間違いいっぱいの自動車選び。FIAT(イタリア)の「ABARTH500」アバルト500の試乗レポート。
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アバルト500は、FIAT500を元にしたチューンドモデル。走りやすさとスポーティ感覚の両立。やっぱり上手だねって感じのスペシャルな500なんです。
アバルトとは元々イタリアのチューンドメーカー。コンプリートカーを手がけて販売する会社でありブランドです。
現在はFIATグループの一員になりました。ちょうどメルセデスメンツとAMGのような関係かと、筆者ヒラリーは理解しています。
アバルト500は、「FIAT500」をベースに仕立て直したチューンドモデル。
内外装のおしゃれ感はそのまんま、走行性能と質感の向上がなされ、エンジンには4気筒1400ccターボというパワーユニットを搭載。
このあたりの変更をメインに、その他部分も手が入る。アバルトいわく、モータースポーツを愛する方の為に生まれたクルマ。
車名=アバルト500。500=チンクエチェント。日本では一般的に「アバルトごひゃく」って呼ぶことが多いと思う。
FIAT500は上品な見た目かつ、懐かしいと感じる楽しみを味わえるのが魅力。しかしアバルト500はちょっと違う。普通に”質感高い”クルマに変化。
エンジン以外ではサスペンションやエンジンマウントに手が入っているようで、乗り味にはある種の高級感さえ感じる。動きが立派です。
優れた特徴を表せば、スポーツ性が高いのに日常の運転がとてもラク。日々の実用ドライブと、たまのスポーティドライブを両立できる。ハンドリングは運転しやすくイージー運転に応える。
お値段は約290万円。この価格が欠点!リッチでセレブじゃなきゃ買えない。普通はお得なミニバン買っちゃうよね。
試乗車は、2014年式アバルト500で、オドメーターが示す総走行距離6000km。
ミッションはデュアルロジックと呼ばれる自動MTタイプ。
試乗は夜間のみで2時間x3日。試乗した感想をレポートにまとめます。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
アバルトってもともとスポーツ走行を楽しむ方向けのブランドだったらしい。筆者は知らない世代だから聞いてきました。
そしたら、輸入車好きなら誰でも知ってるブランドらしく、フランス車をメインにしていた時代もあったみたい。現在はFIATグループでFIAT車を手がける。
簡単にいえば市販車を元にして、スポーツ方向に振ったモデルを販売してるってこと。やっぱりAMGかブラバスか、日本で言ったらなんだろう。
試乗前に最低限の下調べ。これはエチケット。下調べではガチガチなスポーティモデルを予想。振動多かったり、乗り心地悪かったり、極悪な静粛性だったり。
例えばホンダのタイプR系なんて、窓を薄くしてまで軽量化していた。スバルSTIなんてピロボールを使うこともある。
そうすると雰囲気出る反面、日常的には運転したくないクルマになっちゃう。
このアバルト500は違った!多少のクセさえ掴めば、小さな小さな高級車として運転出来る。
チューニングカーの比較ではなく普通の自動車比較。体に馴染むのがめちゃくちゃ早く、初めて運転する違和感を感じない。筆者の場合は30分ほどで馴染んじゃった感じ。
運転しやすいから思い通りに振り回せる!これだってスポーティ評価の1項目。多少のクセについては各項目でじっくり。
アバルト500のエンジンは4気筒1400cc+ターボ過給器付き。カタログスペックは140馬力&18.4kg/m。
試乗車はこれに「デュアルロジック」と呼ばれる、シングルクラッチの自動MTが組み合わされる(通称デュアロジ)。クラッチ操作が自動の、2ペダルMTだよ。
「アバルト595」というのもあるけど、こっちは一応別モデルとしてラインナップされてる。ハイブースト仕様で160馬力&21.0kg/m。
エンジンは適正なパワーバンドをキープしていれば、排気量から想像する以上にパワフル。ターボ付きだから当然だ。外から見れば、小さなクルマが猛烈に加速しているように見えるだろう。まさにチューンドモデル。
ただね、とっても扱いやすく、筆者的な乗り方だと、VWなどよりドイツ車より好み。いやメチャクチャ好みだよ。
アバルト500最大の特徴と考えるのは、煮詰めの素晴らしさ。加減速に関してもそう。
わかりやすい長所と短所を分けてみる。
1つのルールさえ守れば、普通のモデルより扱いやすい不思議なエンジン。加速する時は2500回転以上をキープ。
この約束事だけ守れば、ワンランク大きな排気量車と同じような加速感を味わえる。
アクセル操作した瞬間の挙動は、オーバーシュート気味ではないけど、オタンコレスポンスでもない。この絶妙なセッティング。ボディサイズに対して強い加速力をもっているのに、唐突感は感じにくい。
スロットル特性とかサスペンションセッティングも含めてね。
低回転では排気量並み以下のトルク感。2500回転以下、ここには全く期待してはダメ。巡航中、交差点。再加速する時はとにかく先にシフトダウンをして、適切なギヤを選択してから、アクセルを踏み込む。これでOK!
VWとかBMWとかのドイツ勢、やっぱりエンジンは洗練されてる!このアバルト500を運転すると、緻密さとか精密感という部分で違いがよくわかる。これと比較すればアバルトのエンジンはユルユル系だ。
イタリア車って日本車と似ている一面もあり、ドイツ系とフランス系の中間的な面を持ってる。エンジンだってドイツ車的な洗練度をお望みならば、素直にドイツ系を選択した方が間違いない。この場合ベンツかBMWがオススメ。
またミッション含め、発進時は異様にもっさり。雑なアクセルワークでも滑らかな反面、素早い加速にはコツがいる。そしてこれに慣れてしまったら、他車で飛び出し感を感じること間違いなし。
このアバルト500、素のFIAT500とは大きく差別化されている部分がある。
それはシフトセレクター。ご覧の通り、FIAT500にはシフトセレクターがあって、アバルト500はスイッチになってる!
不肖ヒラリー、最初は操作方法がわからなかった(操作方法については後述)。
アバルト500はなんと!シフトチェンジはパドルスイッチで操作する方法に変更されてる!ゲートごとシフトレバーを無くしちゃうなんて、かなり大きな変化だと思うよ。
そんなアバルト500のデュアロジは、制御プログラムも代わり、なかなか好ましい味付け。
VWのような超低燃費シフト&奧で唐突なシフトダウンなんて感覚とは全然違う。ちょっと昔のクルマのように、走りやすさが考えられてる。
最も筆者は、試乗の8割はMTモードでドライブ。その時感じるのは、こんな感じ。
筆者ヒラリー男爵は普段、排気量小さなターボ車を運転。コルトラリーアート、VWシロッコやゴルフなど。
これらの中で、最もギクシャクしにくいのが、このアバルト500。自動MTの印象含めて。月並みな言葉で表せば、排気量アップのようなターボ車。
MTモードを選択している場合、ドライバーは適正なエンジン回転数をキープすることだけを考えればいい。そしてシフトアップの一瞬前にアクセルペダルを緩めればいい。ラフなアクセルワークなんのその。
アクセルを踏む時に2500回転以上をキープしていれば、もっと大きな排気量と同じような感覚を味わえる。
インパネ中央のやや左寄りに、「スポーツモード」と書かれたスイッチがあり、これを押すとでアクセルペダル開度に対するエンジン反応が変わる。
同じアクセル開度でも、スロットルが開く量が変わるというわけ。
実は、通常のノーマルモード、アクセル遅開きかと思えるほどのセッティングで、まるで3000ccクラスのスロットル特性のよう。排気量小さなアバルト500では当然、加速感の悪さを感じてしまう。
そこで「スポーツモード」に切り替えてみる。これは普通の感覚だ。いやとてもジェントルで扱いやすい。ちょうど良い。こんな風にセッティングされたコンパクトカー、日本にはあまりないんじゃない?
こんな感じなので、スポーツモードをデフォルトと考えた方がいい。これだって、アクセルワークが雑な方でも、十分丁寧に走れると思う。ノーマル状態は、日本車で言うところのエコモードだね。過敏と感じる場合にどーぞ。
左がアバルト500、右がFIAT500。
で、アバルトの方、機能的には写真テキストのような感じ。
ブレーキ踏んでサイドブレーキを降ろしたら、上を押してスタート。こう覚えた方が簡単だw。
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エンジン質感 | |
扱いやすい、でも質感はあまり感じない。 |
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足回りの質感 | |
ボディサイズを考えれば全然イイ。 |
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内装の質感 | |
小さな高級車。多少の華もある。 |
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外装の質感 | |
これも大きなポイント。 |
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静粛性 | |
意外や意外、普通レベル。 |
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パッケージング | |
無駄があるから魅力ある。 |
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お買い得度 | |
気に入れば適正価格。 |
特徴的なシフトセクレター。
スポーツモードに切り替えるスイッチ。乗り比べてみれば、sportの方が良いと思う。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。