間違いいっぱいの自動車選び。カムリの試乗レポート。
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トヨタ・カムリ(型式AXVH70)「G」ハイブリッドです。シルバーのカムリが2017年式、白いカムリが2018年式です。
最近少しずつ、動くサスペンションになってきたトヨタ車。カムリも動きやすい部分があり、フロントサスは固いながらも状況によってはキレイに段差を越えていく。
カムリのサスペンションは想像より引き締まっていて、優しい乗り心地より走行安定性が重視されている様子。
特にフロントサスペンションには大型のセダンから想像できるゆったり感はなく、市街地ではガッツンと衝撃を伝えてくる。
装着されていたタイヤはミシュランブランドで、記載銘柄はプライマシー3。ミシュランという割には、路面のザラつきなどで思ったより固さを感じる場面が目立つ。
タイヤは「ミシュランまたはヨコハマのどちらか」のOEMタイヤが装着されての納車になるとトヨタ営業マンに聞いてきた。選べないのだから両者に差があったら大問題。
するとミシュランも市販と異なる価格優先OEMタイヤを作っているのか、ちょっとした疑問。欧州車でもOEM装着されるであろうタイヤだからね。
乗り心地とサスペンションの高級感はいつからか、固めでフラットライドが高級と評されるようになった。
固い=立派は男らしいってわけです。
確かに滑らかなショックアブソーバーが組み合わせれば、高級なアフターパーツみたいに立派な乗り心地を感じる。しかしせっかく滑らかなら、柔らかめにセットされていれば、もっと立派な乗り心地。
好みはあるにせよ動きやすさは欲しいし、可能ならブワブワしない減衰力だって併せ持って欲しい。
カムリのショックアブソーバーは動き出しで抜けている部分があり、これが動きとか柔らかさを演出するはずなんだけど、領域がちょっと狭いのか、市街地での乗り心地としては良い印象を受ける場面が少ない。
市街地を走行していて、滑らかに段差を越えたと思えるのは全体の2割ほどだろうか。条件が良い段差(不思議な表現w)、そうした段差では何もなかったような心地よさで走り抜けてくれる。
フロントサスと比べるとリアサスはかなり柔らかく、フロントシート乗員がアンバランスな違和感を感じるかもしれない。
リアサスは単純にブワンブワンしているような、そんな印象を受ける時もある。
それでもリアシートに優しい乗り心地を提供してくれるのは大型セダンの魅力。リアシートがゴツゴツで座りたくないミニバンなんていくらでもあるし、この柔らかさがワインディングの凹凸で安定感に貢献していると思う場面もある。
市街地を運転している間はあまり良い印象を受けなかった。
思い通りに走りやすいという長所が生きてくるのは郊外から田舎道。なので一般的なディーラー試乗では良さがわかりにくいクルマかも。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
トヨタの最重要車種かも?アメリカで大ヒットといわれるクルマです。
包まれ感の強さから高級感を演出しているカムリのフロントシート。ただちょっと助手席に座ると、トンネルに足を突っ込んでるような、圧迫感を感じる時もある。
しかしフロントシートは大きく後ろにスライドする。
写真のように、リアシート足元のスペースを犠牲にしてまで、スライド量を確保しているように見受けられる。
カムリは大きなクルマだけどリアシートでは足の置き場に困ることもあるくらい。
助手席は一番後ろまで下げれば十分すぎるほどのスペースができるし、ラグジュアリーな雰囲気も十分。
一番後ろに下げたら前後タイヤの中心あたりに座っているのか、不思議とリアサスの感触が強まり、フロントとリアの違いが気になった。スライドレールの固定箇所は一緒なのにね。ナンノコッチャと思ったら試してみて下さい。
トヨタのセダンらしい静粛性を期待すると、カムリは期待に応えてくれないかもしれません。走っている感覚がしっかり、くらいの静粛性です。
触ればサイドガラスは厚そうだし、他メーカーのクルマと比較すれば悪くないんだけど、嬉しくなるほどの静粛性は感じられない。
過度に期待しないほうが良いくらいの静粛性です。
主に気になるのはエンジンノイズの大きさと音質。排気音だってフロントシートに座っていても低い音で聞こえてくる。
ここは走りやすさまで考えられた演出なのだろうが、静粛性という軸で評価すれば評価点は低い。シーンとする静けさを望むユーザーも多いからね。
エンジンノイズに関して言えば、アイドリング中に高い回転数で回る時があり、周囲が静かな時はやはりうるさい。暖房を使っていた関係もあるし、カムリに限らず現在のトヨタ・ハイブリッド車では、アイドリング回転数が高いのはよくあること。気になる点であるけど仕方がない。
走行中の静粛性、良い部分と悪い部分で1つずつピックアップ。
良いのは足回りからのノイズがマイルドな点。シチュエーションは成人男性2人乗車。
リアサスが動く場面ではノイズが聞こえてくるんだけど、マイルドで高級車に近い音質で「コクン」という感じ。段差の度にガチャン!というクルマとは全然違う。
逆に予想外に悪かったのは、内装から異音を発していたこと。
Aピラーからギシギシ、センタークラスターあたりはガサガサ。350万円のセダンてこんなんだっけ?と車内で話題になった。
試乗したカムリがたまたま悪かったという個体差の問題もあり得る。ただこのカムリでは、ボンネットやドア、フューエルリッドなど開閉部に渋さを感じる品質の低さから、コレが仕様です!と納得しやすい。
ちょっとの音量でも不快な電子ノイズ、カムリでは静かなところを走っても気にならなかったのでご安心下さい。
もうほんと、出だしの疑似エンジン音の方が気になるし、もっといえば自宅のエアコンの方がピーピーギャーギャー鳴ってます。
ラグジュアリーとかサルーンという響きなら、ホンダのアコードハイブリッドが思い浮かぶ。
本場アメリカでも、アコードはカムリのライバル。日本での価格はちょっと上。
筆者の知る400万円クラスの前輪駆動セダンで、乗り心地に順位を付けてみる。
アコードハイブリッド >>> カムリ > SAI = アテンザ
アコードは柔らかくて質も高いサスペンション。ちょっと前の日本車やアメリカ車的な柔らかさで車体はゆっくり動き、その乗り心地にはイメージしやすい高級感がある。というか単純に乗り心地が良い。
こうした乗り心地はホンダ車の中でも少数派。今後は変わってしまう可能性も。欧州車的な乗り心地だけが高級じゃないよとアピールするクルマは年々少なくなる傾向。
もしくは車両価格上昇で手が届かなくなると思われます。
評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。一部の画像は拡大します。
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違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。