評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。試乗車は「マツダ・プレマシー」(3代目)です。
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デビューは2010年。試乗車は排気量2000cc、4WDの4ATモデルでグレード「20E」です。両側スライドドアのオプションを装備。
先代となる2代目プレマシーは、乗り心地が良いと評判でした。今回の3代目プレマシーは、2代目のコンポーネンツをキャリーオーバーしたモデルとのこと。
つまり3代目はブラッシュアップモデル。話題性には乏しいですが、内容は熟成され魅力アップの可能性が高いです。
そもそも先代から乗り心地とハンドリングの質感は高く、未だライバル以上という面も。
モデルチェンジなのでボディデザインは変更され新鮮、中身は熟成と、実は新技術以上かもな良さに期待します。
ボディデザインはマツダらしさを強調するフロント周り、ワイド感を強調したリア周り、スライドドアらしからぬルーフ形状なサイドビュー。
シルエットはスタイリッシュなヒンジ系に近く、プレマシーの個性です。
とはいっても、かっこいいかは別問題。ポヨヨン系で”単純な造形=大味=安物”と思えてしまう面もあります。
3代目プレマシーはエクステリアの変更がメインながら、運転しやすさだってアップしています。
そしてプレマシーは現状日本車でただ一つ、同じモノがヨーロッパで販売されるミニバンといわれています。
内装インテリア。コンパクトカークラスの質感で、形状的なデザインは無骨。インパネもドアもシートも、かっこよいと思える部分はありません。
プレマシーは車両価格的に「お得な実用車」というポジション。ですがインパネだけは立派でいてほしいってものです。運転中ずっと見る場所ですからね。
マツダは内装はチープな事が多いです。見た目の形状か素材感か、どちらもだったり。
プレマシーの内装で受けるイメージは質実剛健。ブラックのダーク調パネルを多用するという欧州車のイメージで、飾り気は少なめ。
それで質感は価格なりですから、多くは望めません。
以下、車両価格を考慮の上、フロントシート周辺の良い点、悪い点をまとめます。(セカンドシート以降は別記。)
シートサイズは身長175cmくらいまでの男性なら適正。身長182cmの男性が座ると、いくつか不都合がある。
肩部分が小さいのと、座面先端が丸まっているためモモ裏側のサポートが減っている。またランバーサポートはもう少ししっかりして欲しい。
生地は中央部がツルツル系ファブリック、サイドがサラサラな平織りジャージ系と、20系クラウンに似ている。
カップホルダーの数はシートの間に2個、ドアポケットに2個。灰皿を利用する場合には、後付けのカップホルダーを取り付ける必要がある。
とっても気になるこの部分、マイチェンで改良されてます。ゴツゴツでテカテカな安っぽいパネルが、見れるレベルに改善しています。
内容は辛口評価です。試乗時に確認したいポイントを重視!
試乗レポートです。今回の試乗車は4WDモデル。FF車より車重70kg重く、ミッションは4ATです。
乗り心地良い!サスペンションがスムーズに動く上にボディ剛性感が高く、ワンランク上のクルマに乗っているよう。
ショックアブソーバーは縮み側(バンプ側)の減衰力が弱く、さらにフリクションが少なめでスムーズに動いている感覚がしっかり伝わってくる。それでいて伸び側(リバンプ側)の減衰力は標準的にあるので、クルマが跳ね上がる感じが少ない。
この手のミニバンタイプとしては、異例なほどリアサスペンションが柔らかめに感じる。ショックアブソーバーが動いているからそう感じるのだけど、乗車人数が多いときのことも考えなくてはならないミニバンで、リアがこれだけ柔らかいと、ドライバー1人乗車でも不快感はない。
このサスペンションにより、低速走行時も高速走行時も乗り心地をキープ。ボディからのギシギシ音も聞こえてこない。ちょっとの段差があるからって減速する必要もない。気分良く走れます!
プレマシーの乗り心地は、ハーシュネスのシャットアウトを含めライバル比較でトップの性能と言える。ワンランク上の質感をもちつつ、価格は同程度。この点ではプレマシーは素晴らしい選択肢になる。
デコボコ道で急激に悪化するハーシュ。路面の状況によりノイズが一気に増える場面があり、コンパクトカーのような騒音レベルに変わる。
ブッシュからのコトコト音もある。乗り心地の良さを感じやすいのは、異音の少なさが重要。コトコトいっていると乗り心地悪いと錯覚をしてしまう。
フラットな路面ではOK。ざらざら路面は次世代のプレマシーに期待します。
試乗車に装着されていたタイヤは、「ダンロップ・SPスポーツ」。ハンドリングを重視した自動車が純正採用することが多いダンロップの銘柄で、ある程度は静粛性も考えられているタイヤ。
こんなタイヤが付いているプレマシー、タイヤからのロードノイズはそこまで大きくないのだが、トータルでの静粛性という面ではライバルより遅れを取っている。
風切り音がうるさいし、外の騒音もそのまま室内に入ってくる。ちょうど耳障りな中低音〜中音が非常に気になる。エンジンもうるさい。
さらには、試乗車が4WDモデルだからかもしれないが、足下から駆動系からの様なうなり音も少し聞こえてくる。
コンパクトカークラスよりは静かだけど、コンパクトカーに毛が生えた程度の静粛性。乗り心地が良く乗員スペースも広い。この静粛性さえ改善されれば快適にドライブができると思うと残念。
プレマシー4WDモデルのミッションは4AT(FFは5AT)。
動力性能でも静粛性でも燃費性能でも、さらには快適性能でも、全てが少しずつ不利。合わせれば大きく不利。
また4WDモデルは車両重量が70kg重いので、男性一人が常に乗っている状態。
いつも誰か乗っていると思えば、寂しくなくていいでしょ!?
エンジンについてはパワー感は控えめで質感も低いが、トヨタ・日産の実用エンジンには勝る。そんな印象。
エンジンの回転数に伴う振動は気になるレベルで乗員に伝わる。シートを通して体に振動が伝わってくるし、そこからくる印象はまわり方もガサツとなる。
具体的には、2000回転〜2500回転まではエンジンの振動は気にならない。しかしその後、だんだんと振動が盛り上がってきて(パワー感は盛り上がらない)、4500回転以上ではフロアも振動するほどの振動が伝わってくる。
特定の回転数で振動が増えることはないながら、回せば助手席に座っていても不快です。
音という面では、低回転では少しだけ低音が強調されている。輸入車のような感じの音がするといえばわかりやすいかもしれない。つまりうるさい。
高回転ではもちろんうるさいわけだが、エンジン回転数が5500回転〜6500回転の間は快音がする。たくさんのメカニカルな音が重なって響きわたる、この響きが良い。良い音です。
プレマシーに試乗される場合は、ぜひこの帯域のエンジン音を聞いて下さい。
試乗車のミッションは4AT。試乗車は4WDだから4ATになっちゃう。同グレードでも”FF”の場合は5AT。
現在では一般的になっているCVTと比較すれば、通常のATの方が勝っている点が多いと思っていたが、乗ってみればこの4ATも普通に加速しづらい面が感じられた。
アクセル開度とスロットル開度に違和感があるこのプレマシー、これによって必要以上にスロットルが空いてしまうようで、ミッションはそれなりに高い回転数をキープしようとする。
ちなみ車重が重いため、アクセルを大きく開けている感覚は薄い。
加速完了後、アクセルをしっかり戻せば巡航状態になり回転数が落ちるのだが、ロックアップとロックアップ解除が敏感に行われ、一定の速度を保ちにくい。
ロックアップされるとエンジン回転が落ち、ロックアップが解除されればエンジン回転が上がる。トルコンを介することで加速体制に入り、変速も素早くなる。
最近では加速中もロックアップする領域が広いATが主流だし、トルコンスリップも違和感ないものが多い。そもそもトヨタのATではこんなに違和感感じるロックアップ制御はなかった気がする。
変速レスポンスは、シフトアップは標準的。アクセル開度が大きい時を除きショックも気にならない。逆にシフトダウンはレスポンス悪い。ゆっくりとダウンされます。
減速中、手元でダウンさせようとする場合は遅いなんてレベルじゃありません。
ワインディングでは、4速しかないということで、1速に落ちるのは概ね時速40km以下。2速ではだるいし、1速に入るのは低速コーナーだけ。
また2速ホールドモードではギヤ比が合わないことが多く、Dレンジを使った方が早く1速に入って加速してくれる。
試乗車は2台2グレードです
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マツダ・プレマシー
CWEAW - LF-VD 2000cc 2010年〜
55D23L
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エンジン質感 | |
高回転で一瞬のきらめきを見せるも、使える場面は限定的。 |
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駆動系質感 | |
このATはちょっとアレ。 |
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足回りの質感 | |
プレマシーの意外な長所。 |
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内装の質感 | |
価格を考えればしょうがないって言えばしょうがない。 |
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外装の質感 | |
間違っても立派には見えない。お好みなら問題なし。 |
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快適性 | |
柔らかめな足回りが好印象。 |
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運転しやすさ | |
うんうん。決して大きくない。 |
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お買い得度 | |
クルマ本来の魅力やきっちりさはクラス1レベル。それでいて安い。 |
シャンデリア?ブラックホール?リフレクターがキラキラするカーテシーランプ。写真では伝わりにくいが雰囲気がある。
上:昼間のシフトパネル。下:夜間のシフトパネル。
質感の「し」の字も感じられないシフトパネル部分。シフトノブを動かしたときにはギゴギゴ音もする。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。