評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。ホンダ・フィットシャトル(GG7)「15X」の試乗レポート。
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さらに便利なフィット!荷室が拡大されたワゴンタイプ。コストパフォーマンスや走行性能は??
ホンダで最も有名なモデルといえばフィット。そのフィットのワゴン版がフィットシャトル。
フィット1500ccをベースに全長をストレッチさせていますが、延長された長さは実に51cm! 内訳はリア部分で33cm、フロント部分で18cmが延長されています。
リアだけ延長するとボディスタイルが崩れるという理由でフロントも延長されたみたい。しかしここまで大きく変わると、軽薄に作られただけのワゴンとはいえません。価格に見合った車格感を、エクステリアからも感じます。
クルマの本質的内容を評価すれば、Bセグメント以上Cセグメント未満。車重も軽いしホイールベースは素のフィットと同等。走行性能はBセグメントコンパクトカーという感じです。
試乗車は登録から1年以上経過し、オドメーターが示す走行距離が2万km弱。
新車に近い状態というよりも、高年式中古車という状態です。フィットシャトル・ハイブリッドの方は新車を試乗していますので、その辺りの比較も交えてお伝えします。
フィットがフィットシャトルになり、全長が51cm伸びました。ホイールベースはそのまま。つまり単純にリアの荷室部分が拡大されています。
計測すれば約30cm、荷室の奥行きが増えています(おおざっぱにフィット70cm・シャトル100cm)。
室内の乗員スペースは基本同等。なんですが、単純にワゴン版だけといえない差別化もされています。各部がリファインおよび装飾され、フィットの上級グレード的な位置付けです。
素のフィット1500ccと価格を比較すれば差は約15万円。
この15万円でエクステリアもインテリアも立派になり実用性もアップ。フィット1500ccと比べればバーゲンプライス!
とはいえシャトルが割安なわけではなく、素のフィット1500ccが割高という結論に。
※内容は辛口評価です。試乗時に確認したいポイントを重視!
インパネ全体のデザインはコンパクトらしい造形で、開放感を強調している感じ。細部を除けばフィットと同じ形状です。
細部の違いは主に加飾。シャトルではメッキパーツが追加され、ステアリングやシフトパネルの塗装とかで差別化されています。
同世代のホンダ車は内装のデザインが凝っていて、部品点数も多そうなモデルが多いが、このフィット系もそう。
どこかといえばメーターパネル。立体的な形状で色気を出している。メーター自体は平面的だけど常時点灯式(アクリル部分がブラックアウトされていない)でワンランク上のイメージ。
この立体+平面+常時点灯、メーター周辺を助手席座面あたりから見れば、満足できるデザインに見える。のぞき込んでニヤニヤしないようにご注意をw
ドアトリム(内張)は相変わらずチープなデザイン。内張がない方が美しいとさえ思えるデザインは何とかして下さい。
それから各スイッチ、ボタン表面の材質の悪さは、100円均一の何かを触っているよう。押し心地も良いモノではありません。
ラゲッジスペース及びスイッチの優れた点は後述。
フィットシャトルの室内で一番大きく変更された部分シート。
フロント・リアともに、フェイクレザーとファブリックのコンビタイプになります。
このコンビネーションはサイドのすり減りが目立たず、体も滑りにくいと機能的にも完璧。パワーシートの付いていない本皮シートと比較すれば、こちらの合成コンビシートの方が機能性は上に思える。
シートは薄めで柔らかめながら、コンパクトカーのライバル他車と比較すれば座りやすい。とって付けただけのシートとは違います。
初代フィットのゆったりしたシートとは変わり、肩部のサポートはなくなり下部のサポートは強くなった。これにより、リアシートの開放感はアップしたと思う。
シャトルの走行性能に関しては特別優れているタイプではない。むろん、この項目に対しての優先順位は低いだろうし、それを求めるクルマでもない。興味なければ読み飛ばして下さい。
シャトルを試乗して気になるのは、一つは直進性の悪さ。リアの何かが弱いのかなんなのか。よほど集中していないと真っ直ぐ走ってくれない。
1人で走行中はいいけど同乗者がいると神経を使う。FFなのに駆動力を掛けていてもビシッとしてくれない。
7型ゴルフが勝手に車線中央を走ろうとするのに対し、シャトルは勝手に左右に寄ろうとする。
もう一つはフロントショックアブソーバーの柔らかすぎなどもあるのか、思い通りにスムーズに走りにくいのが気になる。
大きなクルマなら、例えばアコードハイブリッドなど柔らかくても走りやすいのだが、そういった車格・車種とはクラスが違うというか何かが違う。
具体的には、軽いアクセルOnでノーズが伸びようとし、アクセルOffでノーズが沈む。いわゆる初期ピッチングが大きいタイプ。
これによりフロントがぴょこぴょこと伸び縮み、日常運転で伝わってくるから滑らかスムーズ走行には神経を使う。急発進急停止は非常時限定です。
エンジンやCVTのモード切替スイッチ、基本的にノーマルモードの方が走りやすいけど、アクセル操作によってギクシャクする場面もある。
この点で言えばエコモードにした方が走りやすいこともあるけどペダル踏み込み量が大きくなり疲れやすいという一面も。シャトルでは変化量が大きいので、実際に試乗される場合はぜひモード切替を試してみて下さい。
ステアリングは軽い。回し心地は初代フィットからは大きく進化しているし、二代目フィットと比較してもシャトルのほうが好ましく感じる。
ハンドルが戻る反力がいくぶん弱まり、質感が上がっている気もする。タイヤサイズや車両重量の違いだけでなく、もしかしたらパワステ関連ユニットに違いがあるのかもしれない。
ここはBセグメントというよりCセグメントのような感触。
もう一つ、筆者的な感覚(手が女性サイズ)ではステアリングが握りやすい。断面が平べったく、親指を中に入れない持ち方でサクッと握れる。フィットファミリーはだいたいこの感覚です。
ブレーキはホンダ車全般で優れている部分。ブレーキペダルのタッチは良く、かつ適度な踏み力剛性。日常でのブレーキは扱いやすい。
ワインディングでのブレーキでは、フロントサスの沈み込み速度が早いから、瞬間的に最大制動力を出すようなブレーキは苦手。
余裕を持ってジワッと踏み込み、余裕を持ってジワッとリリースしたい。なのでブレーキで必要な距離は長めにどうぞ。
ABSを作動させる緊急ブレーキ。タイヤの恩恵もあって瞬間の制動力はまずまず立派。ブレーキ掛けた瞬間にフロントは沈み込むけど、リアサスは想像するほど伸び上がらず。そういやテスト時はガソリン満タンだった。
感覚としてはブレーキの時間が長くなると止まりにくくなる感じ。軽自動車のフルブレーキと同じような感覚で、停止までフルブレーキを続ければ途中から制動力が物足りなくなる。ボディの挙動変化が大きくなりすぎるのかな。
目一杯ブレーキペダルを踏んでABSが効いた際、ペダルにはのこぎりのギザギザみたいな反動が返ってくる。角が立っている刺激的な反動です。
もしかしたら試乗車のブレーキローターは歪んでいたのかもしれないし、パッドが開いていた可能性も否定できず。
コクピット周りのスイッチについて。
なんとなくでも見ておけばディーラー試乗にお出かけの際に役立つかもしれません。
写真左はエアコンのスイッチが8つ、4x2のカタチでレイアウトされています。機能的には風量や温度など一般的なもの。
写真右「1」はドアミラーのコントロール。写真右「2」は左から横滑り防止装置OnOff、エコモード切替、ヘッドライト光軸調整。となっています。
このスイッチ、触り心地は悪くも、運転中でも操作がしやすいんです。
スイッチが比較的高い位置にレイアウトされるのが一点。スイッチごとに明確な区切りがあるのが一点。これにより指先の感覚で押す場所がわかります。縦方向のミゾは工作上のチリかもしれないけど長所。
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エンジン質感 | |
普通の実用車エンジン。 |
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駆動系質感 | |
走りやすく音も少ない。走行中ギクシャク感が顔を出す。 |
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足回りの質感 | |
柔らかいのに衝撃は大きい。特にリアサスはドカドカと腰に来る。 |
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内装の質感 | |
さすがにカローラより高めなだけのことはある。 |
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外装の質感 | |
素のフィットよりグッと大きくなりました。 |
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快適性 | |
フロントシートは普通に許せる。 |
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お買い得度 | |
フィット1500cc買うならシャトルも有り。一方で上級クラスとも差はわずか。 |
スイッチについて、詳しくは本文参照。
メーターは自発光タイプ。アクリルはスモーク掛かってはいない。夜間の光り方を見てもムラは気にならず。
液晶表示部がとってつけたように付いているのがタマニキズ。
シートは合成革xファブリックのコンビタイプ。
タイヤの銘柄は「ダンロップSPスポーツ2030」というもの。しゃかりきのエコタイヤよりアタリは柔らかいと思う。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。