評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。試乗車はカローラフィールダー。
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トヨタ・カローラフィールダー(E160系)1.5X CVTモデルの試乗レポートです。2014年式。
以前、MT仕様に試乗、今回はCVTモデル。違った観点からお届け致します。
走行に関する質感評価は優先順位が低いカローラだから、当サイト”間違いいっぱいの自動車選び”では、後ろの方に記載することになりました。
実際にカローラを所有した知人とか、身近な人間に聞いてみても、求める部分はそこじゃないらしいですしね。
カローラは内装質感とか、マイルドで昔ながらの上級感覚を安価に。そこが目指すところだと思うし、ずっと変わらぬ方向性をウリにしても良いと思う。ユーザーと共に歳を取る。そんなクルマが一台くらいあってもいいと思うのね。
で今回のカローラフィールダー、加速減速やハンドリングなど試乗した感想は?
前置きが長くなりました。カローラのステアフィールは地味に毎回、進化&変化しています。昔の120系カローラあたりを思い出すと、緩いダルい反応希薄。終始フラフラな感覚でした。
今回も進化&変化してます。まず、直進安定性が良くなりました。固いサスペンションということもあり、フラットな路面ではリアに落ち着きがあります。
ステアリング中立付近に反応があるわりに、真っ直ぐ走りやすい印象。ヴィッツなどとは異なります。
コーナーでハンドルを回せば、クルマの動きはマイルド。しかし、中立付近から弱い反応を返してくれるように。ここは大きな変化。
また中立付近で軽い操舵力は、あるところからズシッと重く。もっと滑らかな味付けでアシストして欲しいけど、こうした演出はハンドルを握る楽しみに直結する可能性もあります。
細かくいえば、操舵途中で反応の薄い部分があったり、ハンドルを回す感触が毎回変わったり、注文付けたい部分はある。剛性感とか煮詰めとかアシスト容量でしょうか。
回していくほどに重くなるパワーステアリング。
原点回帰の特性と思えるけど、低速時など大きく回す際は慣れが必要です。
動かし始めはゆっくり、動き始めたら素早く、そんな感じで回したいのに、重くなるとタイミングがずれちゃう。重くなる時は極端に重くなります。
交差点でも、ステアイン(切り始める位置)がベストでも、ステアスピード(回す速度)が足りず、思い通りの場所を通れないことがありました。上手に走るには慣れが必要ですね。
ブレーキは相変わらずのカローラらしい感触。ペダルは軽く踏み込め、手前から制動力が立ち上がるタイプ。
ドライバビリティという面では初期が強すぎるけど、カローラが誰の車かということを考えれば悪いわけじゃないと思います。
ブレーキは「緊急時に目一杯踏み込めること」が一番重要で、次に「緊張せず運転出来る安心感」が大事だと考えます。
滑らかに減速できる特性とかペダルタッチ、コントロール性なんていうのはクルマ好きが安心して運転するのに必要な部分。
カローラにはカローラのお客様が安心して運転出来る特性が必要なんだと改めて感じた次第。
トヨタ車のブレーキはいつからか、穏やかな特性のブレーキ特性に変化した。昔は初期が強く神経を使った記憶があるんだけど、カローラはそんな昔の特性を引き継いでいる。
主たるお客様に合わせた特性、こうしたブレーキが使いやすく、また安心できるのだろう。変わらない部分も大事なのね。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
ちょっと試乗しただけだと、静粛性の高さくらいしか良い部分を見つけられなそうなカローラフィールダー。しかし数日ドライブしていると、細かな優しさも見えてくる。
優しくない部分、納得できなければクラスアップして上級クラスを狙うしかありません。
エアコン操作部はドライバーから近いし単純。回し心地は繊細な人向きじゃない。その分、ガシガシ回しても壊れなそうな安心感。
中央のドリンクホルダーはシフトセクレターの奧にレイアウト。シフトセレクターが遠めで、さらに遠い。
カローラフィールダーの視界、フロント左右の見切りはなかなかいい。Aピラーには3角窓がないタイプでスッキリしています。
コンパクトカーをベースにしたモデルだと、セダンでも3角窓が付いてる場合もある。例えばトヨタのSAI。やっぱり邪魔だよね。太い細いの問題じゃない。
Aピラーとは「A番目の柱」の事。平たく言えば横から見て一番前の柱。
カローラフィールダーを運転していて、コーナーでも交差点でもAピラーが気になって先が見えないと感じる時はそこまで多くない。それから特に車両を寄せやすいって程ではないけど、神経を使うほどでもない。普通だけど、他車と比較すれば合格の評価でしょう。
Aピラーの傾斜が強く、インパネ奥行きが長いタイプは、ボディデザインも内装も立派に見える。けど、運転のしやすさは逆。Aピラーは立って適度にドライバーに近い方が、運転中邪魔になることが少ないと思います。
Aピラー立っているといえば、日産キューブが代表的。
少し前から当たり前になった、ドアからニョッキって飛び出るドアミラー。これはメルセデスベンツなどでは風切り音の低減とアピールしていたし、国産メーカーでは視界の良さをアピールしていた。
カローラフィールダーを試乗すれば、確かにこの隙間で足下が見える時があるから意味がある。
ただしこの優位性は、全てのクルマに当てはまるワケじゃありません。3代目フィットなどAピラーのサブピラーが邪魔をして、意味ない車種も試乗体験済みです。
写真は3代目フィット(RS)の視界。ドアに付くタイプのドアミラー。
このフィットを運転している時、コーナーどころか信号待ちで停車中、右前の歩行者が死角に入っていて、わからないことがありました。
話題性の高いアクセラ、近い関係のプレミオ、カローラと比較してみます。
当カローラのデビュー時にライバルだったのは2代目アクセラ。ボディ横幅がワイドでけっこう立派。実車では思うほど安っぽくない1台。
2000ccエンジンを搭載するアクセラに試乗すれば、カローラより上級車的な感覚。やはりエンジンが与える余裕はクルマの印象に直結。さらに重量も重く、落ち着つた部分があります。
低価格、値引きも期待、それでいてカローラより立派と、比較すれば良いところばかりと思えるアクセラだけど、実は非常に運転しづらいクルマ。アクセルとステアリングフィールだね。それにスカイアクティブを除く5ATまたは4AT、非常にアクが強い。
それから静粛性の低さ。アイドリング〜走行中までカローラの静粛性とは比較になりません。
従来のマツダ車らしさという点では、この世代までだけの魅力。ここに惹かれればカローラではもちろん、次世代アクセラだってかないません。ぜひこのアクセラを指名買いで。
モデル途中の2013年、アクセラは3代目にバトンタッチ。どこもかしこも新しいマツダのイメージで新世代をアピール。メディアから人気で話題性も十分。
注目度という点では地味なカローラを完璧に超えています。トップグレードはディーゼルエンジン搭載で約300万円。カローラより相当上級な印象さえ受ける。
試乗すれば、マツダ車らしからぬ走りやすさが好印象。カローラが如何に滑らかといっても、それは「CVTでは」という条件付き。
アクセラはステップ式の6ATで、これがまた滑らかで、上級車ライクな発進が好印象!ステアフィールは落ち付き合ってドッシリ。旧アクセラから見れば正統派になりました。
乗り心地は固くてドタバタ。静粛性は常識的な範囲でうるさい。静粛性という一芸に秀でたカローラと比較すれば、アクセラはバランス良くハイレベル。
旧カローラの系統で上級車種、アニキ分的存在の、トヨタ・プレミオ/アリオン。
このクルマは昔ながらのトヨタらしさが満載で、そうした特徴が強い。端正かつゴージャスな内外装が魅力です。
価格は1500ccエンジン搭載の上級グレードで203万円(2014モデル)。
内装はトヨタ流の高級感に溢れ、とても200万円のクルマとは思えず。
言ってみれば、「走らなければ高級車」。
ここ、笑ってはいけませんw優れた特徴です! カローラと同じコンセプトの上級車種です。今や走行性能は十分。安くて立派なクルマが欲しいという方も多い思う。筆者もその一人。
試乗すれば、柔らかいけどゴツゴツ、路面のうねりはそのまま車体を揺する。ショックアブソーバー減衰力が低くてフラフラでフワフワ。静粛性だって、安っぽい透過音で旧世代的。
試乗してビックリしたけど、新世代カローラに及ばない部分がある。でもそれはすべて、立派な内装と納得の価格で許される。
割高に感じた価格も、ライバル車が値上がったので割安に感じられるようになりました。先代までのカローラがお好きなら、プレミオ/アリオンがおすすめです。
プラットフォームが変わり、高級感よりベーシック感が強まった今回のカローラフィールダー。大きく変化しました。確かにね、今や横綱じゃないから勝負を挑むことが大事だよね。
しかしカローラといえば、変わらぬ価値観での代替え用モデルとしての需要もあるでしょう。何も新しい生活を望む方ばかりじゃない。幸せな生活をしていればそれをキープしたいと思うモノです。
そんな中での変化。試乗前は不安だったけど、カローラらしさは変わらず。
カローラのコンセプトは不明。でも試乗すれば、目指すところ重視してる箇所は感じ取れる。ストレスの少ないイージードライブや疲労を低減する静粛性への取り組み。さらには様々なドライバーを許容する幅の広さetc...。
走行的な質感は低い。でも主たるユーザーへの配慮はさすが!ケイハクじゃない部分がやっぱりカローラ。この良さをわからずして何を評価しろと言うのか、筆者は声を大にして叫びたい。
筆者ヒラリー、このカローラフィールダーを自分で購入することはありません。それはクルマの善し悪しとは別問題。熱意を持って作られたのは試乗すればきっと感じられると思います。
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違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。