評価評論「間違いいっぱいの自動車選び」。日産デイズルークス(2016y)の試乗レポート。
1ページ目です。
日産の軽自動車、デイズルークス・B21A型。ルークスはデイズのハイト系。グレード「ハイウェイスターX」NAエンジン搭載車です。
デイズは日産と三菱の合弁会社「NMVK」が開発・生産を行う軽自動車。そしてその背を高くしたタイプがこのデイズルークス。N-BOXやタントと同じジャンルの”乗用車系ハイトワゴン”に属するクルマです。
特徴を一言で表せば、日産の「ハイト系」軽自動車。単純明快。
もちろんそれだけじゃなく、乗り味的には素のデイズ譲りの長所だって持っています。
スライドドアのハイトワゴンは軽自動車の人気ジャンルだけにライバルは強力。
N-BOXやタント、それからスペーシア、クルマに興味がない方でもご存知だろうという名前が並びます。
デイズルークスは2014年にデビュー。日産ディーラーで買える”日産の”軽自動車ということで、ライバル同様の知名度に上昇していく事が予想できます。
知名度=人気=中古車相場に関係するわけで、高級軽自動車としては無視できないポイントでしょう。デイズのリセールが劣っているわけじゃないと期待しつつ、今回の試乗レポートでは”後出しの強み”を意識しながら進めていきます。
試乗したのは2016年式デイズ・ルークス。型式はB21A。グレードは「ハイウェイスターX」でNAエンジン搭載車(ターボ無し)。車両価格は163万円。
デイズルークスではハイウェイスターといっても差別点は少なく、装備的に充実しているグレード。装備と価格を比べればこのハイウェイスターXは中心的なグレードといえそう。
オドメーターが示す走行距離は約4500kmで、乗り心地的にはもっとも美味しい時期っぽい。このクルマで地方観光を兼ね、山道をメインに走行してきました。市街地と住宅街はテスト程度に走行し、高速道路と都心部は未走行です。
背を高くして室内スペースを稼ぐ、そんなハイト系軽自動車の中でデイズルークスは、ボディデザインが魅力だと思う。
端正というか正統派というか、奇抜な個性が狙われているわけではなく、万人受けする方向性で魅力あるデザインを提供しているのは大きな特徴。
しかもボディデザイン的な長所はベーシックグレードから変わらない。例えばタントやスペーシアではノーマル系では頭でっかちが目立ち、その短所を緩和させたカスタム系の存在感が際立つ。デイズルークスならどのグレードを選択しても、同じようにかっこいい。
ベルトラインが高く、グラスエリアが狭く見えるという元からの良さが効いているのだろう。実際には頭上だけ広くした感が強いデイズルークスながら、外から見るとプロポーションよく見えます。
その分、ハイウェイスターを選択しても、満足感は小さいかもしれない。
その響きから連想する特別さは最小限。カスタム系が欲しいと思わせるライバル車と比較すれば、良くも悪くもデイズルークスの大きな特徴なんじゃないかな。
どうしてもといえば「ライダー」という特別仕様車に(けっこう高価)。
デイズルークスをお借りして、カーブの多い山道を目指した筆者たち。
なぜかと言えば予想外に走りやすかったから。といってもエンジン&ミッションは苦しく、ハンドリングに関する部分限定なんだけど、ゆっくりと上屋が動く粘っこいセッティングで走りやすかった。
デイズルークスもならではの特徴をしっかり持ってます。
※内容は辛口評価です。試乗購入時のお役に立てれば幸いです。
※一部画像はクリックで拡大します(横長画像など)。
「加速が悪い!」と評判のデイズ&デイズルークス。排気量が同じで車重も似ていて、ミッションだってCVTで横並びな軽自動車で何が違うんだろう??疑問に感じる方も多いと思います。
デイズルークスのエンジン型式は「3B20」。三菱の軽自動車「アイ」に搭載されていたのと同型式。ただ改良されているらしく、デイズ発表当時は様々な技術がアピールされていた。
カタログでカッコいい言葉を並べるのは今も昔もお約束。やっぱりユーザーとしては、乗ってどうかが重要ですね。
軽自動車で最も苦しいのはエンジンの質感。音はうるさく振動も多いのは当たり前で、質感だって良くない。
それにアクセルペダル操作に対するレスポンスも含め、車体や内装がこんなに高級化してもエンジン質感は進化しないという実情。
なのでデイズルークスに限った話じゃないという前置きの上で、基本的にエンジン質感は今ひとつ。
そんな軽自動車用エンジンの中でも特に、エンジンノイズは本当にノイズと言いたくなる音質で、筆者的には好みじゃない。ミッションのセッティングから滑らかに加速しにくい点から、頻繁なノイズレベルの変化が特に質感悪く感じさせる。
市街地でも盛り上がりからの盛り下がりを繰り返す事になるのがツライ。
もう一つ。エンジンからの振動はアイドリングから盛大で回転数やアクセル開度に関係なく振動が伝わってくるんだけど、ハンドルに伝わる振動は少ない。
これは素のデイズと同じくデイズルークスの長所。例えばダイハツ車と比較してみれば、手がピリピリする感覚はずっと少ない。
デイズルークス最大の短所はCVTの質やセッティングと思う。他の軽自動車と比較しても乗りにくさが大きく目立つ。
カーブや交差点で減速始めれば、再加速時の不快感が頭をよぎる。
大きく気になるのは加速時の制御。アクセル開度を増やしていっても、高いギヤをキープするように変速してくれない。アクセルペダルをジワッと踏み込んでいっても、エンジン回転数はなかなか上げてくれず。
ドライバーはより大きなトルクが欲しいから踏み増ししてるのに、トルクの付いてこない領域を使いたがる。
そこから一定レベル以上に踏み込んだ際、遅れてスイッチが入ったようにグワッと回転が上がる。
低回転でスロットル大きく開けてというのは、燃費重視走行の基本だからして、燃費重視なんでしょう。でもこれはちょっとやりすぎんじゃない?
走行中は、踏んでも加速しない領域ってイヤな音を出すし、急に回転数が上がれば急にノイズが高まるし、この繰り返しはとっても疲れちゃう。
目立つ欠点はまだあって(笑)、上記のトルクが付いてこない領域を飛ばすように踏み込めば、「カコン」と音&ショックが出てから変速開始。しかもゆっくりモッサリ回転数を上げる。
ドライバーは素早く加速を必要としているからそうしたペダル操作をしているのに、機械が応えてくれません。
さらに(笑笑)、静かなところでの低速走行時には、キーンとしたCVTノイズが耳障り。
シフトレバーを握って親指のところにあるスイッチを押すと「Sモード」に。このSモードは走りやすい。 もうね、積極的に多用したいどころか、いつでもSモードで良いんじゃない?って思うほど。
多少の燃費悪化と引き換えに、ドライバビリティは大きくアップ!アクセルワークがラクで、定速巡航が続く場面以外では、Sモードの方が疲れを感じずに走行できる。
3000回転あたりをキープするようになるから、静粛性的にはノイズ増加。増加するんだけど、レベルの変化が小さくなるから意外と気にならない。人間がもつ環境変化への対応力だよね。
シフトセレクターを一番下まで下げると「Lレンジ」。Lレンジでは低速時から高回転をキープし、5500回転〜6000回転超というトップエンドを使用する。
「もう巡航するよ!」って指示を送っても聞いてくれないw 普通に考えれば急な下り坂でのエンジンブレーキ用ですね。
デイズルークスはライバル車より遅いの?という疑問。市街地でよく使うであろう領域で遅く感じてしまうから、どうしても遅く感じてしまう。
CVTが燃費重視の味付けで、それがまた極端。せっかくの無段階変速が何なのよ、みたいな不満。
思ったように加速しなくての踏み増しは、体感的なトルク感の少なさに繋がる。また素早く加速しようとすれば、ミッションのショックが気になったりで躊躇したりもする。そしたらやっぱり素早くは加速できない。
アクセル全開加速では、3000回転辺りでの加速力は普通にありそうで、高回転ではパワー感ない。アクセル全開5000回転以上での速度上昇はゆっくり。上り坂でもキツイ。
デビュー当時に試乗した素のデイズでは、低回転のキツさは同様でも、高回転ではもっと伸びた記憶がある。デイズルークスでは車重が増しているからギヤ比が変わっている可能性があり、特徴もやや異なって感じられる。
系列サービスです!
法人、個人事業主の「ETCカード」。複数枚契約が可能。
セディナなど法人ETCカード
系列サービスです!
「自動車保険一括見積り」の比較。見積もりはメールか郵送で安心。
保険一括見積りサービスの比較サイト
デイズルークス
B21A - 3B20 660cc 2014年〜
確認中
ネットでバッテリー価格を確認
国産車バッテリー
エンジン質感 | |
振動多くパワー感も薄い。 |
|
駆動系質感 | |
CVTのセッティングが残念。 |
|
足回りの質感 | |
適度に引き締まった系でありつつ、衝撃の吸収も良好。 |
|
内装の質感 | |
ハイウェイスターというよりは単に上級グレードといった感じ。 |
|
外装の質感 | |
正統派で端正。ただハイウェイスターだからという差別化が少ない。 |
|
曲がりやすさ | |
丁寧に運転すればクネクネ道でも走りやすい。 |
|
お買い得度 | |
ライバル車より割高感あるものの、日産ディーラーで買える。それが嬉しい。 |
試乗時の参考燃費も掲載しています。今回は田舎道&山道メイン。
光沢のあるパネルが上向きに使用されているので、反射が眩しい時がある。
ルームミラーにビルトインされたバックモニター等(アラウンドビューモニター)
給油口の蓋を開けるレバーと、ボンネットを開けるレバーはここ。
操作感はものすごく渋いシートバックテーブル。使用時は思いっきり上まで起こすように、水平まで持ち上げる。
違いを感じる練習、試し失敗した経験、一貫性ある運転で試乗レポート。
受け売りでなく、カタログ的でない。紹介ではなくレビューです。
評論家さまとの違いは、率直な表現と自由度の高さ。辛口といえば辛口です。
評価評論・比較レビュー「間違いいっぱいの自動車選び」。