ホンダのコンパクトミニバン、ストリーム(RN3)。FF、2000ccモデル。トヨタ・ウィッシュがそっくり後出ししたことでも有名なクルマです。
比較と辛口評価の試乗レポート
このストリームは筆者が以前の勤務先で”大試乗会”という勉強会にて、試乗と細部のチェック等を行わせて頂きました。
2000年に突如登場したホンダストリームは、まさに隙間ビジネスの様な形でホンダが発売を開始したクルマ。
全長はミドルクラスながらも、横幅はコンパクトサイズ、中身はコンパクトクラス。それでいて3列シートを備えるミニバンタイプ。ただし3列目は非常用と割り切っている為、ハイトワゴンといった方が正しいかもしれない。
まるで宝探しのような作戦で新しいマーケットを探すホンダらしさが、このコンパクトカーベースのミニミニバンを誕生させました。
ストリームのボディサイズは4550×1695×1590mm。
アコードベースで非常に乗用車ライクな3列シートで登場、ミニバンブームを巻き起こしたホンダ・オデッセイ。そして今度はシビックベースコンパクトカーサイズでありながら3列シートのミニバンという発想で登場したストリーム。
オデッセイとはまた違った新たなマーケットを開拓、それなりの人気を得たストリームは、2000年から2006年までの7年間の間、販売されました。
また、同じく2000年に登場したホンダ・シビック(7代目)とともに、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した歴史に残るクルマです。
ストリームは、ワンボックスタイプがほしいけど駐車スペースや経済面での問題を抱え、ボディサイズや燃費の関係で悩んでいる方達を一気に結論づける商品性がありました。
そして、「なんとなくオシャレっぽい」というホンダならでは訳のわからないけどうまいイメージ。これで知名度急上昇。シャープなラインのない人畜無害で少々おマヌケ系なエクステリアデザインなんか全く関係なし。オデッセイに続くさらなるミニバンブームのキーワードをホンダは作ったのです。
ストリームのボディタイプはリアドアもヒンジドアタイプ。スライドドアよりデザインや車重の面で有利といわれます。
エンジンラインナップは1700ccエンジン搭載モデルが基本で2000ccもある。この両方で4WDが選択できるので、1700cc、1700cc4WD、2000cc、2000cc4WD、が用途に合わせて選択可能。これに4AT&5ATが組み合わされる。後には2000ccモデルにCVT搭載タイプが追加される。
装備違いのグレードや特別仕様車を抜きにしても5種類の基本パッケージが用意されるという、ホンダらしい豊富なラインナップでコンパクトカーからミニバンまでの価格帯をしっかり埋めています。
わたくし、”元自動車整備士”というハンドルネームで記事を書かせて頂いておりますが、文字通り以前は整備士。試乗販売キャンペーンの時には営業もやらされました。
そんな私の働いていた工場で、年に4回ほど大試乗会というのが行われましたが、そのときにラインナップされたばかりのRN3ストリームを見て乗って(好き勝手に)山道を試せる機会がありました。
このストリームからデビューとなる新しい4気筒エンジン、K20A&D17Aにも興味津々。見て、触って、乗ってみて。まっさらの新車でちょっと心が痛みましたがエンジンもきっちり回させて頂きました。
内装の評価をすれば、いかにも新ジャンルといった雰囲気はなく、地味なコンパクトセダン風。コンセプトや全体のデザインが全く冒険のしていないデザイン。インパネシフト採用ということで目新しさはありますが、質感や作りは、さすがホンダ。手を抜きまくってます。いや他メーカーと同じだけの予算はあるのかもしれません。
ただ見せ方がちょっと。上質で普遍的なデザインなら好感度大。質感低くて普遍的なデザインなら好感度最悪。
ストリームの内装、残念ながらクルマに興味がない人に聞いても、ドア内側の内装なんかはほんとパコパコと評価されています。
まあ実際問題、このクラスの実用車にとって、内装はどうでもいいこと。少しでも安いことに意味があるのが現在の価値観。気になるならシビックやアコードなど正当派のセダンがいいかもしれません。
インテリアについて総括。ホンダが絶頂期だったころの「らしさ」ではなく、RV専門メーカーとイメージを変えたホンダ。独創的一辺倒から万人受けも重要視するようになったホンダ。
ストリームはシビックベースという事も踏まえ、また車格を考えるとこの内装で納得しなければいけないのでしょう。
ストリームデビュー後の3年後(2003年)にデビューしたトヨタ・ウィッシュの内装・品質感と比較すると、華やかさもなければ、上品さを感じる部分もない。
もちろん、トヨタのウィッシュだって内装は最低限。高級軽自動車に毛が生えたレベル。ですが、ウィッシュは徹底的に若者向け、ストリームは若い世代向けのくるまであるにも関わらず、地味なんです。
ストリームの乗り心地インプレッション、標準で付いているショーワ製と思われるショックの乗り心地は、やや固め。特にリアが固めです。試乗した際、ちょっとしたくぼみも拾っていました。これは2000cc搭載グレードの印象ですが、横幅狭くて背が高い、しかもフル乗車時を考えれば、それなりに固いセッティングは想像の範囲内。
もちろん、堅めダンパーを作れば渋いだけのカヤバ製のショックや、若干のフリクション+底付き感を感じるトキコ製のショックよりは、さすがショーワといった感じの乗り心地。比較的スムーズで、初期からの減衰力を感じます。(大きすぎる段差ではガタンときます)。
ちなみにこれ、最大のライバルとなるウィッシュと比較すると、ウィッシュは1800ccでもストリームより固め。その分、ロール剛性も高めでロール感も少ないです。そして初代ストリームと初代ウィッシュを比較すれば、実はウィッシュの方が上級車という感覚が強いのも事実。トヨタが作るとなんでも悪いクルマというわけじゃないんですよ。
中身でトヨタ車が勝つ、珍しい例には変わりありませんが。
ウィッシュとの比較では、内外装のから感じるイメージそのまんまとなります。試乗すればエンジンを除き、ウィッシュの方がワンランク上といった感覚が強い。これぞ後出しで徹底的に叩くといった典型的な事例。悪役トヨタながらユーザーは良い方を選んだ方が満足度は高いはず。
ミニミニバンというボディ形状から、同クラスのセダンやその上、6気筒クラスのセダンなどと比べてしまうと、ハーシュネスはとても悪いというのが現実。誤解を恐れずに感じたことを述べれば、新車から中古車っぽい印象です。(ストリームオーナーの皆様申し訳ありません)。
乗り心地を重視するなら、少しでも気にするなら、もう少し車格の上のクルマか正当派のセダンを狙いましょう。
乗り心地 に関しては、ライバルのトヨタ・ウィッシュもダメですね。スカットルシェイクという表現が正しいかわからないが、フロアがガクガクブルブルという感じが伝わってきて、コーナーや一般道、高速道路のくぼみではばたつく。大きな段差では、内装がミシリということも。
定番の比較になってしまいますが、ウィッシュの乗り心地の悪さは日本車最悪ともいっていい出来映え。同じミニミニ3列シートでありながら、ストリームの方が柔らかく快適。でも静粛性などを含めるとクルマとしての高級感はウィッシュの方がある。なんとも難しい話。ストリームは昔のシビック、ウィッシュは同世代のカローラかプレミオ、そんな感じか。
こればっかりは実際に体験できれば説明の必要なし。ぜひ試乗比較してみて下さい。
試乗に関して
新しいクルマに試乗しての印象は、今までお乗りのクルマの印象が元になるため、感覚は大きく異なります。(私たちは絶対的な感覚を重視しますがこれがとても難しい)。
ちょっと荒れた道での乗り心地、フラフラ、ステアリングレスポンス、これら背が高いクルマだと厳しいわけですが、個人的に納得できれば全然問題ないわけです。
この辺りを重点的にチェックしておけば、買ってから後悔することも少ないと思います。
ストリームの室内に入って内装を見ると、あまりに普通。普通すぎるデザインが採用されており、新しいジャンルのクルマとしてかなり残念。奇をてらわず、誰でも操作に困らないことを第一としている。そんなイメージを抱くインテリア。
しかし喜ばしい点も一つ、インパネシフトが採用された部分には喜びを感じました。というのも、コラムシフトは走行中の操作しにくくて単純に嫌いです。
この頃(ストリームが販売された頃)からホンダ車で次々と用いられた「インパネシフト」とは、インパネ(インストルメントパネル)と一体感のあるシフトパネルが特徴。一般的にインパネにシフトノブが付いているタイプを指します。
軽自動車の様にフロアからシフトノブが伸びているわけでもなく、セダンのようにセンターコンソールに付いているわけでもない。
ミニバンのアップライトな着座姿勢に最適ともいえるこの場所、自然に手が伸びる感じがする。ステアリング脇にくるコラムシフトより、走行中にシフトレンジを変えようという気にもなる。通常のセダン感覚で操れる。
2000年デビューのホンダのストリーム、このインパネシフトは先駆けではなくて、先に始めたのは確かミツビシのグランディスやRVRだったか?野球ボールの様な大きなシフトノブは忘れることができません。
ホンダの新しいミドルクラス用エンジン、K20A型。従来のF型などに変わってこれからの主力となる4気筒エンジン。
サブネームにi-VTECと名付けられ、お馴染みVTECの制御で低回転も高回転もトルクを出すという優れた仕組み。さらに今回は、同じエンジンで簡単に実用エンジン特性とスポーツエンジン特性に変えることができるという話。
スポーツエンジンにも使われるということは、しっかりお金の掛かったエンジンなハズ。
ストリームに積まれるK20Aはもちろん実用型ですが、後に高回転重視のスポーツユニットも出てきます。
(後に出てくるK20B型は直噴)。
エンジンに関して、特徴は意外にも高回転型という印象。低回転では思ったほど余裕はないが、ミニバンタイプのボディでありながら、2000ccセダンと同程度のトルク感あります。(ストリーム2000ccの車重は1400キロ前後だから、100キロ〜200キロ重い)。
一昔前の2000ccのような、アクセル分でも進まない、エンジンが苦しそうという感じはありません。
(急な上り坂での全開加速はわからず)。
それでいてきっちり上まで回るのがうれしい。スムーズで振動も少なめ。聞けばバランスシャフト付きとのこと。総合して低回転=並み・高回転=優。
トヨタや三菱のエンジンと比較して、カタログスペックは変わらないかもしれませんが、高回転でパワーが落ち込まないのが昔ながらのホンダのエンジン。鋭く回転が上がっていくわけではなくても、なんとなくスポーティな意識を持って運転できます。
ストリームは、この手のミニミニバンの中では、運転するドライバーが運転していて楽しいと感じるかもしれません。
セダンボディの自動車やベースのシビックより質が落ちますが、ドライバーが楽しもうと思えば、ファントゥドライブだって楽しめる、そんな感じ。今回試乗した2000ccエンジンのモデルは、5AT。1700cc搭載モデルは4ATでギヤ比が厳しいとか、高回転が使いにくいとか、多少の欠点はあります。
2000ccなら速度が乗ってからの加速もしてくれるので、アクセルガンガン踏んでいけばメーター読み180キロまで到達。加速力だけでなくて、少し残したブレーキングからコーナー侵入、適度にGをかけたコーナーリング、アクセル大きめに開けて脱出。こんなシチュエーションでも意外と楽しめる。最も大事なのはドライバーの気持ち次第。
微妙な評価で実際にいいのか悪いのか?ロゴ以上シビック未満。できれば2代目ストリームを選べたら、そっちを選んだ方がいい。ダンピングが効いて気持ちよい足回りに進化している。そして、ちょっとでもいいモノを知っているんだったら、クーペやセダンに乗った方が幸せを感じられます。
初代ストリームは、全体的に丸みのあるボディーラインをしていますが、ちょっとマヌケさを感じます。言葉で表せばポヨヨヨーンてかんじでしょうか。
マイナーチェンジでライトが変わりまた、アブソルートというグレードも追加されましたが、個人的には落ち着いていたマイナーチェンジ前の面構えの方がバランスはちょうどいいのかなと。前後のバランスとか。
このクラスのコンパクトミニミニバンは全体的にお手頃で、コンパクトカーにちょっと飽きていれば、次の選択肢に最適。ストリームもしくはウィッシュ、RVRなんていうミニミニバンと生活を共にしてみるのも面白そう。
ただし、装備を充実させようとすると、価格は正当派のミニバンと変わらなくなってしまいます。
エンジンに関しては、燃費が気になる方も走りを楽しみたい方も含めると、インテグラタイプR にも使われているi-VTEC仕様のベースとなるK20A型エンジンがスポーティ。高回転でも振動少なめなので回して走りたい方にはいいことはいいですね。
2000ccのグレードは、価格も大幅にあがり、人に勧めにくいグレードになりますが、バランサー付きかと思われるこのホンダ新世代のエンジンは4気筒では質感もよく、この価格も納得。高回転を回す方やエンジン振動などを気にする方は排気量の高い2リッター、FF、5ATのエンジンがオススメです。いや、ストリームが好きなら積極的に2000ccを選んで下さい。
エンジンは無段階可変バルタイが特徴のi-VTECですが燃費重視タイプということで、レギュラーガソリン仕様となっています。もちろんハイオク仕様のクルマでも、そこにレギュラーガソリンを入れてもいいですが、気分が違います。もとからレギュラー仕様ならガソリンが高い時代でも多少は気が楽ってものです。
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自然に手が伸びる場所にあるインパネシフト。
穴を空けただけの小物置き場。デザインのワンポイントと見ることもできるし、チープな収納場所と見ることもできる。全体の雰囲気を損なっている。
これくらいの大きさがあると普通に使える。センターアームレスト。
シート下収納ボックス。シートアンダートレイなどと呼ばれる。便利。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。