試乗レポートはトヨタ・プロナード3000cc・ベースグレードです。アメリカトヨタから輸入販売されたアバロンの後継車として、同様に販売される低価格大型セダン。
比較と辛口評価の試乗レポート
プロナードは、タクシーみたいなボディデザインとスペシャリティな内装が同居しています。乗ってしまえばラグジュアリー!ギャップの大きいクルマです。
トヨタ・プロナードはアメリカ市場向けのクルマです。大きく安価、アメリカの実用セダンというイメージです。ポジション的にはトヨタ・アバロンの後継車(アバロンの車両型式はMCX10、プロナードはMCX20)。
先代モデルのアバロンもそうでしたが、それを日本でも販売という売り方です。日本でも割安に感じられる価格で、大きくてラグジュアリー、でもちょっと大味なビッグセダンを味わえます。
プロナードの特徴はアメリカ車的な「細かいこと考えずにゆったり走ろうよ」って感じです。
緻密で繊細さが目立つ日本モデルと比較すると、大味な部分があって、3000ccクラスのクルマとは感じにくい部分があります。もちろんトヨタですから、ぱっと見は立派で、品質が悪いなんて部分は気になりません。
シートとか、エンジンフィールとか、乗り心地とか、クルマ好きなら気になるポイントが大味です。
価格はそのボディサイズからすると安く、300万でナビ付きフル装備が買えます。クラウンの2500ccより50万円安く、マーク2の3000ccよりも30万円安い。
それでボディサイズはマジェスタクラス。日本のセダン的に言えば車格感のない車です。
プロナードのボディデザインは難解です。もちろん、アメリカ人の好みというのはわかりますし、納得です。ディテールにメッキパーツが多いのもアメリカ的なんでしょうか?日本人の感覚ではまるでタクシーです。ヘイタクシー!
プラットフォームはFF(前輪駆動車)フロントベンチシート&コラムシフトのタイプも用意されるほど、ゆったりした空間が重視されています。リアシートだって広いです。
内装のデザインは特筆ものです。特にインパネからドアトリムに繋がるデザインが美しいです。
実用車らしさ満点のボディデザインですが、室内はスペシャリティ。特別なクルマに乗っているという感覚を十分以上に感じられます。
ラグジュアリーでスペシャリティな室内。もし可能なら「セパレートシートの白系の本革シート」が最高です。
シート表地など、よ〜く見れば細かい部分の作りはやや雑ですが、買ってしまえばどうってことありません。
プロナードのエンジンは、普通にいいです。安いといっても6気筒の3000cc、ゆったりとしたギヤ比で、低回転で静かに走ってくれます。V型なので直列エンジンと比較しちゃうとあれですが、車両価格を考えれば十分すぎます。
同じV型で考えると、日産のVQ型よりパワー感はないんです。しかしその分静粛性には優れ、日常走行では耳障りなノイズが気になりません。ラグジュアリーセダンらしい加速をしてくれます。
フットワークは、とにかく柔らかい足回りです。単に柔らかいだけでなく、ゆったり感が強いサスペンションです。よくある段差では縮み側も伸び側もゆっくり動きます。
しかし、連続する段差ではボディがブワンブワンとゆすられ、フロアもブルブル。けっこうな安っぽさが目立ちます。
このあたり、昔の高級車に近い乗り味で優しくしっとり、でも大きい段差や連続する段差に行けば安っぽさが目立ってくる足回りです。
試乗時は速度を上げてヘアピンに進入など試しましたが、そういったときはボディの重さや緩さが顔を出します。こうした時のロールスピードは早く、丁寧でイメージ通りのコーナーリングしか受け付けてくれません。緊急回避などは苦手と予想します。
ブレーキでもノーズダイブが強く前のめり。ピッチングは相当大きいです。ちょっと前の高級セダンという感じですね。アメリカンセダンのイメージでもあります。
ハンドリングはこうした特性にあっていて、ヨーの立ち上がりは緩く、ステアリングのロックトゥロックもゆるめです。揺り戻しもゆーくり。すべての操作をゆっくり行い、ゆっくり走る、プロナードの特徴を生かせます。
ドライバーにとっては欠点もある、こんなゆったりした足回りですが、ボディの大きさ・重さもあり、ショックアブソーバーのフリクションは感じにくいものです。
そして、これだけゆったりとした足回りのクルマは現在、他になかなか思いつきません。最近のセダンは引き締まってフラットライド、動かないサスペンションという方向に変わってきました。こういった乗り心地が好きなら、問答無用でプロナード。即答です。
繰り返しになりますが、ヨーロッパ車のような固くても乗り心地がいい、とか、長距離乗っても疲れない、とか、精密感ある足回り、そんな言葉とは無縁のプロナードです。通勤でペースの良くダッシュするなんていうのも向きません。
しかし、柔らかくて快適。段差も気にならない。比較するベクトルを変えれば、非常に貴重なセッティングです。
純粋なアメ車に乗ってみると、大型のSUVなどを除けば、現在は足回りが結構引き締まってきています。
リンカーンクラスでも昔ほど柔らかくない印象。固さで言えばセルシオと同じ位。
そこでこのプロナード、アメ車だってここまで柔らかい足回りのセダン、なかなかないんじゃない?というくらい柔らかです。ゆっくり走る分にはホント快適。この乗り心地に合わせるかのようにエンジンの静粛性が高いんです。ハイギヤードなギヤ比により低回転でゆっくり走れます。
プロナードの最大の特徴は価格を超えたボディサイズに広い室内。しかし同じくらい魅力を持っているのが内装の造形。
無骨なセダンといった印象のエクステリアスタイルとは全く違う、ラグジュアリーさを漂わせています。
左右にワイドに広がるダッシュボードはドアトリムまで繋がるようにデザインされ、中央部にはナビゲーションディスプレイが配置。セダンらしからぬデザインとはいえ、それなりの上質感はあるし、スイッチの配置がめちゃくちゃというわけでもないから、使い勝手も問題なし。
白っぽい内装色も選択でき、こちらはより雰囲気良し!実際に運転すれば優雅な気分を味わえます。高級車に負けず劣らず、筆者は試乗時、丸1日クルマを借りたわけですが、ちょうど白っぽい内装色のプロナードで、そのときは試乗車から降りたくなくなりましたよ。
プロナードのボディサイズは、全長4900mm、全幅1820mmくらい。正確には全長/全幅/全高が4895/1820/1460mmです。
300万円という車両価格を考えても考えなくても、ビッグサイズなセダンです。
このサイズは、クラウンマジェスタと同程度。ということは、もう一回り二回り大きくなれば、セルシオにも届いてしまうサイズ(セルシオは全長5000mm弱)。
室内の広さはセルシオクラスといっても問題なく、むしろセルシオで気になるフロント足下のミッション部分などは、プロナードの方が広々。足下で気になるとこは何もなくて広々。
(セルシオやマジェスタの場合、中央センタートンネル部分のミッションの張り出しが気になる)。
違いと言えばボディ横幅の差だけです。セルシオほど余裕があるわけではなく、センターコンソールもコンパクト。運転席・助手席の間隔(カップルディスタンス)は近め。
全長が10cm違っても室内広さに大きな差はありまえん。リアシートも広さという点ではそれほど差は無く、トランクもパッと見、違いはよくわからないくらい、セルシオと同じほど広さを持ちます。
もちろん、質感という面では、及ばないのはだれでもわかります。シートの厚さやフロアカーペットの厚さだって全然違う。でも同価格のミニバンと比較すれば、快適性で大きく勝るのを実感出来ます。
プロナードの前期型はすべてのグレードでナビゲーションが標準。段差や継ぎ目が目立つ内装など、少しだけ雑な作りとなんとも言えない外装デザインが許せれば、ホントにお買い得ですね。しかし、このデザインを許せる日本人ってどれだけ...ねぇ。
好きな車だけど、桃花はどうしても乗れないんです。だってこれじゃあ、ライバルはタクシーかハイヤーです。
プロナードの本場はU.S.A、アメリカなので、本場のようなカスタムをして乗ればどう?いわゆるカスタムベース。これなら評価も何も関係ありません。好きなら買う、それだけです。
後期はナビのないグレードもできています。そしてプロナードは人気がないため、中古でお得に買えるのではないでしょうか。大きくて、安いのが好きな方には、セフィーロなどもありましたが、くるま的にはプロナードが一番いいと思います。ボディサイズ、内装、クラスを考えれば、中古で非常にお得な車でしょう。
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メーターパネルは視認性最優先。価格の割にちょっと安っぽく感じる。
ここはトヨタ車らしいデザイン。20セルシオの造形に近いのはオーナーが嬉しいポイントか。
全体のイメージと一致するシフトノブ。
皮&ウッドのコンビハンドル。高級車の定番。滑るのとテカるという弱点も持つ。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。