試乗レポートはハッチバックメインに生まれ変わったインプレッサ。ターボ付きモデルのインプレッサで、グレードは「2.0GT」。
比較と辛口評価の試乗レポート
WRC(世界ラリー選手権)でその名を世界にとどろかせたインプレッサ。
しかしラリーはいいところで撤退。このモデルでスバルのインプレッサ=ラリーのイメージが変わりました。
その性か本能か、前走車を見つけたら、犬のように追っかける情熱あふれるドライバー。一緒に走りたいのか遊んでくれてありがとうという気持ちも芽生えます。
スバルといえばやっぱり加速感高いターボが魅力。せっかくドライブにでたら、加速を味わいたくなっちゃいますよね。せったく楽しいクルマを買ったわけですしね。
今回試乗したのは、インプレッサ「2.0GT」。2000ccエンジンにターボが付いたユニットを搭載するグレードです。排気量小さくて加速良ければ、車重は軽くて税金も安いというメリットもあります。
先々代の初代インプレッサは、1992年から2000年と9年間という長い期間販売されてきました。
元は1500ccクラスで5ナンバーサイズ。そこから想像し難い2000ccターボという圧倒的なパワーユニットを搭載して「ひつじの皮を被った何とやら...」みたいな感じでした。
本来、ラリーに勝つために生まれてきたクルマであるインプレッサの速さは、瞬く間に世間に浸透、「インプレッサ=速い」と言うイメージが広がりました。
インプレッサにはベーシックなモデルも用意され、初代インプレッサにも1500ccNAの実用ワゴンがラインナップ。ライバル車と比較した場合、価格的にお買い得でした。
先代の2代目インプレッサも、ワゴンタイプが存在していました。しかし不人気で、特に前期型の丸目なヘッドライトは、ラリーから撤退したトヨタのカローラWRCにそっくり?なんて悪評判が広がって、ヨーロッパでは一気に販売台数が落ちてしまったらしいです。
ボディデザインでもフロントマスクは、「3回」整形手術してまとまりました。
大規模な顔面整形、マイナーチェンジでがらっと顔が変わったインプレッサ。行き着いたところは結局、初代を思い出させる”インプレッサらしい”フロントマスクで落ち着きました。
速いクルマはバックミラーに映る顔こそ重要??
こんな背景から、やっぱり飛ばしたくなる遺伝子を持ったクルマ、それがスバルのインプレッサ。
(いいクルマか悪いクルマかは別問題・・・)
ご紹介しているインプレッサは3代目。型式はGH・GR型です。
このインプレッサは日本では、ボディデザインが5ドアハッチバックのみでスタート(後にセダンを追加)。当初はヨーロッパでの販売が重視されたみたいです。
ヨーロッパではセダンもバリエーションとして用意されていましたが、5ドアハッチバックがメインだったそうです。
日本では、残念ながら売れるはずもないコンパクトセダン。最初は設定がありません。それで後から追加され、「アネシス」とサブネームの付いた4ドアセダンが投入されました。
このインプレッサから排気量が違うバリエーションもボディーの大きさは統一され、すべて3ナンバーサイズ。といっても全長は短く、横幅もほとんど5ナンバーサイズなので、コンパクトさを保っており、余計な心配はいりません。
インプレッサの場合にはこの「小さい」というのがキーワードで、小さいクルマでキビキビとは、キビキビ=しょぼい。こんな感想も事実。
「重厚さと高級さを感じるスポーティ」と「低速からキビキビなコンパクトらしいスポーティ」、相反する部分なのでどっちがいいかというのは運転する方のパワー次第でしょう。
インプレッサに限って言えば、車格からすると割高な価格を、高級感という面では還元していません。これはレガシィとの住み分けでしょうか?
同クラスで比較すれば、内容は味が濃い。でも高価。スバルにはレガシィがありますから。越えてはいけない壁、レガシィがあるわけです。
車格ピラミッドの関係から、魅力総合でレガシィを越えてはいけない、インプレッサの宿命です。
ターボ付いたインプレッサを買うと、レガシィと価格がバッティング。
楽しい!飛ばせばアドレナリン!味も濃い!でも車格はミドルクラスで価格ほどの満足度にはクエスチョン。コレが当サイトでのインプレッサ評価です。
トヨタのマークX(Sパッケージ)、スバルのインプレッサ(ターボ)、同じ様な価格で同じ様なパワー感を持つ2車ですが、方向性が全然異なります。その具体例としてブレーキに違いがあります。違いはABS介入のポイント。
マークX。ブレーキ踏むとタイヤがキーキー鳴る前からABSが介入します。鳴りにくいタイヤというより、介入が早いです。ドライバーがタイヤギリギリというサインを感じる前です。
旋回ブレーキ中でも一緒。制御も細かいし、後輪駆動でリアへのブレーキバランスも高い事も加え、安心感は高い。
インプレッサターボ。単純なブレーキングでもABSの介入は遅めです。フラットに見える路面でも、ちょっと荒れた路面でも、タイヤがキーキー鳴り、クルマが不安定になりかけたところでABS介入。
荒れた路面など挙動を乱しそうとドライバーが感じた後のサポート。クルマを操ってる感が強いのはコッチ。
また雪道など低ミュー路面で安全(よりブレーキが効く)なのはインプレッサだろうと予想します。
足回りは今までより柔らかめになりました。質感はレガシィの上級グレードに設定されているビルシュタインのサスペンションみたいによくはありませんが、クルマ好きのためのクルマとして最低限のレベルはキープ。
リヤサスペンション型式は従来のストラット式から新開発のダブルウィッシュボーン式へと変更。構造からして進化しています。
アライメント変化の少なさやサス剛性の確保といった特性的に、ロールやピッチングが大きめでもきちんと制御されている印象。粘っている感じがします。
先代より柔らかい。しかし安定感もある。ブレーキング時なんか極上の安定感。コンパクトなクルマを運転していることを忘れてしまいます。
ダブルウィッシュボーンということで、サスペンションのレバー比も大きいハズ。改造しても良質な足回りをキープしそうです。インプレッサなら単筒式ショックが基本!?
ATについて、ATはレガシィターボには5速ATが設定されていますが、インプレッサでは4速ATになります。
レガシィと同じ5速があればステップ比も下がり、また巡航時は低回転を利用できてエンジン音低減や燃費もよくなるはず。なぜ違うのか?重量の問題か、はたまたコストの問題かは分かりませんが、基本的に同じクルマを賢明?に車格分けしているといった感じですね。
ミッションというのが自動車に与える影響は大きく、エンジンから受けるフィーリングさえ変わってしまいます。
今回のインプレッサのエンジンはかなり低回転型エンジンで、従来ながらの面白みは半減、しかしATとの相性は良いと思います、踏んで戻して大変!といったAT+ターボの欠点は少ないです。その分、上質さを考えれば5ATが欲しかったです。
(AT+ターボの相性でいえば、こうしたエンジンの方が好ましい)
インプレッサのエンジン、運転すると、ほんとどこでも全開にできちゃいます。このターボエンジン、気むずかしさはだいぶ減っています。急に加速しすぎてアクセルを戻すなんて事も無く、低回転からトルクがついてくるのでシフトポジション気にせず加速が可能です。現代的なターボエンジンになりました。
その代わり、高回転の盛り上がりは無し、ドラマティックな回転の上昇はない。というか高回転でふんずまる。低回転から高回転までアクセルレスポンスが”あまり”変わらない(少しは変わる)、これから主流になっていきそうなキャラクターのエンジンです。
逆に言うと、気難しいエンジンを操る楽しみは無くなってしまいました。タイムなんてどうでもいい一般ユーザーには、わかりやすいドラマティックな演出が欲しいところで、残念でもあります。
(STIバージョンではスパーンっと回って差別化?)
絶対的な速さではこの「2.0GT」というグレードのターボでで不満はなさそう。250万円という価格で選べるクルマの中では、トップクラスの動力性能を持っています。
すごく速くはないけどちょうど良く速い。ワインディングで踏めるところは全て全開となれば、けっこうな速度がでるし、ブレーキングを楽しむこともできる。
幹線道路の踏みっぱなし勝負の場合は、大排気量車相手だと悔しい思いをする。まわりより1秒でも早くアクセルを踏む。これでがんばって下さい。
全体的に牙をむかれて一般化したインプレッサ。という感じで、エンジンなんかはトルキーマイルドと表現せずにはいられません。
現代的に調教された?わけでもありますが、かといって上質なわけではなく、デビュー時にモデル末期の同価格帯ライバルにようやく追いついたような乗り味。やはり2.0GTというグレードでは中途半端か。どうせ買うなら1500ccモデルかWRX、STIバージョン、どちらかとなってしまう気がします。
外観のボディタイプは「セダンのアネシス」と「基本の5ドアハッチバック」が好みで選べます。そして特別なインプレッサが欲しければやっぱりSTIバージョン。
STI型式「CBA-GRB」になるとオーバーフェンダーでまさに「懍」とした感じでとても美しく、かっこいい。見るからにクルマ好きの為のマニアの車。マニアのための内容と価格、そしてデザイン、これこそがインプレッサです。
クルマ好きらしいクルマが欲しければやはりSTIバージョンですね!
内容なんて良くても悪くてもいいんです。ブランドですから。好きなら買う、普通は買わない、これからのスバル車の運命を示しているような車と感じざるをえません。
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インプレッサ内装(1500cc)。従来型と比較すれば圧倒的に優雅に感じる。それでも実際に見るとやっぱり無骨。
インプレッサと言えばやはりSTI。ごっついミッションは好感度大。6MT。後方はSIドライブの切り替えスイッチ。
STIバージョンの価格は320万円。ATは用意されない。
タバコをおいたら取り出しづらいポケット。灰皿にしてくれれば高級車と評価出来るのに。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。