのアルテッツァ。比較すればシルビアの方がFRらしいし、エンジンもいいし。4ドアは便利で所有する敷居は一気に低くなるけれど、微妙。
ホンダのS2000、こちらはシルビアよりソリッドでダイレクト。別の乗り物といった感じですがパワーはシルビアの方がばっちり。運転もラクだと思います。
そして極論。お金のある大人の趣味だったら、やっぱりくるまの運転はミニバンで楽しんで、サーキット用ではカートでも購入するのが現代的、かな。
日産シルビアの6MTもトヨタアルテッツァの6MTも基本は同じもの。
しかしギヤ比が異なるということで、シルビアの6速ギヤをアルテッツァに流用してみました。
アルテッツァは低速型のギヤ比で巡航性能が今一歩。100キロ巡航どころか80キロ巡航もきついんです。そんな時、ちょうどあった6速ギヤ。アルテッツァにクロスミッションを組み込むと同時に、シルビアの6速を付けてみました。
やっぱりクーペは余裕のある人が大柄で高級なクーペに乗るのがスタイリッシュだし、それに憧れて勉強や仕事をがんばるというのが本来の姿であって最も美しいのではないのかなと。
1世代前にあった、トヨタのサイノスという、ターセル、コルサをベースにしたコンパクトクーペがありましたが、遅く、狭く、かっこわるく、楽しくない、でした。
個人的で勝手なイメージはさておき、商業的にもやはりコンパクトクーペは存在が難しいというのがメーカーの考えだそうですし、世界的にも歴史が物語っています。
しかしドリフトという文化のある日本でシルビアは人気車種。D1グランプリというプロのドリフト大会でも大人気。
情報豊富でアフターパーツも豊富。個人で改造しやすいのも、このシルビアというクルマの大きなメリットでしょう。おもちゃとして最高な一台であることは間違いありません。
2012年、大きな期待を背負ってデビューしたトヨタ86とスバルBRZ。FRで4気筒、6MTマニュアル、そしてシルビアよりだいぶコンパクトなボディサイズ、さらには低重心という言葉をこれでもかっていうほど宣伝に利用しているスポーティクルマです。
この86&BRZをS15シルビアと比較したら?(BRZの試乗記ページ)
コンパクトなクーペがなくなってしまわないよう、悪いことはいいません。なので86&BRZびいきでシルビアと比較してみると、以下こんな感じ。
結論からすると、S15シルビアだって魅力では全然負けてません。ちょっと改造すればシルビアの方が全然いいかもしれない。楽しく走ろうと思えばシルビアも86も楽しさは一緒。
86は確かに低重心。ロール少なめで乗り心地も柔らかめ。でもこれって、クルマの魅力を決める1要素にしか過ぎません。シャシー、サス、アライメントなどなど。だから低重心だからってえらくもなんともないのは、みんな気づいているはず。
外観デザインはチャチな部分も目立つ反面、派手目。これだけ派手で直線加速は遅い。加速力だけみたらアルテッツァと同程度。コーナーはハイグリップタイヤでなんとでもなります。でも直線だって少しは加速して欲しい。だったらシルビアのエンジンの方が速い。ブーストアップも可能。刺激もあるし上も回るのでドラマティック加減でも負けてない。
マニュアルミッションは同じアイシン精機の6MT。ギヤチェンジの楽しさだって同じよなもの。シートの低さだってバケットシート付けてアンコ抜きすれば同じくらいになるはず。
どちらも趣味性の強いクルマなのでお好きな方をどうぞ。
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シルビア K's
S15 SR20DET 2000cc 1999年〜
40B19R
シルビア Q's
S15 SR20DE 2000cc 1999年〜
40B19R
その他サイズが異なるタイプもあり。
寒冷地仕様も別サイズ。
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