評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。日産キューブ・Z12型。2017年式の試乗レポート。
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デビューから10年超、未だ美しいボディデザインに惹かれます。
左右Aピラー間が広く、ワイドに広がるフロントガラス。実際より大きなクルマを運転している感覚はキューブの大きな特徴。
キューブが持つボディ見切りの良さは、直進性の高さにも貢献。車線の中で自車位置が掴みやすいから、例えば車線中央など思った位置をキープしやすい。曖昧なステアフィールで微調整しにくいという短所を補って余りある長所。
走ることに主眼が置かれたビッグセダンなどではもっと感覚が取りやすかったりするけど、コンパクト/ハイトワゴンというジャンルの中ではハイレベル。
このキューブがデビューしたころは、ちょうど電動パワステへの切替時期だっただろうか。路面から衝撃を消すことに主眼が置かれ、人工的で無機質な操作感のクルマばかりだった。
キューブもそのままのフィーリングで、路面やタイヤからの反力を感じず。舵角を増してもアクセルやブレーキとの組み合わせでも一定の重さ。
加えて、ちょっと走り出した速度でガシッっと重く変化するパワステ。
高速道路レベルの速度では固定されているように中立が抑えられ、気持ちよくはないものの直進性には貢献しているだろうと考える。
※内容は辛口評価です。試乗時に確認したいポイントを重視!
ゆっくり運転している時は穏やかなハンドリング。曖昧にも感じられるほどマイルドでクルマのキャラクターによく似合っている。
これがフロントサスがグッと縮むような乗り方をすると印象一変、元気いっぱいな印象になる。
ペースが上がっても、ワンテンポおいてから曲がるチカラが強まるのは変わらない。フロント外側のサスが縮んで、そこからグッっとくる。
そうしてグイグイ曲がり始めた後は、蛇の効きも良く微調整も可能。また接地感や安定感も高く、意図的に不安定にしようともなかなかレベルが高かった。
ピッチング(前後)方向は神経質だけど、ロール(左右)方向の動きは意外と雑なドライブも許容。
パワステが無味無臭でインフォメーションを伝えない事も相まり、このような印象を受けた。
総合すると、ドライバーやペースによって評価が別れ、想像するより高い限界性能。マニア受けより運転が不慣れなドライバーに寄っている親切設計かもしれない。
四角い箱型をテーマにしたボディデザインは多々あれど、キューブほどAピラーが立っているクルマは珍しい。
左右に離れて幅広く、立っていて長さも短いAピラー。走ることだけ考えれば、これはもうホントに良いことだらけ。コーナーでも奥が見にくいなんてことはありません。
通常走行中でも駐車スペースでも、斜め前方の視界はすこぶる良好。Aピラー(フロントガラス脇の柱)が短く、立っているのが効いている。
試乗中コーナーで斜め前が見えにくいことがなく、直線でも車両感覚が取りやすいからとても走りやすい。インパネがフラットに抑えられているのも効いているのだろう。筆者的にはここが、キューブ最大の長所。
運転席に座ると、大きなクルマに乗っているような錯覚を受け、緊張するかもしれないけど大丈夫。
フロントコーナーの見切りが良く、加えて足元も見やすい。駐車場から出る時や大通りに出て右左折する時、足元の縁石への心配はものすごく少ない。
恐る恐るではなく、自信を持って右左折できる。
ボディフロントを壁に寄せるのもものすごく簡単。ボンネットが先端近くまで視認出来るから、感覚ではなく目視で確認しながら寄せることができる。
見えないクルマは慣れという名の感覚で寄せるしかないけど、単純に前進して寄せるのって、意外と慣れづらい。不安を感じながら運転するのなら、キューブみたいなクルマを選んだほうが、よっぽど気楽にクルマを利用できる。
ルームミラー(バックミラー)で確認する真後ろは、けっこう見にくい。理由は、大きなリアシートに大きなヘッドレストが飛び出ているから(詳細はリアシートのページで)。
なお斜め後ろに関しては見やすく、シートがゆったりしているから体を捻って目視するのがラクです。
ブレーキ操作もアクセル操作と感触が似ていて、緩い緩い鋭いという特性。反応が薄い遊びのような領域が広く、奥で食いつきが良くなり、ここの段差が大きい。
ゆっくり丁寧に踏み増していけば、なかなかブレーキ効かないからさらに踏み増し。思ったより踏み込んだ時に効き始めるも、オットットとなりがち。逆に素早く踏み込むとフロントのノーズダイブが早くて大きく、これまた不快感が大きい。
慣れちゃえば問題ないけど、慣れるまで時間がかかるタイプ。効く効かないではなく、快適に減速するのが難しい。上手く減速できる踏み方が限られています。
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違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。