クラウンアスリート(18系)試乗比較

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(2010年記事 トヨタ クラウン
著:ヒラリー男爵)

クラウン(18系)試乗インプレッション「1」

常に十分な販売台数をキープしている人気セダン、クラウンの試乗レポートと比較評価です。モデルは18系となるGRS182クラウン。グレードはアスリートの3000cc(前期モデル)。18系クラウンはいわゆる「ゼロクラウン」と呼ばれるモデルです。発売は2003年の12月。

先代となる170系クラウンや次代となる200系クラウンとの比較も含めて試乗レポートをお届けします。

トヨタ
  • グレード:“3.0アスリート”
  • 型式:GRS182
  • 車両価格:420万円
  • デビュー年:2003年12月
  1. このpage - クラウン試乗「1-1」・試乗詳細レポート
  2. 分割page - クラウン試乗「1-2」・静粛性や小回りの良さ

クラウンといえば?

クラウンといえば日本きって高級セダン。街にどれだけ溢れようとも、知名度とイメージはやっぱり高級セダン。ドレスアップして若者セダンという印象も強く、10代から60代まで常に一定の人気を保つといいます。新車の販売台数だって常にランキング内をキープ。

そんなクラウンですが、今回の愛称は「ゼロクラウン」。どんな意味か?よくはわかりません。推測してみると、こんな感じ。
昔は、「いつかはクラウン」。今は「最初からセルシオ」な時代と言われます。大卒初任給の30倍のお金を出してようやくカローラが変える時代から、同様の感覚でセルシオが変える時代になり、さらに中古車なら年収分で買える時代。

トヨタそんな中でのゼロクラウン。高級セダン好きが初めて買うのにちょうどいい高級車。免許取ったら始めはクラウン。クルマのためにがんばれる若い世代に合わせたクラウンとして、ゼロは初めてという意味と、筆者は勝手に推測しています。

大変化?それもあるかもしれません。

キャラクターが変わった!

若い世代もターゲットにしたモデルだと勝手に推測してますこの180系クラウン、今までのクラウンからはかなりキャラクターが異なっています。

クルマをキャラクター付ける重要なコンポーネンツであるエンジンは、上質感がウリの直列6気筒からスポーティ感も感じるV型6気筒に。足回りは適度に引き締められ、ステアリングフィーリングもラクが一番から一転、運転している実感を感じるタイプに。
また外装デザインもコンフォートで如何にもなセダンボディから、塊感と新しさを感じさせるデザインに。

フワフワこそ高級な時代

昔からのクルマ好き、大ベテランの領域になれば、クルマは乗り心地が柔らかいほど偉い、らしいです。そういえば砂利道が多かった時代のサスペンションといえば、「姿勢制御装置」ではなく「暖糾材」な役割が強かったのでしょう。
日本きっての高級車たるクラウンは、とにかく柔らかい足回りにフワフワなシートが特徴でした。ユーザーがこういうクルマを作ったか、メーカーが価値観をユーザーに植え付けたか?それはわかりません。しかしフワフワこそ最良、ほんの20年前はそうした価値観だったのです。

築き上げた高級路線からの路線変更

そんなクラウンが路線変更したようです。運転を楽しむという考えも盛り込まれ、従来より若い世代にもアピール。もちろんファントゥドライブといえるたぐいのクルマではないんですが、ドライバーが楽しもうと思えば楽しめる。そんなクラウンに大変身。
クラウンを購入するユーザーの年齢層も、他のセダンと比較すれば若い世代が多いらしく、30歳代も多いみたい。

試乗:内装

では試乗レポートということで内装のデザイン、質感から。
内装全体のイメージとしては、トヨタセダンらしいデザインの方向で、しっかり上級車種として違いを持った仕上がりになっているのが高感度高い。プレミオ・マークX・クラウンとおよそ100万円づつ価格差がある中で、同じ方向性、しかもそれだけの価格差を納得させる仕上げ。

なので日本車らしい高級感は十分で、多用された光沢&木目調パネルに大きなステアリング。スイッチがいっぱいのナビパネル周辺。もうインパネ周辺からドアトリム周辺まで、パッと見で目が行くところはかなり立派に見えます。

レクサス系が洗練された上質感をアピールしているのと比較すると、クラウンの内装は大らかで開放感高く、馴染み親しんだ車内というイメージが強いです。このあたりは黒い内装色が苦手というユーザーもけっこう耳にします。

シートは従来のクラウンと近い印象。固くなく、特にリアシートは柔らかめで足元広さも問題なし。売れ筋といわれるクラウンロイヤルの価格は340万円程、この価格でこれだけわかりやすい豪華な室内空間が手に入るのはクラウンだけじゃないかな。ライバルのフーガやスカイラインは写真では良く見えても、実際見るとゲンナリだったりします。やはり日本人にとっての内装は、派手でわかりやすいトヨタ的高級感がしっくりきてしまうのかもしれません。

また車内のイメージはミニセルシオ風(30系セルシオ)。軟質パネルの厚みとか、使用箇所とか、インパネでは部品のサイズや点数に差があって、同じような緻密さはないんだけど、イメージは近い部分がある。このクラウンのコクピットに座っていると、セルシオか同車格のクルマに座っていると錯覚さえしてしまいます。

この開放感と包まれ感のバランスは、同じ感覚で運転できるかどうかにも繋がってきます。どの車種に乗っても同じような感覚で運転できるトヨタ車は多いです。これはトヨタの魅力だと思っています。

内装で気になる点は3つ

高級車というわりに実用車と価格差が小さいクラウン。装備次第でミドルクラスミニバンでも価格が近づきます。ならば細部が多少残念なのは仕方ないですよね。クラウンの内装で気になる点について。

  • ステアリングスイッチを含む各スイッチの押し心地は標準的。他の2000〜2500ccクラスと一緒。トヨタ車のスイッチはレクサスでも極上と言えず、その他のクルマではあまり褒められたモノではないので、こんなモノと言えばこんなモノ。
  • 叩いてみると多少パカパカな部分がある。地方の荒れた道を走ることが多いと、ちょっと不安を感じてしまうかもしれない。
  • 純正ナビゲーション周囲のパネルが若干傾いて取り付けされている。傾き度合いはパッと見て誰でも気付くほど。クラウンとして通常これはありえない。気になったのでアスリートの展示車4代をチェックしたがどれも一緒。初期モデルなど限られた生産車だけである事を願う。

試乗:エンジンや駆動系

この180系クラウンからエンジンはV型6気筒に。新しいエンジンとそれに合わせたプラットフォームは、ゼロクラウンというのにちょうどいいトピックス。エンジン型式は3000ccが3GR。2500ccが4GR。後に追加される3500ccが2GR。

今回の試乗車は3000ccの3GR。クラウンとの組み合わせを試乗してみて、どんな印象をうけたかというと、V型6気筒の中では最高といってもいいくらいに思いました。日常的なごく低回転のジェントルさと、高回転の迫力を併せ持ち、他のV型ほどV型らしい特長を感じないのが魅力。

特徴はクルマに似合ったスロットル特性。アクセルペダルワークに対する反応が落ち着いていて、不慣れでもギクシャクしにくい味付けです。ON-OFFの瞬間も気難しい部分がありませんし、街中でラクなセッティングです。これはパワー感を感じさせない反面、上級車的な感覚を味わえます。

こんなジェントルなエンジンも、高回転領域ではビックリするくらいのエンジンノイズを響かせます。合わせて排気音も低周波な音が混じります。中回転域からじわっとパワーが盛り上がり、合わせてノイズレベルも変化。徐々にレベルを増していくそれは運転しやすさに直結。少なくても過給器付きエンジンにはないものです。

ただしその音質は、上質とか快音と表現できる音質ではありません。ザラザラした粗さがあり、振動がなくても振動が伝わってくるような音質です。クラウンのキャラクターには合っていないという意見も納得です。

体感的な加速力は3000ccクラスとして不満ありませんでした。2500ccと比較しても4000ccと比較してもハッキリ差があるので、選択肢として必要な排気量だと思います。

従来までの直6エンジンと比較すると

質感という面では直列6気筒(2JZ)エンジンに劣ります(先代17系クラウンまで搭載)これはエンジンノイズの音質やどこからか感じる振動が原因でしょう。クラウンに望まれるパワーユニットはスムーズで滑らか、そしてマイルドなノイズetc。そうしたユーザーが多いと思います。

「3GR」という今回のV6エンジンはは「2JZ」直6エンジンと比較すれば荒々しいエンジンなのは間違いありません。これを野暮ったいと感じるか迫力あると感じるか。
弾ける印象で、パワー感を感じる、回転を上げる。クルマらしい音といえばコッチです。低回転では静かでスムーズなのに、高回転域ではバババババギューンとエンジン音が盛り上がります。

本音をいえば、クラウンのキャラクターには直6の方があっていると思います。中古車では直6エンジン搭載モデルが意外に人気らしい。ただV6にはV6の長所があるみたいですし、この3GRというV6は他のV6エンジンと比較しても魅力が高いです。

飛び出し感のないアクセルセッティングは好感度大

アクセルレスポンスについて、アクセルをほんの少し踏んだ状態ではクルマは「そぅっと」走り出す。これは普通。小さいクルマからクラウンに乗り換えると、出だしが悪いようにも感じるかもしれないけど、そうじゃないんです。これは決して車重が重いからとかレスポンスが悪いとかではなく、小さいクルマのアクセルが不自然なだけ。

エンジンが小さいクルマほど、アクセルペダルに対するスロットル開度が早開きになっていく傾向がある。これは適度なら余裕を感じ、過度なら不快感を感じます。不快感とは飛び出し感とかギクシャクすること。こうしたスロットル特性を持つクルマは神経を使います。

3000ccクラスになれば、ここに違和感を感じにくいことが多くなります。時間をかけてよく調教されているのかもしれないし、単純にスロットル早開きにする必要が無いだけかもしれない。アクセスペダルの踏み始めが落ち着いている分、パワー不足のように感じられるかもしれないけど、それならば適正な量だけペダルを踏めばいいだけ。
クラウンでは早開き感ないし、回転数によって大きくレスポンスが変わることもなく、アクセル特性は扱いやすい部類に入る。

次のモデルとなる20系クラウンの方がさらに良くできていて、洗練されている印象を受ける。ジワッと奥まで踏み込めば、クルマは落ち着いた状態を保ったまま、良い加速をしてくれる。

試乗:乗り心地など足回り

17系クラウンまでのとにかく柔らかいサスペンションセッティングと比較すれば、この18系クラウンは引き締まったセッティング。ロイヤル系とアスリート系で差はあるけど傾向は一緒。

質感は悪いです。アスリートの足回りは固くて渋い。クラウンの足回りが悪いはずないと思うかもしれないが、少なくても良いものではない。アスリートの足回りはちょっとのガタガタ道ではストロークせず、クルマ全体が振動してしまうような印象。思わず、「クルマがかわいそうだから減速しなければ!」という気持ちになってしまう。

ちょっとしたデコボコで乗り心地悪いだけでなく、路面からの騒音(ノイズ)も盛大に発生。静かで高級感あった室内に非常事態宣言が発令される。そしてもっと路面のあれた場所、古い橋上の舗装などでは足回りやその他ボディからガチャガチャと音を出し、乗り心地の悪さを強調してしまいます。

まとめるとこんな感じ。
良い路面 - フラットで高級、秩序ある上品な住宅街。
少し荒れた路面 - 非常事態宣言。至急避難が必要。
けっこう荒れた路面 - もう何も考えられないパニック状態。

ステアリングフィールについて

ゼロクラウンではステアリングフィールもまた、カッチリとした方向に変化しました。ただただ軽かった従来までのモデルと比較すると、全域で重くなったと表現してもあまり間違っていません。トヨタの高級車全体的に、高速域で軽く、低速域でとても軽い回し心地。

唐突にしかも極端な変化は、例えば時速80kmから30kmに減速して交差点、急にハンドルが軽くなって舵角を決めにくい。ちょっとした慣れが必要です。また速度一定で走る山道でも、ハンドルにもう少し重さがあればと感じたものです。

17系クラウンではこんな感じだったのが、どう変わったか?

ステアリング中心付近の反応の悪さは相変わらず。ただ、切り込んだ先の重さというか手応えは増し、コーナーリング中のハンドル操作にも反応してくれるようになりました。回した感じに多少ざらつき感を感じることもありますが、すぐに気にならなくなるレベルだと思います。後輪駆動車らしい感触は変わらず良好。

電動パワーステアリングの味付けというか特性は、これからどんどん進化していくと思います。


この乗り心地とステアリングフィールについて、次の20系クラウンでは大きく進歩しています。

トヨタ クラウン
トヨタ

CROWN (クラウン)18系

  • 試乗グレード:“3.0アスリート”
  • ミッション:5AT
  • 新車時価格:420万円

概要

  • 車両 型式:180系 GRS182
  • 排気量:3000cc
  • エンジン型式:3GR-FSE
  • ボディサイズ:4840/1780/1470mm
  • 車重:1600kg
  • 発売時期:2003年12月

クラウンの型式

  • GRS180 - 2500cc
  • GRS181 - 2500cc4WD
  • GRS182 - 3000cc
  • GRS183 - 3000cc4WD
  • GRS184 - 3500cc
試乗レポ・ライター

当記事は「ヒラリー男爵」がお届け致します。
ヒラリー男爵

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クラウン 18系

GRS182 4GR-FSE 3000cc 2003年〜
75D23L

 
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ライバルと比較しての評価
エンジン質感 5段階評価
駆動系質感 5段階評価
足回りの質感 5段階評価
内装の質感 5段階評価
外装の質感 5段階評価
快適性 5段階評価
静粛性 5段階評価
お買い得度 5段階評価


後期アスリートのインテリア。


18系クラウン「アスリート」の後期型は3000ccモデルは3500ccに変更になる。ロイヤルの3000ccモデルはそのまま継続。

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