間違いいっぱいの自動車選び、日産ノートe-power(HE12)「X」の試乗レポート。
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エンジンで発電してモーターで駆動というシステムにより、燃費だけでなく新しい走行感覚が魅力。
試乗内容は限定的。第一印象重視でより一般的な表現を心がけています。
日産のコンパクトカー、ノートにマイナーチェンジで追加されたのが、ノートe-power。エンジンを発電専用として搭載し、電気によるモーターで駆動して走行するクルマ。
より一般的なハイブリッド車はエンジンとモーター両方で走行するからハイブリッド。中には家庭用電源から充電できるモデルもあるけど、動力源2つならやはりハイブリッド。
ノートは駆動と発電が明確にわかれ、いわゆるシリーズハイブリッドもしくはレンジエクステンダー的なシステム。
レンジエクステンダーと呼ぶにはバッテリー小さくエンジン大きく、外部からの充電もできず。それでも素人的にみれば優れた効率と電気自動車の走行感覚に期待してしまいます。
試乗すれば車体は間違いなくノート、だけど加速減速に対する印象は全く別物。ノートであってノートではない、そんな感覚の一台。
今回試乗したのはディーラー試乗車。自宅から1時間30分離れた、試乗時に走りやすいディーラーにお邪魔してきました。
対応してくださったのは落ち着いたセールスの方で、以前からお世話になっている方です。
集中して試乗できましたが試乗内容はやはり限定的。加えて筆者の購入候補であった関係上、良い方向にバイアスが掛かる可能性もあります。
お値段は標準的なグレード「e-power X」で196万円。
これにナビや明るいヘッドライト、フロアマットなどを追加すると総額250万円前後という見積もり(2017年4月現在)。また電気自動車の補助金は適用されないとのこと。
e-powerといってもノートの1グレードなんだけど、ベーシックなノートとは全然別物。
動力関連のシステムが素晴らしく特徴的で、この部分でクルマの印象は大きく変わるということを再確認。
印象がどれくらい異なるかといえば、エンジン排気量が異なるグレードとか、そんなレベルの違いじゃない。誰でもすぐ解るレベルの大きな違い。
長所である燃費はカタログ値で34.0km/L。燃費よく、またビックリすることに、加速減速が滑らか。「B」レンジを使っても、「Sモード」を使っても、全然走りやすい。これよりギクシャクしちゃうクルマなんていくらでもある。もうね、e-powerに惚れちゃったらこれしかない!
ラゲッジ含む車内スペースは通常のノートとさほど違いはみられず、コンパクトカーとしてはやはり広い。一方で走行中の車内快適性については予想より悪かった(後述)。
ハンドルを回した際のフィールはエンジン止まっていれば滑らかで、コーナーでのハンドリングはライバル車になるであろうアクアやヴィッツと比較して走りやすかった。
アクア(デビュー時モデル)との比較では、シャキッとしたキビキビ感を求めなければ全体的にノートの方が質感優勢。
こんな感じなので、純粋な商品力とすればノートe-powerは優秀。2017年現在ね。
しかしそれだけじゃ買えないのがクルマ。
例えばトヨタブランドは安心感強いし、逆に日産の新技術搭載車にはサポートの不安が残る。フーガハイブリッドとかリーフとかいろいろウワサがある。
これは下取り価格や中古車相場をチェックすれば一目瞭然。ページ上方にカーセンサーのバナーありますのでぜひどうぞ。
それから純正ナビやLEDヘッドライトまで含む支払い価格。装備整えると価格は上級車に近づく。例えば立派になった4代目プリウス50万円ほどの差額。
より高級なリーフとも100万円弱の差額になってしまう。上級車種で多少の装備を我慢、また条件次第で差額は縮まるだろう。指名買いは危険だねって思います。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
※一部画像はクリックで拡大します(横長画像など)。
最初に重要なドライバビリティに関する話題。アクセルペダルのOn-Offに関する過渡特性など扱いやすさに関する部分。
ノートe-powerのアクセル操作量に対する加減速(ここではスロットル特性と呼ばせて頂きたく)は、同じ電気自動車のリーフが高級車的なゆったり特性なのと比較し、コンパクトカー的な早開きが強い特性だった。少し踏んだだけでグンと出て行く特性だ。
早開き特性だと力強く感じ、ペダル操作がラクな部分もあるのだが、微調整に疲れたり、ギクシャクする車種も多い。
そんな中でノートe-powerのアクセルは、とっても扱いやすかった(試乗した範囲内という前提)。
”ワンペダルドライブ”なんて呼ばれる、エンジンブレーキが強い「Bレンジ」や「Sモード」で走行し、多少ラフな操作を行っても気になるショックや予想を超える挙動も起きず、十分運転しやすい。
ブレーキペダルを併用しても、停止直後のカックンという不快な停止になりにくい。合わせて扱いやすさがある。
さらに”抜く方向のペダル操作”に対する反応も良く、「ゆっくり緩める」とか「半分抜く」なんて動作に反応してくれる。
試乗してもし上手く運転できなかったら、この辺りを気にしてもう一回試乗しても良いんじゃないかな。操作速度と操作量ね。そしたらノートが気に入ってしまうかも。
エンジンブレーキが強いと言っても、バイクやMT車のように強いわけじゃないので、それらを知っている方には全然余裕。バイクではタマタマ痛くなったこともある筆者でも問題ありませんw
停止から強めの加速を試みた時にやや違和感。モーターの加速感とノイズが響くエンジン音。この組み合わせが、CVTで違和感を味わった時のような、そんな部分があった。
モーターによる加速力、力強さは強い。同クラスの1300〜1500ccと市街地走行を比較すれば、ノートはリラックスして走行できる。力強さはドライバーの余裕に直結。
電気自動車で不安と思われる部分、ハイペース巡航を想定してみる。
高速道路を走るような速度までの加速を試してみると、加速力自体に大きな問題はない。大人3人乗車していても不満ない加速力に感じられた。アクセル操作に対する反応が、よくあるハイブリッド車よりも反応良いのが効いている。
よくある一瞬アクセル全開にして緩めるような乗り方なら特に良さを味わえると思う。
長めの加速から速度を落として巡航すると、コンパクトカーの中では走りやすい事に気づく。無意識に速度を落としたくなるヴィッツやデミオなどと比較すれば、巡航しやすさも備えていると予想できる。
以前別のクルマで、BMW「i3」と前後で走行した事がある。「i3」も、モーター走行+発電用エンジンを搭載するクルマ。その時100km/h以上の速度でそれなりの時間を走行したのだが、その間ずっと同じように後ろから付いてきた。きっとドライバーもクルマも余裕だったのだろう。
ノートe-powerも効率的には落ちるかもしれないが、まさかインジケーターが点灯とかはないと思いたい。ここをセールスマンに確認した所、高速巡航も問題ないと力強く話してくれました。
ノートe-powerって実はエンジンの存在感が大きい。エンジン型式は「HR12DE」で普通に1200ccあり、レンジエクステンダー風とか電気自動車風と呼ぶにはあまりにも大きい。
念のため確認したが、エンジンオイルやエアクリーナーの交換も必要だという(交換サイクルは未確認)。税制上の電気自動車補助金もなく、自動車税も同一という点も確認した。
試乗してもやはり、乗り心地は電気自動車というよりガソリンエンジン車(フロント重量からのバンプ感)だし、エンジンが停止している時はステアフィールが良いんだけど、エンジン始動している時間が長い。
だから狭い交差点やパーキングレベルの走行を除き、ネガティブなステアフィールを感じやすい。人間良いものを知っちゃうとね...ってやつw
ガソリンタンク容量も普通に41Lサイズということで、排気量含め無駄なんじゃないか?というのはデビュー時のスペックから予想していた。
もちろんモーターによる加速感はこれでも味わえる。しかし現在の仕様が妥協に妥協を重ねたということならば、次期モデルを待ちたいと感じた次第。
トヨタのハイブリッド車と比較すれば、一部車種で感じられるエンジン始動時の嫌な振動は、試乗時にはわからなかった。
例えばノートより高額なSAIは嫌な振動が出る。ステアリングを回した時の質感に関しては、エンジン停止中の方が滑らかに感じられるのは一緒。
デビュー初期モデルと比較すれば、ノートe-powerの方が乗り心地良い。
アクアの乗り心地はドッタンバッタン。もの凄く悪いというレベルだからアクアには勝って当然かな。
アクアはその分、固さをシャープなハンドリングに活かしたキビキビ感が気持ちいい。トヨタ車の中では珍しくハンドル切るワクワク感さえあるほどです。
2017年ビッグマイナーを経たアクアは乗り味が大きく変更。初期から動きやすいサスペンションに変更され、乗り心地は大幅に向上。
代わりにシャキッとしたハンドリングはなくなり、コーナーではロールスピードの早さから神経を使うようになりました。
ノートe-powerはどうだろう?ハンドルを回してからの応答性は、固い乗り心地と引き換えにという感じはない。
速度を落とすとかなり操舵力が軽くなるんだけど、その時に曖昧さを感じる。「ただ曲がれれば良い」以上の事を期待すると残念。
もしかしたらサスペンションの質が意図的に下げられた可能性も。エコタイヤの特性や固いサスペンションと軽いハンドル、こんな組み合わせだからアラが目立ちやすいとも予想。
以前ゆっくり試乗したベーシックなノートが、一クラス上のような優しい乗り心地だった事を考えると、ノートe-powerの乗り心地は固くなった。
ベーシックなその時のノートはコンパクトカークラスでは貴重な、従来の日本車らしい乗り心地を引き継いでいる路線。多くの車種で足固く、タイヤ固くなっていく中で、優しい乗り心地というのは貴重な特徴であったはずなのに。
e-powerになったノートは、車重も増したようだがそれ以上にサスペンションも固く。運転してすぐ解るほどだから明確な違いだ。
e-powerのサスペンションは伸び側の減衰力も強まり、フラット感が増したといえば聞こえは良いが、ゴツゴツ感やブルブル感が強くなってしまった。最近のコンパクトカーらしい乗り味といっても近い部分があるだろう。
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e-powerも12Vバッテリーが必要です。
トランク内に搭載される密閉タイプ。
ネットでバッテリー価格を確認
国産車バッテリー
加速時の質感 | |
モーター駆動による良さだけでなく、ギクシャクし難いセッティング。ノイズはウルサイ。 |
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足回りの質感 | |
標準タイプより固くなってバタバタ。ノートよどうしちゃったの? |
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内装の質感 | |
コンパクトカーの標準レベルか、やや劣るイメージ。 |
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外装の質感 | |
安っぽさ強い大味ながらも、大きく見えるのが救い。 |
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快適性 | |
エンジン止まっていてもノイズが聞こえる。乗り心地も良くない。 |
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お買い得度 | |
メカ的に魅力を感じれば星3つ。 |
ノートe-powerのシフトセレクターと、通常のノート(初期モデル)のシフトセレクター。
ノートe-powerのリアシートと、通常のノート(初期モデル)のリアシート。
わかりにくい写真だけど、フロントシート下のフロア形状が異なる。
ノートe-powerのメインメーターと、通常のノート(初期モデル)のメインメーター。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。