試乗レポートは日産デュアリス、グレード「20G」。ヨーロッパでキャシュカイという名前で発表されていたクルマを日本に輸入してきたのがデュアリスです。
比較と辛口評価の試乗レポート
デュアリスはミドルコンパクトクラスのSUVで、2代目エクストレイルとベースを共用します。
※内容は辛口評価です。試乗して購入の際のチェックポイントとしてお役に立てれば幸いです。
デュアリスは世界的な基準で作られたクルマ。それはボディサイズからもわかります。横に広くて長さが短い。横幅はクラウンサイズで全長は4300mmとノートより少し長いくらい。
日本で販売される国産メーカーのクルマとしては特徴的なディメンションです。
サイズ的にはミドルコンパクトSUV。車重は1420kgと小さくてもけっこう重いです。また価格は195万円〜と、趣味性高いSUVなのに割高でない価格設定。つまり小さくて重くて安いというわけで、実際に試乗するまで全く期待していませんでした。
ところが走ると、「すばらしい!」この一言です。値段以上の上質感!!
何が良いって滑らかな乗り心地が素晴らしい。快適だし気持ち良いし、走りやすい。どうやら、ザックスという上級ブランドのショックアブソーバーが使用されている様子。そしてこのザックスが、高価なアフターパーツとして使用されているモノに引けを取らない質感。名前だけのザックスじゃありません。
※エクストレイルなど他車で最近言われるザックスは韓国ザックス製。デュアリスのヨーロッパ製ザックスとは別物です。
主として試乗したのは2007年式デュアリス「20G」。2グレード展開中の上位グレードです。ベースグレードとの大きな違いはサンルーフ。20Gには後席まで続く大きなサンルーフが標準装備されます。
試乗車は走行距離が1000kmにも満たない新車で、美味しい部分はまだこれからと予想。サスペンションが馴染めばもっと快適になることが予想されます。
(見出しのザックス製ダンパーですが、どうやら前期型だけみたいです)
友人から後期モデルに乗せてもらったら、ゴツゴツしてました)。
まずは試乗ということで走り出します。デュアリスのエンジンをかけて走り出すとまず、エンジンがいいです。上は回りませんが、下はトルク感たっぷり。
効率良さそうなCVTや、スロットル特性も良く出来ているのでしょう。回転を上げすぎないCVTは欠点より長所が目立ちます。排気量は2000ccと大きくないのに、余裕を感じて気持ちよく加速できます。
アクセル全開にすれば決して速くはないんですが、注目したいのは出だしの加速感。速い遅いではなく余裕が魅力。デュアリスの低排気量+高車重からすると考えられないような、そんな印象で加速してくれます。
聞けば新開発のCVTを搭載しているらしい。効率的な回転数を常時選択してくれるCVTはエンジンパワーを効率的に活用。そこに低回転重視のエンジンが組み合わされれば、車重の軽い2000ccセダンと同じような加速を味わえてても納得といったところでしょう。
エンジン型式は「MR20DE」。このMR20というエンジンもデビュー時よりも改良されたらしく、トヨタの同クラス4気筒エンジンと比較して質感高め。音質や振動から受ける印象は、まあまあ静かでまあまあスムーズ。
走り出してすぐ感じる高級感。この乗り心地はすばらしい。200万円という車両価格を忘れてしまいます。
一般的な高級車よりスムーズに動くショックで、本当にスモールサイズという車格を感じません。これは、ちょっとハンドルを切ればわかるし、ちょっとボコボコを通るだけでわかります。
ショックアブソーバーの微低速域がちゃんと動き、なおかつ減衰力が感じれます。だからロールはゆっくり、乗り心地は柔らかめ。乗り味に重厚感を感じさせます。
またボディ剛性が立派とは良く聞く言葉ですが、サスペンションが動けば乗り心地に対する剛性感は高く感じるもの。だからこれだけで、どこもかしこも立派に感じます。
デュアリスはコーナーでのロールは小さく、絶対的には硬めのサスペンション。それが乗り心地では固くないし跳ね上がらないし、フワフワだってしません。
このザックスというブランドは最近有名で、ビルシュタインに肩を並べる唯一のメーカーなどといわれます。F1が好きな方にはおなじみですね。
デュアリスのショックは後期型より国内製ショックに変わったと言うことです。運良く日産の技術者から聞けました。
知人が所有する後期型試乗してみると、普通に国産車の乗り味になっていました。フロントシートでもリアシートでもゴツゴツ。どうやら耐久性や製品バラツキの問題から、変更を余儀なくされたとのこと。
「台数の少ないポルシェだったら問題ないんだけど...」という言葉が忘れられません。
後期になり車両価格は同じ〜微増。総合的なコストパフォーマンスは悪くなりました。
デュアリスはヨーロッパでもっとも売れている日産車。イギリスでの生産ということです。なので普通の国産車とはちょっと違うポイントをいくつか持っています。例えばフロントシート。十分な大きさにカッチリした座り心地。運転好き、もしくはシートにうるさい方でも大きな不満はでないでしょう。
シートのホールド性はほどほどで、レカロシートのような窮屈さはありません。同時にレカロのように効果的なランバーサポートなど望めませんがその値段を考えれば...。デュアリスなら欧州でもこれで十分なのでしょう。
ヨーロッパで販売される日本車は、シートが立派なタイプに変更され、総合的な質感が上がっています。そんな事があります。日本仕様はチープで短距離重視のシートなのに、なんで?と思うことがしばしば。
日本だと質感はチープでいいから、わかりやすい豪華さが好まれるといいます。フワフワクッションに毛が長いモケットですか。
快適な広さと良く作られたフロントシートと対照的に、エマージェンシー的な2列目シート。リアシートは狭く快適性も劣ります。
リアシートが狭いのはボディサイズからして仕方ありません。全長が短いですから(全長4315mm)。広めの横幅を生かした「2人がメイン」のクルマということですね。
追記:日産ジュークのリアシートよりは広い。ジュークの場合だと家族で1台というのは無理だが、デュアリスならなんとかなりそう。
以上、一言でまとめれば値段以上の価値を持つデュアリスです。効いているのはやはり、スムーズなサスペンション。スカイラインよりも走りやすい走行感覚と、旧セドリック以上の上質感ある乗り心地。おまけにお洒落なSUVで快適サンルーフまでついてびっくり220万。
車体の大きさとクラスを抜かせば、もっと高価でもおかしくないと考えさせられるクルマです。
注:後期になりショックアブソーバーの銘柄が変わってからは割高感も感じます。
ボディサイズ的な車格感がちょっと低いですから、内容的な長所を失うと厳しいです(全長は短いが横幅は1800mmに近いのでそんなに小さくはない)。
当ホームページは独断を偏見を多く含みつつも、「辛口」が特徴。その中で、このデュアリスについては非常にいい評価となっています。
それはやはり、この乗り心地の質感が、誰でもわかるほどいいため。ぜひ試乗して驚いて頂きたいデュアリス、ショックアブソーバーの出来次第で自動車の印象はものすごく変わると思います。
それから、ペラペラの豪華さでなく、クルマの基本部分がしっかり作られているのも好感度大。実際、この価格で豪華というのは無理があります。だってデュアリスより高いクルマなんていくらでも走ってます。
(下記記事も目を通して下さい)
デュアリスのグレード構成は基本が2タイプ。「20S」と「20G」。それぞれに4WDが選択可能。それ以外では数種類の特別仕様車が登場している。
価格は前期型が安く後期型が高い。走りの質感が高いのは前期。内装の質感が高いのは後期。
おすすめグレードはベーシックな20S。といいたいところだが、外気温時計が付かないらしい。20Sで特別不足している装備は外気温時計。冬期の路面凍結が目安になる重要な装備だが20Sには付かない。
そして大きな違いはサンルーフ。20Gではサンルーフが標準になる。それ以外の装備相違点は、本革ステアリング、ディスチャージヘッドライト、アームレスト、エアコンのオートかマニュアルかが違ってくる。エアコン以外は必要になればアフターパーツで交換が可能。
20Sと20Gの価格差は21〜25万円。サンルーフがいらない人には20Gは割高。サンルーフはいらないけれど本革ステアリングが欲しいなんていう場合は、日産ディーラーの営業マンに頼めば、部品発注して交換してくれると思う。価格は5万円くらいが予想できる。
特別仕様車、クロスライダーは外装の変更がメイン。ボディ下部がボディ同色カラーになり、車高ダウン、フロントマスクの変更など。20Gから20万円の上乗せなので、アフターのエアロパーツとローダウンスプリングを買うのと比べても高くない。
アーバンブラックレザー2は、車室内の変更がメイン。ヒーター付き本皮シートが付き内装の質感が上がっている。こちらの価格は27万円のアップ。「アーバンブラックレザー」、「アーバンブラウンレザー」という特別仕様車もあり。
クロスライダーもアーバンブランレザー2もお得感はあるが、特別仕様車は値引きが渋い場合が多い。実際の購入時には表記以上の差額になるかもしれない。
デュアリス、もし試乗する機会があれば、ぜひ乗って驚いて下さい。エクステリアとインテリアはちょっとだけ痛いですけど、走ればその魅力に納得。中古車で買う場合は、スカイルーフがないグレードはお得感ある価格帯で取引されており大変オススメ。
デュアリスはミニSUVというジャンルですが、走りの質感は十分。間違いなく上級クラスに肉薄かそれ以上の上質感を持つ。日産ムラーノやトヨタ・ハリアー、ジオあたりに試乗して、乗り心地が良くないと思われる方には前期型のデュアリスを試して頂きたい。
乗り味やシートが良い反面、内装に関しては地味。質実剛健な実用車といった感じでまさにヨーロッパ的。ただし後期型では、メーター内には液晶ディスプレイが付くなど、よく目が行く部分はがんばっています。ケーハクな豪華さではなく、クルマとしての本質的な部分にチカラが掛けられているのはちょっと見ただけで感じます。大人のためのコンパクトSUVという印象を受けます。
それ以外には、外車の味を持ちつつメンテナンスは日本車とほぼ同等。こういった特徴もあります。「近くに外車ディーラーがないんだ・・・」。そんな方でも問題なし。
※後期モデルよりだいぶ乗り心地が変わってしまったので、過度の期待はなしでお願いします。デュアリスはもともとイギリス生産の輸入車でしたが、モデル途中から日産の九州工場で生産しているらしいです。
前期型デュアリスで使用されているダンパー(ショックアブソーバー)は有名なザックス製。純正装着品の中ではとても質感高いダンパーです。
しかしコレ、日産本社で働いている方の話によれば、ザックスは基本的にポルシェなど少量生産をしているメーカーの為のもの。量販メーカーの求める耐久性とはちょっと違うかもしれない。とのこと。実際に走行距離が少なくてトラブルが出ている前期型デュアリスもあるらしいです。
ということで、デュアリス後期モデルからは一般的なショックアブソーバーになっています。前期型よりゴツゴツします。
従来通りの国産車の耐久性、信頼性を求めるなら、後期型デュアリスの方がいいかもしれません。
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後期型のメーターパネル。メーターパネル内には液晶表示部付き。メーターは大きめでSUVらしさを感じる。
デュアリスの内装イメージ。前期型のメーターパネル。
質実剛健でヨーロッパイメージの内装は国内生産になっても変わらず。
ワイルド?どちらかといえば都会的。
特別仕様車・クロスライダー。フロントマスクの違いだけでなく、ローダウンサスによる車高ダウンとマフラーが変更される。
特別仕様車・クロスライダーのマフラー。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。