試乗記は90系クレスタ、2500cc。アッパーミドルセダンで優雅さが強調されたキャラクター、そしてスポーティ&ジェントルな直6エンジンが大きな魅力!
比較と辛口評価の試乗レポート
トヨタのドル箱といわれた、マーク2の三兄弟。最盛期には3車種合計で月3万台を販売。マーク2、チェイサー、クレスタ、この中で高級感をアピールするのがクレスタです。
後を継ぐのはマークX。正統派アッパーミドルセダン!
クレスタ・マーク2・チェイサーの3兄弟モデルは、爆発的な販売台数を誇った人気車種です。
その中でクレスタはセダンボディで高級なイメージをまとい、差別化が図れていました。価格もマーク2、チェイサーより数万円高い設定。しかし特に高級というわけはなく、むしろ人気の問題から値引きで安くなるといった、実はお得なクルマです。
チェイサーは上質な若々しさがイメージコンセプトということで、クルマ好きからの人気は高かったものの、販売力の低いオート店扱いだったことから販売台数は低めです。
マーク2はスポーティ感を強めたイメージで、幼稚とも言われたボディデザインもスタイリッシュという言葉が似合うものでした。
販売はトヨペット店で、販売台数的に最も大人気でした。人気、知名度共に高い影響から、下取り価格もクレスタやチェイサーより高いといわれます。
筆者が運転免許を取得した時、父親から受け継いだのがクレスタです。決めてはディーラーとの付き合いで、3年毎にクレスタを乗り継いでいました。この90系でクレスタから離れると事もあって、筆者の練習車に。お古とはいえ、今考えると贅沢でした。
この90系は美しいボディスタイルと魅力的なエンジン(1JZ、2JZ)、さらには後輪駆動車の影響で、今でも人気です。特にMTのツアラーVは相当な人気なのは、中古車相場を見てもわかります。
現在から12年落ち。それに考えられない値段がついていたりします。中古で狙うなら若干人気の低いクレスタが良いんじゃないかと思います。
マーク2・クレスタ・チェイサー。3兄弟といわれるこの3車は兄弟車で、ボディデザインは違えど中身は一緒。
大きな違いは、クレスタはセダンボディという点。窓にサッシュがないハードトップに比べて、ガタが目立ちにくく、長持ちといわれます。
可能なら、中古車でハードトップはさけた方が安全です。微妙な隙間から風キリ音や雨漏れに悩まされる可能性があります。
(セダン・ハードトップ・サッシュレスとは窓枠のカタチの違い。)
それと、この3兄弟では、必ずと言っていいほど同じトラブルが起きます、パワーウインドウのワイヤーが切れ、窓ガラスが落ちてしまいます。レギュレーター破損というやつです。
その時にセダンボディだと、テープで貼ったりと、一時的な対策がとれます。
平成初期のクルマとして考えれば標準的な乗り味といえるサスペンション。比較しなければこんなものといった印象です。乗り心地に大きな文句はなく、クラスなりといった感じです。
味付けは柔らかめですが、ゆったり感はなく、悪く言えばペラペラのクルマに乗っているようです。
クルマは重い方が、ショックアブソーバーの品質の差が出にくいといいます。クレスタは軽めの車重だから乗り心地が悪いのかもしれません。剛性感不足気味のボディはビシビシ感が目立ちますし、見た目のイメージほどの乗り心地は持ち合わせていません。
もう少しゆったり、しっとりと動いてくれるのならば、クレスタというクルマのイメージとピッタリだと思います。それでも、フワフワでないのは従来までの80系クレスタから、現代的に変化した部分だと思います。
乗った感じは、国産最高ともいわれる直列6気筒エンジン「1JZ型」の魅力が強いです。ジェントルかつパワー感も感じ、同じ直6エンジンでも日産の「RB型」より魅力的です。
2500ccという排気量から考えるとちょっとだけ、低回転トルクがないような気もしますが、NAもターボも音がいい。この質感ですべて許せるほどです。
マフラーを社外品に交換しても、とっても上品な音で、品があります。この直6エンジンの排気音はオーケストラ。排気音は複雑な響きがあって澄んだ音で軽やかで。そこにエンジン本体のメカのイズが緻密さを上乗せ。たまりません。
これがチューニングされたエンジンならわかります。特別な日産RB26でもわかります。しかしただの乗用車向けエンジン。それで素晴らしいから文句の付けようがありません。
クレスタが現役のゼロヨン会場では、一際快音をはなつ1JZとRB26。注目度はMAXです!もちろん3000ccの「2JZ型」だって素晴らしい音。
直6だったらV8と比較しても、どっちも魅力的だよね〜、なんて同格で比較できちゃいます。
1JZ型は高回転の伸びはそれほどでもなく、5000回転くらいで頭打ち感を感じます。でもやっぱり、ノイズの音色は美しく、シューンと軽い音が響きます。回してもうるさくないし、振動も気になりません。
少し気になるのは、中回転域でのコモリ音。周りが静かな場所だと、マフラーに穴空いちゃった?みたいに気になった事があります。
サスペンションは比較的簡単に変えられるので、乗り心地の質感は気にしなくてよいと思います。ツアラーなら多くのパーツが出ていますが、サスペンションはどれも共有できそうなものです。
ブレーキは初期制動力が高く神経を使います。ブースターが効きすぎでしょうか?いかにもこの世代の、トヨタ車的なあれです。
ブレーキ時の姿勢は前のめりでも、意外にリアの加重が抜けにくく、ロックしにくいのは利点。
FF(前輪駆動車)と比較すれば、ボディリア側に重量があって、エンジンブレーキもリアタイヤに掛かるのがFR(後輪駆動車)、FR車のブレーキは姿勢が安定して心地よいです。
さらにプレッシャーバルブと呼ばれるパーツの効果もあるのでしょうか?一定レベル以上でリアの制動を弱めている感じです。
ブレーキ同様にアクセルも、ちょっと踏んだだけでスロットルが大きく開きます(コンパクトクラスよりはましです)。
発進時に限ってですが、雑な操作をすると飛び出し感を感じることになります。
扱いにくさでもう一点。パワーステアリングの車速感応があまりにも不自然で、ビックリする事があります。軽い・重いがオーナーでさえ気になる時があるほど、極端に変化します。
速度を落として曲がるとき、急減速した直後に切り込むと、いきなり軽くなってビックリ。
この際、ヨーの立ち上がりとサスの初期ストロークと一致していないのが残念で、スィと向きを変えてから、グィっとボディ外側フロントのサスが縮みます。
90系クレスタの販売当時、パワステといえば「エンジン回転数感応型」と「速度感応型」に分かれていました。
速度感応型パワステは一般に2500ccクラス以上のセダン(サルーン)をメインに装備されていましたが、そういった車種をメインにしたモノですので、セッティングも極端。
安価なイメージの「エンジン回転数感応型」の方がスポーティかつ走りやすいものです。
90クレスタも速度感応型ですが、バランスや走りやすさなんてトヨタの辞書にはないんじゃないかっていうほどのしろモノ。
具体的には、速度が高ければ重くなる、速度が低くなれば軽くなる。パワステはそうした機能ですが、低速で異常に軽く、軽く変化しすぎてしまうんです。駐車場スピードでは小指でハンドルが回せます。
常に低速走行だけなら良いかもしれません。困るのはこんな時。例えば80kmから20kmに減速してコンビニに入るとき。想像以上にしかも急にハンドルが軽くなるので、クゥっと切りすぎてしまう場面が出てきます。
90型クレスタ、チェイサー、マーク2はボディが軽く、そして4気筒クラスと比較すれば、しっかり安心して走れるボディ剛性感を持ちます。なので改造などしなくても、滑らせて遊ぶことも楽しめます。クルマで楽しいとはなんぞや?きっと何か掴めます。
ボディサイズは4750×1750×1390mm。車両重量はスーパールーセント系で1370kg。ツアラー系で1480kg。1500kg未満に収まるのは重量税の面でも嬉しいです。
MTを選択できるのはツアラーV。MTのストロークが長く、フィーリングも悪いですが、パワーもありますし、欠点は目立ちません。もし購入するなら、ツアラーは完全なプレミア価格で割高です。それでいてMTは評価が低いので、できれば100系の方がおすすめ。
100系だとクレスタにはMTが用意されず、ターボのグレード名はルラーンGに。それでも中古車市場には5MT載せ替え車両がたくさんあります。
余談ですが、最近ではドリフトラジコンというホビーもあって、そちらでは100チェイサーのツアラーが人気みたいです。
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