スバル・レガシィB4(4代目・セダン)の試乗インプレ。言いたい放題試乗記です。グレードはターボ付きの2.0GT他。
比較と辛口評価の試乗レポート
一時期はワゴンブームを作り出すほどかなりの人気があったレガシィ。
流行過ぎても走行性能を重視したミドルセダン/ワゴンというポジションは変わらず。相当に濃い内容を持ちつつ、抑えられた車両価格。コスパに優れたモデルです。
この4代目レガシィ、3代目までのチープな乗り心地からは相当にレベルアップしています。走行感覚は大部分が進化して立派になりました。
価格は大きく変わらないまま、乗り心地良く、ハンドリング良く、上質感も感じさせる乗り味にレベルアップ。エンジンも滑らかな方向性にシフト。
内装は、デザイン的には洗練されたものの、質感は相変わらず。上級グレードでは300万に達するレガシィですが、価格ほどの質感は感じられません。
また4WDシステムが不要なユーザーにはある種の無駄といいますか、そこに割高さを感じてしまう部分は、従来までのレガシィと同様です。
先代から見ればスバル車らしい特長はそのまま、内容は大幅にレベルアップしています。
ネガティブ面もポジティブ面も、ハンドルを握ったときのスバルらしさも一緒。それでいて満足できる内容。スバルらしい特徴を最も色濃く感じるのはやっぱりレガシィです。
ミニバンやコンパクトカーが流行の現在(2009年)、ミドルセダン/ワゴンの販売台数は減少傾向。それ異常に若い世代からの人気減少は、中古車相場に直結します。
レガシィの場合は、クルマ好きから評価される特別なグレードは高価。それを外せばお得感ある値付けがされています。
レガシィと言えば、グランドツーリングといった性能目標を今でもアピールしています。ロングドライブ性能を中心にした、走行性能や使い勝手を重視したデザインということです。
そのために余裕あるターボ付きエンジンや、天候不良時に効果を発揮する4WDシステムは今回も続いています。グレードラインナップにはNAエンジンとターボ過給器付きエンジンが用意され、駆動方式は全グレードで「AWD」という4WDです。
4WDに価値を見いだせば、前輪駆動ミドルセダンよりお得感高いです。安価なグレードほど高いお得感。200万円のグレードなんてもう、積極的にレガシィを選びたくなります。
アグレッシブにドライブを楽しみたければ、また長距離移動時の余裕を求めれば、ターボ過給器が付いたグレードを選択すること。
たしかに価格差は大きいですが、NAエンジン搭載車との性能差も大きいです。パワーもギヤ比も異なり、ターボによる消音効果で聞こえるノイズだってマイルドです。
買って後悔からの買い直しは最悪です。買い直すと大きな追加出費になるのはご存知の通り。実際に買い直した人もいました。筆者の知人で、購入時に続く苦渋の決断だったそうです。精神的にもグッタリということです。
予算的に問題がなければ、ターボエンジン搭載グレードが魅力なのは間違いありません。
2000ccという大きくない排気量を持つエンジンに、高回転での出力が重視されたターボ加給。スバルらしさレガシィらしさ、その魅力を味わいたいなら、やっぱりターボ付きグレードが一番です。
エンジン特性は出力重視系。回転数によってアクセルペダルの反応に差が出て、踏み込む量と加速力の関係は大きく変化します。
中回転を堺に上か下でレスポンスに差が大きいこれを、オタンコターボエンジンと評価する方もいますがその分、回転数を上げていれば強い加速力を味わえます。
気難しい加速はドライバーの技量でカバーするのもまた楽し。
こうしたターボが嫌いと話すクルマ好きも多いんですが、「レガシィ買うならどっち?」と聞けば結局みな「ターボ」と答えます。
ターボ付きエンジンの最大出力は、5速MTは280馬力。ATは260馬力。ミッションによって異なるのは、ミッション耐久性の関係から260馬力に抑えられているとのことです。
NA2000ccエンジンにもスポーティなエンジンがラインナップしています。「2.0R」というグレードに搭載されるエンジンで、最大出力は5MTで190馬力。このNAエンジンが好印象で、中回転以上ではスムーズな音を発しながら加速します。
最大性能より官能性能が魅力で、高回転で詰まりを感じること無く回ってくれます。
例えばトヨタの4気筒2000ccなどと比較しても、レガシィに搭載されるこのエンジンに魅力を感じます。そんな「2.0R」、4WDが付いて価格は220〜230万円。価格的なお得感だってあります。
2000ccだと不安なのは絶対的なパワー。いくら最大出力の高いエンジンと言っても2000ccでは加速力はほどほどです。全開加速を楽しみたければ、それはちょっと微妙なわけです。何度も味わいたくなるのはやっぱりターボですね。
スバルと言えば水平対向エンジン。ボクサーエンジンとも言われます。水平まで開いたV型エンジンみたいなレイアウトで、さらに180度V型とは爆発順番などが違うらしい個性派エンジンです。
水平対向エンジンは、そのエンジンノイズに特長があります。誰にでもわかりやすい特長があり、独特な音のノイズを発します。
そんな独特の音質を言葉で表現すると、地鳴り音的な音。ボロロボロロロボロロ... きめ細やかこそ上質と評価すればまさに対極。ドロドロしたつぶつぶ感強くて、滑らかとは正反対です。
この音が好きな方にはたまらない魅力でしょうし、嫌いな方にとってはうるさいだけ。
4代目レガシィでは水平対向らしさも改良されました。ボロボロと鳴る音は多少滑らかに、足下に響いてくる振動も減少。
といっても完全に個性がなくなったわけではなく、上質な方向にバランスが取られたといった印象です。アイドリング中は特にフロアがポッポッポッポッと振動が目立ちますし、走行中でも助手席足下あたりではボロボロした特長を感じられます。
何が変わったか調べれば、エキゾーストマニーホールドが等長タイプに変更されたそう。いわゆるタコ足エキマニみたいな感じだと思います。
この4代目レガシィでは上級グレードにビルシュタインブランドのショックアブソーバーが採用されています。グレードは「2.0GT」「2.0GTspec.B」です。
このグレードにはビルシュタイン製ショックアブソーバーが使用され、2.0GT系のすべてのグレードで新開発の機構も取り入れられています。
機構はリニアモーションマウント(エンジンと左右のサイドフレームを結合することでコーナリング時の車体とエンジンの動きのずれを抑える役割)、またフロントロアアームもアルミ鋳造製アームが使用されるなど、高い負荷を入力した時の走行性能がアップされていると思われます。
通常走行時は高品質なショックアブソーバーが乗り心地を上質にしています。レガシィ純正のビルシュタイン製のダンパー付きは大物自動車評論家さえ太鼓判を押す、譲れないアイテムです。レガシィのビルシュタインは、後付のビルシュタインやその他の単筒式ショックアブソーバーに負けない上質さを持ちます!
本物か名前だけか?? 答えはわかりませんが、筆者が使用してきた高価な後付ビルシュタインと比較して、そう変わらぬ動きやすさを感じます。
動くけど伸びも縮みも減衰力発揮という理想に近いです。トヨタその他で見かける”なんちゃってビルシュタイン”とはちょっと違います。
ネットでは「高圧ガス+単筒式は乗り心地が悪い」と評判ですが、普通の純正ショックアブソーバーと比較すれば全然いいです。乗り心地は段差を一つ二つ超えれば、減衰力は強いブレーキを一回試せば、良さがわかると思います。
こうしたあたり、「マニアックな部分にお金が掛かってそうだね」と感じさせるこれこそスバル。スバルの自動車作り。このコダワリがたまりません。
見えない部分にはお金を掛けないメーカー、見えない部分にもお金をかけるメーカー。軽薄に作られたクルマと一生懸命開発されたクルマ、そんな表現も使われますが、同じにクルマを作っても何か違うと思えるだけの何かがあります。
ビルシュタインブランドのショックアブソーバーに惹かれて購入される場合は「2.0GT」「2.0GTspec.B」を選択して下さい。単筒式+ガス圧方式と思われる初期から動いて減衰力を発揮する、上質なショックアブソーバーを体感できると思います。
美味しい中古車選びで重要なのは、年式と新車価格からする割安感。単純に安価だからお得というわけじゃありません。年式の割に安いのが、お得なクルマです。
お得感を考えなければボディデザイン、見た目が最も重要かもしれません。人気車というかボディデザインに魅力がある車種はだいたいにして中古車価格は割高です。
この4代目レガシィのボディデザインは、スッキリ端正でスタイリッシュ。先代のズングリムックリ感は全くありません。目新しさはないけど古ぼかしさもない、多くの人が好感を感じるタイプであり、全長の短いセダンのお手本的スタイルとまで思っています。
ワゴンボディこちらはセダンほどスマートな印象はなく、普通のミドルサイズワゴンといった印象を受けます。しかしワゴンが不人気の時代にワゴンボディも用意してくれる事は素晴らしく、ユーザーに広い選択肢を与えてくれるのはクルマ選びの楽しさに直結します。
シャシーなど見えないところでリッチな構造をだったりします。材質的にも高価な部材が使われていたり、コダワリたいユーザーにはたまりません。
例えばリヤサスペンション、フロントと同じアルミ鋳造製アームをリヤにも採用。アルミ製リヤアッパーリンクも使われ、軽量、高剛性の新構造のサブフレームを採用。などとなっています。
スバルのクルマでペースを上げると、リアのついてくる感覚が素晴らしいと感じることがあります。リアのロールするタイミング、グリップ限界を感じた辺りの落ち着き。フロントばかり重視されたクルマではなく、走ってバランスよくという事なのでしょう。
この辺りも3代目レガシィと比較すれば、ワイドトレッド化でハイペース対応になり、タイヤと路面の接地性向上や高い追従性、サスペンションがよく動けばこうした部分もよくわかります。
グリップレベルが高い反面、ブレーキングポイントを見誤ると危険な時もあります。ギリギリまでグリップ力を引き出そうとしていると、余力が少ない状態でタイヤは滑ります。するとピーキーな部分が顔をだすわけです。
フロントタイヤがズルッとタイヤ1個か2個分、素早く真横に滑ります。高いペースで走れる=レベル高いクルマの場合は、ブレーキとステアリングを分ける考え方が良いのかもしれませんね。
シャシー周りがもっと立派なクルマの場合、例えばセルシオなんかも足回りにお金掛かってますが、滑ってしまっても挙動がゆっくりという場面が多くなります。
レガシィの最上級となるグレードには3000ccの6気筒エンジンが搭載されます。
グレードは、「3.0R spec.B」。6MTで味わえる6気筒、貴重なモデルです。
限られた試乗でしたので多くのことはわかりませんでしたが、とにかくスムーズで振動を感じない。音は少々やぼったく、一般的なV6エンジンと比較しても音は目立ちます。そんな感じだから振動も目立ちそうな気がしますが、冷静にチェックすれば「振動してそうな気がするだけ」です。
パワー感という面ではそんなに速さは感じません。もちろん低排気量車と比較すれば、低回転から加速をしてくれますし、回転数によるアクセルレスポンスの変化は小さいです。
日常でドライブが楽しくなるのは実はこういったエンジンではないでしょうか。ワインディングで目一杯走るといっても5分や10分。ならばそこまでの行き帰りが気持ち良い方に惹かれても不思議じゃありません。
そんな感じでこの3000cc6気筒エンジン、水平対向で有りながら水平対向の弱点を感じさせないエンジンだと思いました。
マニュアルのトランスミッション、以前までスバルのミッションはガラスのミッションなどと言われました。壊れると言うより、フィーリングの悪化。相当に丁寧な操作で扱い続けないと、回転数を合わせて吸い込まれるようなフィールがなくなります。シンクロ泣きするという方もいらっしゃいます。
しかしこの4代目では、複数台に試乗して、ミッションボロいなと感じる車体は経験していません。シフトチェンジの際、変な感触が手に伝わってくるような事がありません。
中古車の場合、シフトフィールは個体差が大きく影響します。経験上レガシィに限らず、好ましいシフトフィールを保ったままの中古車は少ないと思います。中古車なら確率低い運次第、MTはできれば新車で購入したいものです。
レガシィのモデル別の違いや比較
その他の概要はリンク先で掲載中。
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評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。