間違いいっぱいの自動車選び、試乗レポートは2代目イプサム(ACM21W)、グレード「240i」。マイナーチェンジ後の標準グレードとスポーティグレードに試乗。
比較と辛口評価の試乗レポート
けっこう人気だった初代イプサム。トヨタとしてはもっと売れてほしかったかもしれませんが、CMの影響もあり知名度は高かった。そんな初代イプサムの後を受け、2代目は大きく立派に価格も立派になって登場。
初代は1996年から2001年の6年間販売。2代目は2002年1月からの販売です。
この2代目イプサムは、先代イプサムが5ナンバーサイズに抑えたボディサイズと、2000ccという排気量だったのに比べ、ワンランク上級にシフトしています。
ボディを大きく(全長120mm、全幅65mmアップ)、排気量も大きくと立派になりました。
ボディサイズは全長4690mm×全幅1760mm。従来のコンパクトミニバンサイズから国内では一般的なミニバンと呼べるサイズになりました。
1クラス車格がアップ。それに伴いお値段もアップしています。車両価格は200万円以下クラスから、230万円クラスに変更されました。
モデルチェンジでは代換えを促すため、車格アップはよくある手法です。誰しも乗っているクルマに対する興味は強いわけですから、新型の魅力が大きければ代替で乗り換えとなります。
のはずですが、先代イプサムユーザーからの買い換えが少なかったらしいんです。そんな分析がされていました。
また新しいオーナーも多くは増えず、かといって不人気車ってわけでもない。そんなこんなで小改良を繰り返しながら、長く販売されたそうです。
追記:初代イプサムの代換え需要はウィッシュ/アイシスが受け持っているとのこと。
一般的なクルマのモデルサイクルはおよそ4年間。4年間販売され、ちょうど中間の2年目にマイナーチェンジが行われます。前期モデルの弱点を改良したり、ボディ細部を変更して新しさをだします。
特に人気車種では、こうしたモデルサイクルが主流でしたが、2000年を越えてからはクルマによってそれぞれのモデルサイクルが適用されるように変わってきています。
2代目イプサムは、モデル中頃から「消滅か?モデルチェンジか?」と噂されていました。結局、細かなの改良を続けて、長期にわたって売っている車です(2009年現在)。
クルマは内容よりボディデザインで選ばれることが多いらしい。ということでイプサムのボディデザインを見てみると、優しく甘い人畜無害系。ポヨヨンとしています。
パッと見は上品だけど全体的にもっさり。新しい試みが感じられない反面、特別悪くは悪くはありません。でもやっぱり、スタイリッシュな魅力とか、ボディデザインだけで買いたいと思えるデザインではありません。
マイナーチェンジで細かな部分が変更されます。初期型と比較して2003年マイナーチェンジ後のモデルからは、ヘッドライト中央よりの部分が少し鋭くなります。
これにより若干スポーティさをアピールするデザインになっています。とはいってもディテール以外はあまり変わっていません。
試乗レポートを。走行2万キロくらいのイプサムをレンタカーで借りて、走ってみました。
グレードは「240i」。このグレードはごく普通の旧世代ミニバンという乗り味が特徴で、足回りは柔らかくゆったり動き乗り心地重視です。
これは最近のミニバンと言うか、競合車に見受けられる固めのサスペンションを持つモデルと比較した場合の、イプサムの長所でもあります。
この柔らかい足回りは、同乗者乗せてクネクネ道を走れば、コーナーリングでは神経を使います。
しかし、「ゆっくり加速しゆっくり減速、ハンドル切るのは交差点くらい」というなら、イプサムはドライバーも同乗者も快適。
サスペンションが柔らかいから、足回りのフリクションだってあまり気になりません。また柔らかければ、内装がミシミシとノイズを出す可能性が少ないなんていう長所もあります。
この足回りに合わせてハンドリングも、マッタリとしたゲインの立ち上がりですので、バランス良いです。ジオメトリー的にも安定志向でしょう。
イプサムは、ジュースを飲みながら、おにぎりを食べながら運転するのに最適なキャラクターです。タバコを吸っても、振動で灰が落ちてしまうこともありませんでした。
エンジンの持つ加速力、2人3人と乗ると、これはもうカメのよう。ゆっくりあせらず走ろうよと、かわいいカメさんが頭に浮かんできます。これぞイプサムのエコマーク。
いや市街地ならいいんです。飛ばして疲れて休憩しての ウサギさん、結局はカメさんに抜かれてしまいますから。
ギヤ比はクルマのキャラクターなりにハイギヤード。だから出だしで加速している感覚が薄い。もっさりしているので遅く感じるという感覚的な面もあります。
高速道路の合流なんて、ドライバーは一生懸命になってしまいます。できれば高回転を使いたくないがさつなエンジンと、4ATというミッションが原因かもしれません。
大人の男性2人にプラスして、荷物を300kgほど積んでみました。荷物はそのまま廃品業者に持っていって計量したので重量は間違いありません。
これで体重70キロの人間6人が乗車したのと同じような状態を作り出しました。
疑似フル乗車のイプサムに試乗すると、出だしでパワー足りないのが第一印象。低回転では深くアクセルペダルを踏み込み、回転が上がって加速しすぎるとでアクセルを戻す。
再加速時は、キックダウンする回数が増えて車内の振動と騒音は増えます。ドライバーの疲労は増加。乗車人数多いと、3000ccクラスの余裕が欲しくなります。
2003年のマイナーチェンジで「240S」というグレードがデビューしました。17インチホイールと少し固めのサスセッティングを採用したグレードです。
こちら、標準グレードと比較すれば価格は割高です。車両価格は20万円アップして245万円。
標準グレードと比較して大きな違いは、「240s」には15mmローダウンのサスペンションと16インチアルミホイール(その後17インチホイール)が変更装備されます。キビキビ感が向上し、走りやすさが向上。ベーシックグレードより走る楽しさを感じやすいグレードです。
サスペンション型式は従来通りのリアトーションビーム。だけど気にすることはありません。1人乗車ではドタバタして乗り心地の質感は低いですが、安定性が不足している感覚はなし。実際の走行では問題にならないと思います。
このイプサムは、タイヤにもよりますが一般道でのコーナーリングフォースはオデッセイアブソルートと同じくらいが体感出来ます。オデッセイとはキャラクターが違いすぎますが、イプサムでもミニバンとして十分すぎるほどの横Gを発揮することも出来ます。
※イプサム240Sの新車時車両価格は245万円。
イプサムはご紹介中の標準グレードも全然いいんです。柔らかい足回りはそれだけで長所。しかしいつも誰かが同乗されるなら、イプサム240sをオススメします。中古車を思考中でもよろしければこちらを。
ロールスピードが穏やかなので、乗車人数が多い時もハンドル切るのがラクです。雑な運転に思われたくないという場合、この240Sである程度ゆっくりとハンドルを切ることを心がければ、ちょっと速度を上げても同乗者の不快な印象は最小限。
段差ではドタバタしますがサスペンションは特別固いわけじゃありません。特性もクイック過ぎず、こちらも運転しながらジュース飲んだりおにぎり食べたりが可能です。
イプサム最大のライバルは、ホンダのオデッセイでしょうか。ボディの大きさ、排気量からしても2代目イプサム(ACM21W)からはライバルです。(初代イプサムは車格異なる)。
ホンダのオデッセイ2代目は1999年12月(ほぼ2000年)デビュー。2002年1月デビューのイプサムと1年の差がありますが、きっちりバッティングする間柄。
イプサムがモデルサイクル中、オデッセイは次のフルモデルチェンジを行い、3代目に進化。2代目オデッセイおよび3代目オデッセイがイプサムのライバルということに。
比較すると、エンジンは質感ではオデッセイにかないませんが、絶対的な加速力は同じような印象。VTECだなんだいっても、排気量は似たようなモノ。加速力は排気量並みということでしょう。
加速力は排気量並でも、スムーズさや音といった質感では、大きな差があります。
オデッセイのエンジンは質感高い4気筒で高回転を利用しても快適で気持ち良いです。イプサムのエンジンはがさつなエンジン音で、実際以上にスムーズさを欠いているように感じられます。
オデッセイとの最大の違いは乗り心地。イプサムの特徴はサスセッティングが柔らかい点。
そしてオデッセイより全高が60mm〜90mmも高いことで、室内空間に開放感があります。ゆったりくつろげます。さらにヒンジドアの5ドアミニバンとしては、多彩なシートアレンジができることも場合によっては優れた特徴と言えるかもしれません。
最も近い存在が三菱シャリオ・グランディス。先代モデルのシャリオから、イプサムと同じように車格アップしたミニバンです。
三菱シャリオグランディスと比較すると、車体の大きさは若干違えど、キャラクターは似ています。ゆったり動く車体にゆったり回るエンジン、柔らかめの足回り。またレスポンスよりショックを少なくしたATのキャラクターも似ています。手動でシフト操作するとものすごい飛び出し感がある。
シャリオグランディスとの比較、高級感という点ではイプサムが若干リード。居住性も上。逆に乗り心地の柔らかさ、エンジンのフィーリングという面では、シャリオグランディスが多少リードしているように感じます。
「240u-GSelection」と「240uというグレード」には、Hインフィニティ-TEMSを標準装備。これはショックアブソーバーの減衰力を自動的に変更してくれる装備。各4輪のショックアブソーバー減衰力コントロールによって、快適な乗り心地と車両安定性を高めているらしい。
このTEMSを一言でいえば、ショックアブソーバーの減衰力自動調整機能。TEMSは昔からトヨタ車に用意されていましたが、元々のショックが渋く動きにくいこともあり、残念ながら効果的な装備とはいえませんでした。
イプサムのTEMSは、一昔前のTEMSと比較すれば、だいぶよくなっているとのことです。
経験上、ショックがへたればTEMSの効果は薄くなります。距離が増えている中古車では効果を感じられるか疑問が残ります。基本的には新車購入かつ強い興味があればぜひ。メーターパネル内の切り替えランプを見ているだけでも楽しめます。
ミニバンの場合は乗車人数によって大きく変わる車重、これをTEMSが自動調整してくれると考えれば、クルマの利用方法によっては魅力ある装備です。
イプサム240sというグレードには「15mmローダウンのサスペンション」と「16インチまたは17インチホイール)」が採用され、ベーシックタイプより高い操縦性を実現しています。
楽しくとか、走りやすく、また運転を楽しみたいという方におすすめしたく、多人数乗車が多い場合もおすすめです。
この240Sはオデッセイのアブソルートのよう。オデッセイほど段差をスムーズに越える能力はなくても、平らな道でビシッと走る感覚は近いものがあります。ロール剛性が高く、クネクネ道ではこちらが運転しやすいです。
乗り心地はどちらも悪いです。簡単な改善を目指し、タイヤ空気圧を変更してテストしてみました。
ライバルのオデッセイは中古車で人気。金額的なお得感はありません。イプサムは不人気車ぎみでお買い得な購入ができそうです。新車ならオデッセイの大幅値引きで勝ち、中古車ならイプサムの割安感が勝ち、ですね。
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スポーティグレードと言えばお約束のブラック/グレー系内装。
柔らかめなクルマに合わせた内装。年配の方向けデザイン。昔ながらの豪華さという点ではいい線いっている。
足回りは柔らかめ。スポーティグレードは普通ぐらいかちょっと固い位の固さ。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。