間違いいっぱいの自動車選び。試乗レポートはトヨタ・ヴェルファイア(ANH20W)/グレード「2.4Z」2013年モデル。
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おなじみ大人気、2代目アルファードの兄弟車としてデビューしたフルサイズミニバン。アルファードがトヨペット店でヴェルファイアがネッツ店。同じクルマの兄弟車です。
トヨタ・ヴェルファイアは全長4865mmの、普通に3列目シートが利用できるミニバン。
驚くほど全長が長いわけでもないのに、想像できないほどの室内空間が大きな魅力。ノア/ヴォクシークラスの非常用3列目シートとは異なり、それこそ日常的に3列目を利用できるスペースがあります。
車両価格は約300万円〜と、割安と思える価格設定。エスティマやヴォクシーの人気グレードと比較しても、お得感の高さを感じます。絶対的には高額ですが、価格以上に立派!高級!なイメージのクルマです。
都内の高級住宅街でも違和感などなく馴染んでいます。高級なブランドイメージもそうですが、そもそもボディサイズが大きい上に奇をてらったデザインでないから風格が。
試乗車は2.4Zというグレードで、黒系の内装にエクステリアデザインが装飾されたグレード。エンジンは2400ccで価格は335万円。オドメーターが示す走行距離は約5000km。
大きな画面のHDDナビとバックモニター、電動スライドドアが付いてお値段は、値引き込み総額350万円。
高級に見えるヴェルファイア。しかしこのクルマを高級車として比較したらちょっと可哀想。
考えてみて下さい。これだけのボディサイズに3列シート、1900kgという重量で300万円なんですから。
車体が大きければ鉄もプラスティックも吸音材も多く必要ですし、強度だって強くしなければなりません。シートだって安くはないでしょうし、タイヤだって高額なタイヤが必要です。
さらには、組み立てるマンパワーだって屈強な戦士を揃える必要があるはず。
想像するに、250万円級のミドルクラスが基準点でいいんじゃないかと。トヨタでいえばマークXとか。よくよく考えればそれなりの内容でさえいれば上々の評価というわけです。
立派で高級なイメージと、所有満足度の高さ、数値ではないこれはプライスレス!
コンパクトカーでも外観の質感には抜かりがなく、どんなクルマでも相応の立派さを感じる時代、車格なりの満足感を見いだす場所といえばまずはインパネ。
ヴェルファイアのドライバーズシートに収まり周囲を見渡せば、左右に広いフロントガラスから高級感を感じる。
これは助手席のパッセンジャーも同様。大きい=高級じゃないけれど、こと日本では小さい高級車が成功しないわけで、自然にこういった感覚を感じてしまいます。
そういえばアメリカのシボレーアストロ、高級車ではないけれど、やはり窓がワイドで特別感が高かった。BGMにジャズでも流せばそれでスペシャルな気分に。人間は気分が重要です。
冷静に各部を見れば、ミドルクラスセダンレベルの質感がという事がわかります。
ミドルクラスだって年々立派に進化しているわけで、ついでに価格も上がっているから、1世代前から見ればヴェルファイアの方が立派だし、バンらしさを感じる部分はありません。
「演出」と「素材感」合わせて考えれば、250万円級セダンの質感という評価が妥当かな。具体的にはマークXやスカイラインとトントン。コンパクトカーや200万円級ミニバンからの乗り換えなら満足感高いと思います。
運転席左下のスイッチが集まる部分。左の画像はハイブリッドモデル。電動スライドドアのスイッチは天井にレイアウトされているけど、可能なら一般的なここにも欲しいところ。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
近年では別々に評価することが難しくなっているのがエンジンとミッション。
エンジンで動力を作り、ミッションが動力の効率を高める。今までも協調制御されていたらしいけど、CVTではもはや1部品として考えたいほど。
ベルファイアでは4気筒2400ccがCVT、6気筒3500ccが6ATと組み合わせられます。
メインの試乗車は2400ccのCVT。CVTは「加速力重視」や「余裕と燃費を重視」とか「自然な運転感覚重視」などメーカーやモデルによって味付けが異なる。だから排気量から直結する最大加速力でさえ、予想が当てにならない。
また低回転をキープして余裕のドライブをしたいなど希望があれば、それはドライバーがアクセルワークで調整しなければいけないし、クルマのクセに合わせる必要がある。
CVTのキャラクターはプログラム次第?? エンジンの得意な部分を強調し苦手な部分を隠すという仕事もあるでしょう。
つまり、最大公約数的な感覚を想定して調整されているから、ドライバーが好みに合わせてアジャストする部分もあるわけです。
エンジンのパワーや特性を比較評価するのはナンセンス。しかしそれでも気になる加速力。
湾岸道路の右側車線を流れる速度まで全開加速すれば、排気量のイメージ以上に”遅い”と評価せざるを得ません。どれくらい遅いかといえば、アクセル全開のまま「あんなことして〜こんなことして〜ムフフフ」なんて考えながらの人間がビックリしないレベルの加速感。
加減速の連続する一般道では、旧型の4ATモデルと比較すれば速度に関わらず加速してくれる。コーナーからのアクセル全開でチェックポイントまで加速。
これを他車と比較すると、マークXジオ基準でウィッシュが10km/h下、ヴェルファイアはもう5km/h下。体感的な加速力はもっと低いです。
トルクカーブやら低回転時のトルク感などがCVTで調整される時代、エンジンの質感といえば「滑らかさ」「振動」「音質」が重要なポイントと筆者は考えます。
ヴェルファイアの2400ccは「2AZ」という多くの車種で使われるエンジン。今まで質感低いエンジンだと思っていたし、マークXジオやハリアーではガサツで質感低いエンジンという印象しかなかった。
それが、いつの間にか改良されたのか、ヴェルファイアの2AZでは印象が異なる。
高回転域では相変わらず滑らかとはいえないけど、振動と音質は、2000cc以下クラスとは違うね!という格の違いを感じる。せっかく高いお金を出すわけで、その分の差は感じられます。
エンジンマウントとか静粛性対策でエンジンの印象も変わって感じます。
中国製も話題になるこのエンジン、同じトヨタのSAIでは、新車時にはいい印象でした。中身が改良されたのかマウント類が改良されたのかはわからないが、実用エンジンとして最低限のレベルはあると思います。
ヴェルファイアの2400ccモデルのミッションは、無段階変速のCVTが採用されている。ヴェルファイアのCVTは、実用的な動力性能を重視したタイプ。
ちょっとアクセルを踏み込めば、まずは有効トルクの発生するエンジン回転数まで回転が上がり、次に加速を始める。
簡単にいえば、常にキックダウンするATというイメージ。
このタイプのメリットは、踏み初めのエンジン回転数に関わらず、同じようなアクセルレスポンスで加速できる事。低回転だから大きく踏み込まないと加速しないとか、回転上がると急に加速し出すとか、そうした扱いにくさがありません。
多くの場面で、だいたい踏んだ量だけ加速してくれる。アクセル開度と回転数による加速感の調整をCVTがやってくれているのね。
逆にデメリットとしては、速度と回転数の不一致による違和感が残ること。回転数と速度はできるだけ比例して上昇してくれた方がドライバーの違和感は少ない。
また、踏んだ瞬間のレスポンスはどうしても遅れます。
CVTがまだ一般的でなかったころは、速度が上がらないのに回転が上がる状態で、タイヤが滑ってると錯覚することもあった。こうした部分は慣れだね。
ヴェルファイアのCVTは、出だしや停止時にギクシャクすることが少なく、試乗時はカッキンコッキンなんてギクシャクを感じる事はなかった。プログラムによるキャラクターの差はあれど、コンポーネンツは良質だと思う。
シフトセレクター。この滑らかで操作しやすいものだと評価できる。軽い上に節度感あり、スムーズ。操作ミスとは無縁でしょう。あとはもう、Mセレクト部分に吸い込まれ感があれば、触る気持ちよさだって感じられそう。
走行安定性が高ければ、思い通りに走りやすく、ラクに運転出来るのが魅力。
基本的に車体が大きくなるほど直進安定性が良くなる傾向があるけれど、ヴェルファイアの場合は??
サスペンションが固ければハンドル切るのがラク?横幅が広ければラク??ミニバンはグラグラしやすい???どうやらそんな簡単なハナシじゃないみたい。
ヴェルファイアではハンドル切ればワンテンポ遅れて反応がある。これは欠点ではなくツーテンポ遅れない長所。
その後は、どこかからグラッとする感触がドライバーに伝わる。クルマが向きを変えだした後ね。
間違いを恐れずにいえばエンジンがグラッと揺れる感触がフロントから伝わってくる。そういえばエンジンマウントがかなり柔らかめなことは振動の少なさから予想していた。
挙動が変わるとか舵角が変わるとか、そんな感じではないので、気にしなければなんてことない。でも気になるかもしれないから、試乗時にはチェックをぜひ。
サスペンションが引き締まっている恩恵として、ハンドルを切ったり戻したりした際の横Gの変化は抑えやすい。
思いっきり丁寧なハンドルさばきを強要されないのは利点。どんなに丁寧に運転しても同乗者が不快だった、昔のレジアスやグランビアなどよりは今風のフラット感です。
乗り心地を考えれば、もっとシナヤカかつピタッと揺れを抑えてくれるショックアブソーバーが欲しくもなります。
直進性の高さについては、ものすごく悪い訳じゃないけど、褒められたものでもありません。
これはトヨタ車全般で苦手とするところだから、その中では良い方。トヨタ車を乗り継いでいらっしゃるのであれば、褒められる部類といっていいかもしれない。
ヴェルファイアは足回りのサスペンションが固いけれど、ゴムブッシュだって他のトヨタ車のように柔らかくない可能性。ブッシュの柔かさで小さなコツコツを吸収しているクルマだと、直進感覚が曖昧で、微量の修正が2テンポ遅れる。
これらが合わさり合ってフラフラするか神経使う好ましくない車種になるわけ。
ヴェルファイアなら視界とドラポジを含め、多車線道路でもビクビクするほど酷くはないし、ジュースは飲めるしタバコの火だって消せる。ギリギリだけど合格点。
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ヴェルファイア
ANH20W - 2AZ-FE 2400cc 2008年〜
確認中
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国産車バッテリー
エンジン質感 | |
同じエンジンを積む他車種より、振動少なめに感じる。マウント柔らかめ? |
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駆動系質感 | |
マイルドなのは良し。プログラムは余裕がなくせわしない。 |
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足回りの質感 | |
4人乗車以下だと、ただの棒です。軽自動車でも許されぬこの質感。 |
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内装の質感 | |
インパネは平均点以下。うれしいのは間接照明などのおもてなし。 |
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外装の質感 | |
3サイズが見事だからそれだけで立派に見える。多少のバンらしさはご愛敬。 |
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3列目広さ | |
コンパクトミニバンの2列目より座れる。 |
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お買い得度 | |
クルマはドライバーだけのものじゃありませぬ。同乗者からこそ評価されたいね。 |
キレイに並ぶ空調スイッチ。リアのエアコンも操作できる。
ただし、走行中に手元を見ないで操作できるのは温度設定くらい。膨らみがある。
押し心地が良くない上にハザードまでココに付いているのは如何なモノかと。
下はさらにスイッチが多いタイプのナビ。
シフトセレクターの操作感は好印象!
ドア内張にはもう少し起伏が欲しいけど、しょうがないよね。
オプションで灰皿に交換できる。灰皿付き=高級車??意外にも外車には灰皿付いてる。
ヴェルファイアのエンジンルーム。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。