辛口比較・評価評論は試乗レポートは日産S14シルビア・ターボ付きのK's。ミドルクラスFR(後輪駆動車)で、人気だった先代S13シルビアの後を受けてデビュー。
比較と辛口評価の試乗レポート
※当サイトは辛口の試乗評価が特徴です。評論家の先生がお伝えしにそうな点も記載しています。
先代S13も今回のS14もデビュー当時はクルマ好きなら誰しも1度は興味を持つモデル。手頃な価格とターボの設定でデビュー当時から話題になりました。
今回のS14シルビアは、先代S13シルビアよりボディサイズが拡大。ややワイドになって優雅なラウンド路線。大きく見えて車格が1クラス分アップした感じです。
シルエットとディテールは大人っぽい落ち着いた雰囲気で、よりクーペらしく。本来クーペといえば、上品なプライベートモデルというわけです。それでいて車両価格は割高感を感じさせない納得価格。安価に乗れる大人のクーペでした。
シルビアは今回も変わらず後輪駆動ということで、ドリフトを楽しむ方からの人気はすごいです。筆者の周りもシルビアだらけ。NAもいればターボもいる。5MTでクラッチ蹴っ飛ばすイメージが強く、走ってもリアが出やすい傾向。
内容は真逆で、大人のクーペという感じではありませんでした。
時代的にはクーペ人気が下がり、不毛な時代です。そのため一般的には不人気車種らしく、日産に言わせれば商業的な失敗だそうです。それでもイメージリーダー的な効果で販売し続けてくださった日産には、尊敬を込めて日産様と呼ばせて頂きます。
S14シルビアは失敗作という話を聞いた事があります。販売台数の話ですが、予想していた台数に大きく届かったみたいです。
モデル途中には大規模なマイナーチェンジを行いました。フロントは全体的なフェイスリフト、リアはガーニッシュの変更を行っています。
シルビアはユーザーがアフターパーツで楽しむ率が高いクルマなので、これが販売的に効果あったかはわかりません。ただ、デザイン的なキャラクターは変わりました。それはもう、バランスなんて無視で。まさに英断です(左上の写真はビッグマイナーチェンジ後)。
どちらかといえば変えて欲しかったのは内装のイメージ。こちらはそのままで残念です。
「実用車っぽい」という評価がしたくなる内装・インパネデザインはマイナーチェンジでも変わらず。内装はインパネとドアトリムが滑らかに繋がるなど、実は同世代のスカイラインよりは優雅で凝ったデザイン。そうした長所をもちつつ、スペシャリティなイメージがあまりにも不足。
え、走るのが楽しければ内装なんて何でもいい。ごもっともです。
シルビアのエンジンは4気筒2000ccで型式はSR20型。基本的に実用車に搭載されているのと同じエンジンです。特にベーシックなNAは加速力が弱く、官能性能的にも優れた点はありません。メーカーアピールとしては先代S13シルビアからブラッシュアップし、加速力も多少は速くなったそう(体感できず)。
ターボ付きモデルは「リニアチャージコンセプト」ということで、過給圧を押さえています。メーカーは優れた点をアピールしてますが、要するに遅いんです。ターボなのに早くない。S13ターボの方が速いくらい。
新旧ターボ同士で比較すると新型が、体感加速力で負けています。
エンジンレスポンスの為に加速が犠牲になった。後の開発者インタビューを見るとそんな感じですが、そんなレスポンスも鋭いわけではなく、むしろ低回転でのレスポンスなんてこれでもかっていうほど鈍い。
つまりいたって普通のエンジンというわけです(トヨタの3S-GTE型よりはマシ)。エンジンに限らずクルマはカタログスペックではわかりません。燃費も乗り心地も静粛性も、全てが当社比でアピールしているだけです。
ミッション、シフトノブがダイレクトに繋がるFR車としては今一つのフィーリング。先代から同じミッションかもしれまえん。グニャってガタガタブルブルします。タッチは今ひとつなのに振動はダイレクトという訳ですね。
S14シルビアのギヤ比は、NAモデルでは持つパワーの割にハイギヤードな印象。静粛性や燃費も意識された高速型です。NAエンジンのスポーツモデルと比較すればシフトチェンジが忙しくなく、駆動輪(リアタイヤ)が空転してもレブリミットまで余裕があります。燃費にも好影響なハズ。
ターボ付きモデルは一段とハイギヤード。通常運転時はラクにゆっくりシフトチェンジが出来き、高速走行では静かです。練習など豪快に走る時は、1速でなければホイルスピンさせてもレッドゾーンまで余裕があります。
シルビアの足回りはターボでも適度に柔らかく、セリカやプレリュードより乗り心地が良いです。やはり後輪駆動、リアを固める方向性の前輪駆動車より、乗り心地でも上級感を感じやすい。クルマ好きユーザーの多くがバネにショックに変更されるのでしょうけど、バランスは近いはず。
もし足回りにこだわるなら、安価なショックアブソーバーではなく、オーリンズやビルシュタインを利用して総合的なレベルアップを。動きやすいショックアブソーバーなら、乗り心地良くて運転もしやすい。足回りに限らずアフターパーツで味付け変更できるのがシルビアの特長。本格的なスポーツカーにも変身可能です。
滑らせてからのコントロール性は上々。フロントが滑ってもリアが滑っても、ハイグリップタイヤでなければコントロールしやすいと思います。ダイナミックの操作を行うと、じわっとタイヤが滑る感じです。
リアタイヤを滑らすのもターボモデルなら簡単。エンジン3000回転くらいキープして、ハンドル切ってアクセル踏めばズルッと定常円モードに入れます。
アクセルを緩める時は一気に全閉にしないで、20%くらい残して一旦停めて下さい。アクセルを戻しながらハンドルも中心に向ける。もし前輪駆動車でリヤを滑らせているのなら、こうして楽しんだ方がマイルドと感じられると思います。
レーサーを目指していた「※※師匠」によると、リアの滑り出しだけ早くてちょっと...。というハナシ。でもせっかくのFR、これくらいわかりやすいキャラクターが最高です。
操縦性はもっさりとした動きで、なおかつリアもでるという、丁寧な運転ではスポーティらしさがわかりにくいという割り切ったセッティング。
サーキットに行けばグリップクラスで使う人はあまり見かけません。
リアを出すなら簡単です。パワーないといってもターボ付きですし、先代S13シルビア同様にリアはスルッとでます。ハンドル切って曲がり出したらアクセル全開、またはクラッチを蹴っ飛ばせば、キュルキュルいってくれます。雨の日は、そのまま真横向いちゃいます。
S14シルビアはS13を”若干”上質にしただけで、クルマ的にはS13とほとんど変わらない印象。ボディデザインの路線変更、ターボ加給がリニアコンセプトに変更、タイヤ&ホイール変えるなら大きなタイヤがはけるようになったくらいの印象です。
走行感覚に関しては相当な数のアフターパーツが出ているので、味付けは自由自在でしょう。金額的には100万くらいはあっという間にいってしまいますので、最初から上級車種を選ぶ選択肢もありますし、タイミングがあえばコンプリートされたデモカーなどを買うのもよさげ。この辺も日産車らしい日産車です。
可能なら次のS15シルビアを。割高な中古車相場ではありますが、エンジンもスムーズでパワフルになったS15シルビアを狙うのも結局お得かもしれません。
S14シルビアのライバルといえば、ホンダの4代目プレリュードでしょう。駆動方式が異なり、価格帯と車格感が微妙なので判断が難しいですが、当時の雑誌ではライバルとして比較されていました。確かに少なくてもミドルクラスクーペというボディデザインは一緒です。
シルビアとプレリュードってキャラクター的にはけっこう別物。エンジンの高質感・高級感ではプレリュード。回して楽しい。シフトチェンジも楽しい。一方でシルビアはレスポンス悪いエンジンと昔ながらのミッションな反面、ターボで男らしい加速力。
FFでオタクっぽい良さが光るクーペがプレリュード。FRで男らしい豪快なイメージのシルビア。クルマの良し悪しよりイメージの差がでかいでかい。
似てる点は最終的にオーバーステアになる点。プレリュードのスポーティグレードはぶっ飛んでます。駆動方式は違えどキビキビオーバーステア気味のコーナーリング特性はどちらも一緒です。
そういえばやはり同クラスのトヨタ・セリカでは「スーパーストラットサスペンション」なんていうのを用意して戦線に加わってきました。
「3S」という質感的にものすごく残念なエンジンで、とてもライバルとなるところまでは来ていません。高質なVTECでもなければハイパワーなターボでもない。
それでもセリカだって良いと感じる部分はあり、ST205セリカってボディはシルビアやプレリュードよりカッチリ。目一杯走った際に安心感や細かな操作を受け付けてくれる部分から、剛性感の高さを感じます。
それと内装デザインもスペシャリティな感じが出ています。よくよく考えればどれも少しずつ惜しいライバル関係だったのかな、と思います。
S14シルビアのカタロググレードと特別仕様車の価格。代表的なもの。
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シルビア K's
S14 SR20DET 2000cc 1995年〜
55B24R
シルビア Q's
S14 SR20DE 2000cc 1995年〜
40B19R
その他装備品によりサイズが異なる。
寒冷地仕様も別サイズ。
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お買い得度 |
前期のS14シルビア。フロントマスクは上品にまとまっている。
内装がチープだと思えばアフターパーツで装飾も可能。人気車だとパーツが豊富。これはインテリアパネルと検索すると出てくる。価格は1万円〜3万円。
こちらはシフトブーツ部分。本皮シフトブーツと検索すると出てくる。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
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評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。