間違いいっぱいの自動車選び。トヨタ・オーリスの試乗レポート。
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オーリスは欧州版カローラとして販売されるクルマの日本仕様。トヨタ・オーリス(2代目)型式「NZE181&185」です。
欧州版カローラ=このオーリス。2代目に進化し、ボディデザインはグッとシャープに、多少の価格アップと同時に車格感をアップして登場しました。
ボディサイズはCセグメント。全長4300mm弱のアッパーコンパクトといわれるジャンルに属します。
Cセグメントを日本風に表現すると、ちょっと大きなハッチバック車。ヴィッツの兄貴分であり、マツダ・アクセラやスバル・インプレッサの競合車。
主力の車両価格は200万円前後と、アクアなど高額コンパクトカーと被ります。
また今回、グッと上級指向になった関係から、プレミオなどミドルクラスセダンとも比較されそうですし、アッパーミドルセダンからの乗り換えも考慮されていると思います。
2代目オーリスは1500cc&1800ccの2本立て。主力グレードの車両価格は概ね200万円前後で、旧オーリスからは一クラス分は値上がりました。
従来、オーリスの兄貴分だったブレイドの後継というポジションも兼ねていると思います。
後のマイナーチェンジで、1200ccターボも追加されました。
ボディサイズと価格からするコスパでは割高。同じご予算でもっと使い勝手の良いクルマも選べます。特別な燃費性能を持つクルマだって選択できますし、比較対象は豊富です。
ただクルマ好きからすると、小さくて高価とくれば、クルマ本来の内容とか、走りの楽しさなどに期待してしまいます。
試乗したのは3つのグレードです。
2012年のオーリスデビュー時、「150X」に試乗しました。ベーシックなグレードで車両価格は約180万円。ミッションはCVTです。
良くしてくれるディーラー店長からお借りすること1時間。市街地と平坦なワインディングを走行してきました。
筆者1人乗車でのドライブだった為、助手席&リアシートのレポートはありません。
2015年、マイナーチェンジで追加されたグレード「120T」に試乗。
1200cc+ターボ過給。新しいエンジンに興味津々、こちらはスタッフ2名で試乗しました。
リアシートへも乗車し、「120T」グレードにみに該当する長所短所を追加しています。VWゴルフとの比較を交えた試乗レポートもあります。
※内容は辛口評価です。試乗時に確認したいポイントを重視!
単なるスキンチェンジのようなモデルチェンジですが、キャラクターが上級指向になっただけでなく、内容的にも大きく変化しています。
エクステリアはグッとシャープになり塊感もアップ。人畜無害系デザインから離れ、存在感もアップしています。オーナーの所有満足度は大幅に増しているでしょう。
走れば「進化した部分」と「劣化した部分」がそれぞれ見受けられます。
圧倒的に良くなったのはアクセルのフィーリングやブレーキタッチ(後述)。
先代オーリスは運転が楽しくなってしまうハンドリングの持ち主ながらも、考えられないほどドライバビリティ悪く、とても惜しいクルマでした。
丁寧に運転しようとすると、とてつもなく神経を使う、そんな感じです。
今度のオーリスはスムーズもスムーズ。アクセル、ブレーキだけでなく、CVTのプログラムも大きく改良されています。
劣化した部分といえば、個性が減って無味無臭になりました。
内装のコストを削ってまで足回りにお金をかけていたような先代からは一転し、普通の国産車的な印象が強まりました。
今度は万人受けな方向性です。
室内の質感はリッチに変わり、ドイツ車的な乗り味は影を潜め、よく言えばラグジュアリー、悪く言えば普通の国産車的。
ハッキリ申せば、いつも失敗する高級コンパクトカーです。
では試乗レポートに入ります。まずは内装や各部の質感や操作性。
筆者は目の前にあれば内装をのぞき込むクセがあるので、オーリスも例外ではなく、窓から覗いてみました。思ったのは「オーソドックスな内装」という感想。
初めて見たのはオーリス発売日。その時は普通でしょ、という感じ。特別な感じはありません。
運転席に座ると、なかなかに高級感が高い事に気付く。プレミオクラスかそれ以上じゃないかと。VWゴルフと比較したって、特に劣っている感じはしません。
これは造形ではなく素材感の良さによる質感。例えばインパネ上部には軟質なソフトパッド素材が採用され、車内で見れば質感を感じる。
また各部のチリも揃い、叩いたって比較的しっかり取り付けられているイメージが伝わる。
上級のマークXやSAIよりカッチリしている印象で、内装からの異音は出にくいと思う。
各部のスイッチはストローク量が確保されていて、押した感覚がしっかり伝わってくる。タッチが他のトヨタ車とは異なるレベルで、ギリギリだけど合格の許容範囲内と評価。
全体的には、テカテカパネルや木目調パネルが少ないために、パッと見の豪華さはないけど、よく見て触れば良さがわかる。実はクラス以上の「良いモノ感」を感じさせてくれる。
地味だけど質感高い。減点はフタのないカップホルダーくらい。走ればこの内装の良さはさらに引き立ちました。
地味だけど良くなったのが各部操作性の高さ。そして先代オーリスとは異なり、自然なドライビングポジションがとれる。
両方合わせれば、運転が快適です。
ミニバンやハイトワゴンとは比較するまでもなく、正当派のセダンと比較しても不自然さがないドラポジが可能。
初めてオーリスを運転するときでもずっと乗ってきたような自然さがある。
シートリフターの可動範囲も大きく、お好みでグッとシートを低くすることもできる。
手に触れる部分ではステアリングが握りやすい形状で好印象。シフトノブやサイドブレーキも好ましいと思える位置に付いている。
ちょっと気になったのはフワフワで感触の悪いシート。欲を言えばもう少ししっかりしたフロントシートが欲しいけど、柔らかめのシートが好みなら無問題。
それからドアの大きなインナーハンドルが影響して、パワーウインドのスイッチが使いにくい。こういった部分はきっと、ユーザーの声を聞いて、改善していってくれると思います。
試乗すれば、扱いやすいアクセル特性で加速はスムーズだし、ブレーキフィールもスムーズで、カックンとくるタイプではない。
ドライバビリティが高いクルマこそ楽しく走れるのではないかと思うが、トヨタがこの部分にチカラを入れてくれたのだとすれば、嬉しい限りと手放しで評価したい。
評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。一部の画像は拡大します。
先代オーリスは欧州志向のカッチリ足回り。特に前期型は固いサスペンションなどで特徴づけられてました。
オーリスの生い立ちを知らなければ、カローラとは別のクルマ。走行性能が重視され、欧州車らしさが強いモデルでした。
(初代オーリスはモデル途中で柔らかめのサスペンションに変更)
今度のオーリス1500ccでは、日本風ミドルセダン的なキャラクターに変化しています。静かで快適、柔らかい足回りに軽いステアリング。ラグジュアリーでソフトな高級路線になりました。
ライバルでいえば、VWゴルフのトレンドラインっぽい感じですし、日産ティーダみたいな優しさ。
1500ccのオーリスは、オーリスサルーンと呼ばせて頂きたい感じです。
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オーリス
NZE181H - 1NZ 1500cc 2012年〜
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NZE186H - RS 1800cc 2012年〜
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エンジン質感 | |
こればっかりはしょうがないかな。 |
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駆動系質感 | |
トヨタのCVTは全体的に良いけど、オーリスならレスポンスもバランスもよし |
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足回りの質感 | |
先代オーリスからはかなり優しくなった。でもハンドリングとグリップ感がもう少し。 |
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内装の質感 | |
地味だけど質感はしっかり。 |
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外装の質感 | |
地味じゃない、でも特別と言うほどでもない。 |
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快適性 | |
柔らかいし静か。パッケージングという面では輸入車と同程度。 |
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お買い得度 | |
クルマ好きじゃなきゃ買えないかな。 |
上段:MTモデル。グレード「RS」のトランスミッションは6MT。
下段:CVTモデル。CVTは全タイプで7段マニュアルモード付き。1800ccモデルでは前後左右のGを元に適切な回転数を保つなんていうギミックも。CVTはいかにも日本らしい方向で進化している。
ターボエンジン搭載グレードと、1800ccモデルのエンジン。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。