辛口比較・評価評論。ホンダ・アコードワゴン(CH9型)、グレード「SIR」。
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優雅だった前モデルから一新、シンプルにシャープに内容で勝負。
ボディサイズも一回り小さくなり、日本市場に合わせたアコードワゴン。グレードはエンジンがDOHC-VTECとなる「SiR」で排気量は2300ccです。
※ページ下部に「アコード/トルネオセダンSIR-T」5MTモデルの試乗感想を追記しています。
アコードセダンの派生モデルであるアコードワゴン。しかし先代ではセダン以上の人気を得て、アコードといえばワゴンでしょ。というイメージ。
しかしそんなアコードワゴン、発売されて間もなくワゴンブームが終わるという、何とも言えないタイミングの悪さで登場。チマタでは失敗作と評価されています。
セダンよりよっぽどスタイリッシュに仕上げられたにも関わらず、人気を獲得することが出来ませんでした。タクシー専用車のようなセダンから、大変身したスタイリッシュなワゴンに仕上げ、都会的なイメージをアピールしていただけに残念です。
セダンには、トルネオという兄弟車も設定、モデル途中からはユーロRも設定されるなどホンダの基幹車種として気合いの入ったモデルですが、ボディデザインは不評のアラシ。
角張った典型的なセダンは極端にいえば幼稚園児がデザイン。1ランク下のカローラクラスに見えるという評判でした。
兄弟車のトルネオは、ホンダのチャンネル統合計画もあり、この1代で姿を消しました。
このトルネオにも、H22Aというすばらしいエンジンを積んだ2200ccのユーロRがありました。不人気でほとんど知名度がないぶん、中古車ではアコードよりお得です。
※当サイトは辛口の試乗評価が特徴です。評論家が口に出来ないような点を強調して記載しています。
このCH9型アコードワゴンのデビュー当時、同クラスのセダン及びワゴンが全く注目されないトレンドでした。
相当な「がんばり」と「できの良さ」、そして「コンセプトと企画力」。いろいろな要素がベストでなければ市場で見向きもされない。そんな時代背景の中でデビューしたと思います。
時代は厳しく 向かい風真っ最中。でも、アコードといえばホンダの基幹車種。捨てるわけにはいかないのでしょう。
従来までのアコードワゴンはアメリカからの逆輸入車に近いカタチでした。アメリカ仕様を右ハンドルにしたような感じです。今回はもともと日本向けにデザインされたということ。
エクステリアデザインは日本風に直線基調。無駄のないシンプルさで勝負。そのぶん、優雅さは激減。「US」という付加価値も捨て去った。
結果、かっちりマジメな印象ですが、華やかさが不足し、地味〜な方向に。
ボディデザインは好みがすべて!ということで試乗してみれば、「まあまあいい」というのがライバルと比べての印象・評価。
とても良くはないけど、乗り心地などはアコードの価格を考えればよく出来ている。ボディサイズだってミドルクラスの中では大きめ。
ライバル他車はいろいろ。下位グレードではミドルセダン、上位グレードではアッパーミドルセダン。この「SIR」ならレガシィやマーク2、スカイラインに手が届く価格帯になる。
それらと比較すれば、レガシィやマーク2、スカイラインにあるような大きな特徴がない。「FR」とか「4WD」とか「6気筒」とか、また優れたブランド感からくる熱狂的なユーザー層の不足など。
もちろんこのクラスと勝負すれば、自動車としての本質的な部分はKO負け。やはりクラスが違います。でも、乗り心地の良さとエンジンは近いレベルで比較できるから、8:2で負けって感じです。
アコードの強い特徴は、アクティブな若々しいイメージ。これがブランドです。武器ですね。
アコードにスペシャルなエンジンが用意されるといってもそれはSIRやSIR-T、ユーロRといった限られたグレードだけ。車両価格もお高くなります。
それじゃあいくら乗り心地が良いといっても、手放しじゃ褒められません。お金を出せば良いモノが買えるのは当たり前。ならば無駄を省いて資金はプール。プレミオやアリオンあたりと比較し、コンフォート性能で選ぶ方が最適だと思います。
車両価格200万円以下のグレードをプレミオと比較すれば、ここではアコード優勢。本来のポジションて事ですね。
余談ですが、アコードは次のモデルがかなり進化して大幅レベルアップ。内容的にかなりの差があるので、中古車で購入するならそちらがおすすめです。
SIRというスポーティグレードは、H23Aという、DOHC-VTECのエンジンを搭載。アコードのコンポーネンツの中で最大の特徴でしょう。これに4速ATが組み合わされます。
このエンジンは、メチャクチャイイ!
このエンジンのためにお金を出したいと思うし、ライバル車が搭載する6気筒エンジンと本気で迷ってしまう。
低回転はジェントル、高回転も振動や苦しそうな音もせず本当に綺麗に回ります。精密感溢れ軽やかにスルスルと回っていくエンジン。
4気筒としては下から上までスムーズでスムーズ、低回転トルクもあって上も回るいいエンジンです。上は回るっていうより弾けるっていう方が正解。音もエンジンのメカノイズが盛大に響き渡る。マフラー音よりうるさいけど耳に心地良い音。
ただ、ATのギヤ比が良くなく、楽しんでは走れません。
1速ホールドや2速ホールドで加速した場合、絶対的な速さが不足。DOHC-VTECは速いと思って運転すればショックを受けてしまうかも。
やはりというか想像通りというか、4ATだと美味しい回転数を使えるシチュエーションが限定的すぎ。いくら低回転から反応してくれるといっても、強い加速力と高い官能性を発揮するのはVTECが切り替わった上の領域。
だから絶対的な加速力は今一歩。「エンジン+ミッション」トータルで考えればそんなに速くはなく、普通の2300CCくらいのNAエンジンと、ちょっと重めのボディでの加速感を想像してもらえればいいです。
ホントはね、プレリュードみたいなマニュアルミッションが用意されればね。良質なエンジンをもっと味わえるし、絶対的な加速力だって楽しめると思う。
というわけで実際の加速感はエスティマやオデッセイと大差なし??う〜ん、体感上、多少は速いという感じです。
ATは、ゲート式にプラスしてホールドできる部分がシーケンシャル風に用意されています。手動でガシガシ変速できるタイプとなっていて、変速スピードは例えばトヨタの2000ccクラスの4ATと比較すれば、速いと思います。
アコードワゴンの足回りはライバルと比べると固すぎず好印象。どちらかといえば、固くはないけど引き締まっているといった表現できるキャラクター。
この250万円クラスの純正サスペンションとしてはスムーズに動き、ショックの摩擦の低さは感じさせる。だから走りやすく、そのわりに段差での衝撃は小さめ。欠点としては重厚感を感じさせてくれないのは残念。
また、中古車でも程度よければガタガタといわず、段差で余計な音が出ない。筆者周辺ではこのアコードワゴンと後述のトルネオ、2台中古で購入しています。
ワゴンボディで限定すればはかなり質感高い。一方でアコード/トルネオのセダンと比較すれば、セダンのサスセッティングの方が落ち着きあって好ましいと感じる。
ホンダの大部分の車種で採用されるショックアブソーバー(以下ショック)は、系列会社となるショーワ製。日本製の中では評価が高い部品です。
他のメーカーが採用するコスト重視のショックと比較すると、初期の動きでの摩擦感(フリクション)が少ない。そのため柔らかめにセッティングされていれば、足が動くのがわかります。
ショーワの純正ショックは、テインなどの低価格アフターパーツよりも良い印象を感じる事もある。 もちろんショーワ製のショックにも弱点もあるが、今回は割愛。
その他試乗感としては、ワゴンはセダンと比較すれば後ろは重い印象でもっさりとしており、さらにリアシートはロードノイズがうるさい。
リアの剛性感のなさ、ハッチバックならではですが、コーナーリング中のバンプなどでリアが不安定に動く場合があります。ちょっと内側を向こうとする感触を感じたり、過敏になる感じだったり。(大丈夫、グリップの低いタイヤを履いていれば問題ありません)
2010年くらいからエコタイヤ(低燃費タイヤ)が話題になっているので、エコタイヤに交換してみました。銘柄は「ブリジストン・エコピアPZ-X」。
比較のメインは今まで利用していたルマンの新タイプ、「ルマン4」でした。しかしなんだかんだでエコピアを選択。価格は4本で7万円くらいと、インターネット販売ならレグノに手が届く金額!高いです。
このCH系アコード/トルネオには筆者、ワゴンもずいぶん乗りましたが、セダンのSIR-Tというグレードのマニュアルミッション車もちょくちょく運転させてもらいました。
このグレードはユーロRが出る以前のスポーツグレードで、2000ccのDOHC-VTEC付きエンジンが特徴です。エンジン型式はF20B。新車時価格は5MTで約230万円。
エンジンはDOHC-VTECエンジンの例に漏れず、カッキーンと回るスポーティさと上質なフィールを兼ね備えている。4気筒だけど音も最高。これぞ日本の誇る精密工芸品といえるような素晴らしいもの。ダイレクトなレスポンスのマニュアルミッションでこそ、このエンジンの良さを味わい尽くせます。
SIR-Tの車重は記憶が正しければ1300kgくらいということで、若干重めですが、低回転から扱いやすく、加速勝負でも直線で踏みっぱなし勝負でもしない限り、まあ納得できる加速をします。
この試乗記で取り上げているアコードワゴンSIRのエンジンはH23A。F20Bとの比較ではこっちのH型エンジンの方がさらにいいです。いや筆者の好みです。
足回りは、スポーツグレードといっても特別固いわけでもなく、リアシートにゲストを呼んでも問題なし。これは、平成15〜20年くらいにデビューするスポーティセダンと比較しても若干柔らかめ。ショックが動き、少しのボコボコでもきちんとストロークします。その分、ステアリングフィールもいたって普通。クイックでスポーティという事もない。
特別なパワステ(EPS)を採用しておりハンドルを回す感覚(重さ)は切り替えできる。
(パワステの故障は定番というほど多いらしく中古車で購入するなら要チェック)。
欠点はあまりにも地味なミドルクラスセダンということ。ミドルクラスのセダンは、人気の面では厳しい状態が続いていますが、新車のお値段だけ見れば230万円程度とまずまずお得なプライス。中古車ではさらにお得なプライスで販売されています。
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